文献情報
文献番号
201906005A
報告書区分
総括
研究課題名
ワクチン接種後の有害事象報告の収集・評価の新たな基盤整備のための研究
課題番号
19CA2005
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
多屋 馨子(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
研究分担者(所属機関)
- 神谷 元(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
- 中村 治雅(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター・トランスレーショナル・メディカルセンター 臨床研究支援部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
4,464,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1.海外情報の収集、疫学研究、世界標準とされるブライトン分類に照らし合わせた解析ができるようなしくみを構築すること
2.諸外国においてワクチン接種後の有害事象の探知、並びに因果関係の証明のために、どのようなシステムが構築されているか、また、どれだけの人員や予算が確保されているかについて情報収集を行うこと
3.ワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査の結果を集計・解析し、ワクチンとの関連を明らかにすること
4.急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、ギラン・バレー症候群(GBS)等の神経系の症状については、欧米におけるガイドラインや、ワクチンの安全性評価の国際的な枠組みであるBrighton Collaborationの成果物に関する情報を収集し、体系的な整理を行ない、我が国における評価の標準化・透明化をはかること
2.諸外国においてワクチン接種後の有害事象の探知、並びに因果関係の証明のために、どのようなシステムが構築されているか、また、どれだけの人員や予算が確保されているかについて情報収集を行うこと
3.ワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査の結果を集計・解析し、ワクチンとの関連を明らかにすること
4.急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、ギラン・バレー症候群(GBS)等の神経系の症状については、欧米におけるガイドラインや、ワクチンの安全性評価の国際的な枠組みであるBrighton Collaborationの成果物に関する情報を収集し、体系的な整理を行ない、我が国における評価の標準化・透明化をはかること
研究方法
予防接種後副反応に関する評価・解析について海外情報を収集し、ワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査についてまとめを行った。急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、ギラン・バレー症候群(GBS)については、Brighton Collaboration成果物や診断基準を精査し、国内での適合可能性、実施可能性等について検討し、必要な評価項目等を検討するとともに、電子化報告書の作成を検討した。海外情報を収集し、論文検索を行うとともに、海外機関を訪問し、情報収集を行った。
結果と考察
Brighton Collaborationの作成した成果物、診断基準などを踏まえたうえで、ADEM,GBSに関する調査票について、ブライトン分類に基づいた評価が可能となるように、日本版の調査票(案)を作成し、報告者の省力化を目的としてチェック機能を搭載した入力アプリを作成した。作成した成果物は、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(持ち回り審議)で審議され、承認された。調査票による体系的な整理を行なうことで、評価の標準化・透明化が期待され、今後は、実用化にむけて検討されることが期待される。
日本の副反応サーベイランスはシグナル探知を目的とした予防接種後の有害事象報告に該当し、因果関係を評価するシステムにはなっていない。真の予防接種後の健康被害は事例が少ないため、世界的に情報を一元化して評価する流れがWHOを中心にできつつあり、日本の情報も他国と共有し、より正確な因果関係を評価することが重要と考えられた。
海外情報の収集により、それぞれの国の予防接種システムや医療事情に合致した副反応のサーベイランスシステムが構築されていることがわかった。WHOや諸外国のウェブサイトの確認、海外論文の検索・情報収集、並びに米国CDCを訪問し、情報収集を行った。オーストラリアへの訪問も予定していたがCOVID‐19のために断念せざるを得なかった。
乳幼児の突然死とワクチン接種に関する症例対照研究を行った結果、直近1週間以内のワクチン接種歴や同時接種は、単変量および多変量解析において、突然死との関連は認めなかった。一方、母の喫煙歴は、独立したリスク因子であり、添い寝に関しては、独立した防御因子であった。これらの結果から、母への禁煙教育の重要性が示唆された。また、独立した防御因子であった添い寝については、どのような要因が防御的に働くのか、今後も検証が必要と考えられた。
日本の副反応サーベイランスはシグナル探知を目的とした予防接種後の有害事象報告に該当し、因果関係を評価するシステムにはなっていない。真の予防接種後の健康被害は事例が少ないため、世界的に情報を一元化して評価する流れがWHOを中心にできつつあり、日本の情報も他国と共有し、より正確な因果関係を評価することが重要と考えられた。
海外情報の収集により、それぞれの国の予防接種システムや医療事情に合致した副反応のサーベイランスシステムが構築されていることがわかった。WHOや諸外国のウェブサイトの確認、海外論文の検索・情報収集、並びに米国CDCを訪問し、情報収集を行った。オーストラリアへの訪問も予定していたがCOVID‐19のために断念せざるを得なかった。
乳幼児の突然死とワクチン接種に関する症例対照研究を行った結果、直近1週間以内のワクチン接種歴や同時接種は、単変量および多変量解析において、突然死との関連は認めなかった。一方、母の喫煙歴は、独立したリスク因子であり、添い寝に関しては、独立した防御因子であった。これらの結果から、母への禁煙教育の重要性が示唆された。また、独立した防御因子であった添い寝については、どのような要因が防御的に働くのか、今後も検証が必要と考えられた。
結論
ワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査について解析した結果、直近1週間のワクチン接種歴や同時接種は、突然死と関連を認めなかった。母の喫煙歴は、独立したリスク因子であり、添い寝は、独立した防御因子であった。
ADEM、GBSの評価を行う上での、「調査票(案)」を作成し、報告者の省力化を目的としてチェック機能を搭載した入力アプリを作成した。これらの結果は、第48回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和2年度第4回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)で承認され、今後の実用化が期待される。
また、真の予防接種後の健康被害は事例が少ないため、世界的に情報を一元化して評価する流れがWHOを中心にできつつあり、日本の情報も他国と共有し、より正確な因果関係を評価することが重要と考えられた。
ADEM、GBSの評価を行う上での、「調査票(案)」を作成し、報告者の省力化を目的としてチェック機能を搭載した入力アプリを作成した。これらの結果は、第48回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和2年度第4回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)で承認され、今後の実用化が期待される。
また、真の予防接種後の健康被害は事例が少ないため、世界的に情報を一元化して評価する流れがWHOを中心にできつつあり、日本の情報も他国と共有し、より正確な因果関係を評価することが重要と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2021-07-21
更新日
-