文献情報
文献番号
201903022A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代バイオデータ基盤の構築に向けたデータ連携の概念実証
研究課題名(英字)
-
課題番号
19AC5004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
寳澤 篤(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 予防医学・疫学部門)
研究分担者(所属機関)
- 長神 風二(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 広報・企画部門)
- 中村 智洋(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 医療情報ICT部門)
- 熊田 和貴(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 バイオバンク部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
22,310,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
バイオ戦略2019において、「健常人コホート・バイオバンクについては、多様な分野において、科学的エビデンスに基づいたサービスを提供できる環境を整備すること」が求められている。多様な分野の利活用といった観点から、産業界のニーズと彼らの考えるハードルを検討する必要があると考えた。本研究の目的は今後のコホート・バイオバンクの取り組みについて方向性を示すことをとした。
研究方法
1.産業界におけるコホート・バイオバンク利活用ニーズ調査【研究1】産業界におけるコホート・バイオバンク利活用ニーズ調査:株式会社ちとせ研究所に委託を行い、特にマイクロバイオームの研究を行っている23社より情報収集を行った。【研究2】最終消費者のニーズ及びそれを充足するコミュニケーション基盤に関する検討:産業界のさらに上流にある消費者からのニーズを検討するために電通の「電通ウェルネス1万人調査2018」の結果の提供を受けた。また、ヘルスケアアプリをどのようにコホート・バイオバンクに導入するかについての必要な要件を検討することとした。2. コホート調査の産業利用促進策の実現可能性に関する調査研究【研究3】コホートの産業利用促進策の実現可能性検討:コホート・バイオバンク利活用ニーズ調査におけるそれぞれの課題を総合的に判断し、令和2年度に推進していく調査・実装の方向性について検討した。3.コホート間連携に関する調査研究【研究4】コホートの産業利用促進に向けた障壁の有無と提言のためのミーティング:事務局より国内の有識者に会合の趣旨を伝えたうえで2020年2月5日の会議に参加可能かどうかの確認を行った。その結果、9名の有識者に臨席をいただき、座談会形式で情報交換を行った。4.先行事例に関する海外動向調査【研究5】先行事例に学ぶ海外動向調査(デンマークの例):デンマークの関連機関にバイオバンクの具体的な運営方法や、倫理・分譲審査プロセス、産業利用の形態・業種、海外連携等の重要項目について、3名の有識者の臨席をいただき、2020年2月12日~14日に講演会、座談会形式で情報交換およびヒアリングを行った。(倫理面への配慮)本研究はヒトゲノム・遺伝子解析、臨床研究、ヒトを対象とする医学系研究、動物実験等の実施はない。したがって倫理面の問題はないと判断した。
結果と考察
1.産業界におけるコホート・バイオバンク利活用ニーズ調査【研究1】調査に対し23社から回答を得、その結果を分析し、産業界のニーズを4大項目とその下位13小項目に集約した。【研究2】消費者がいくつかの症状に課題感を持っており、ヘルスケア産業に対する期待が大きいこと、対象者が自らの持つウェアラブル機器に格納された情報に対し、企業等に情報を使われる懸念を持ちつつ、それらの情報に基づく個別化予防・医療の開発に期待を持っていること、を抽出した。さらに、ヘルスケアデータアプリをコホート・バイオバンクに導入するための要件定義について情報提供を受け、対象者とコホート・バイオバンク側の双方向性の情報共有は可能であり、今後その実装に向けた検討を進めていくこととした。2.コホート調査の産業利用促進策の実現可能性に関する調査研究【研究3】産業界から求められているものとして、コホート・バイオバンクに関する一元的な相談窓口が求められているということ、わが国においてもバイオバンク・コホートの窓口機能が重要であること、さらに、消費者のニーズとして、ヘルスケアアプリに関するエビデンス構築の重要性が抽出された。3.コホート間連携に関する調査研究【研究4】産業界がコホートを活用するにあたっての同意・オプトアウトの手法、観察研究と介入研究フィールドの連携、コホートの横断検索システム作成の必要性と相談窓口の役割についても整理した。4.先行事例に関する海外動向調査【研究5】Danish National Biobankの活動について詳しく調査を行った。中でもバイオバンクの連携とOne Stop窓口機能は参考にするべきであると考えた。一方でDenmarkにおいても未だアカデミアでの活用がメインフォーカスなのが明らかとなった。
結論
本研究から(1)産業界からの問合せを受け付けるワンストップ・サービス等の運営体制の検討(2)コホート参加者の疫学研究拠点との双方向のコミュニケーション基盤の構築の検討が必要と結論付けた。今後、(1)引き続いての情報収集並びに(2)横断検索システムや企業向け相談窓口の整備等の体制構築(3)コホート間連携を促進するパイロット共同研究を通じた観察研究拠点と介入研究拠点の連携基盤構築(4)コホート参加者からライフログ情報を収集するシステム及びアプリの開発をすることを通じたコホート参加者とのコミュニケーション基盤の構築が必要だと考えた。
公開日・更新日
公開日
2025-05-02
更新日
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