文献情報
文献番号
201903010A
報告書区分
総括
研究課題名
医療現場のAI実装に向けた諸外国における保健医療分野のAI開発及びその利活用状況等についての調査研究
課題番号
H30-ICT-一般-001
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
東條 有伸(東京大学 医科学研究所 先端医療研究センター 分子療法分野)
研究分担者(所属機関)
- 湯地 晃一郎(東京大学 医科学研究所)
- 安井 寛(東京大学 医科学研究所)
- 山口 類(愛知県がんセンター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
5,539,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
世界の先端医療現場では大きな変革が進行し、我が国もArtificial Intelligence(AI)の解答を有効に活用しAIと協働し、医療費削減、精密医療の実現及び医療従事者の負担軽減を進めたい。先行する米国ではData-drivenでより質の高く的確な医療の実践が提唱され、保健医療分野におけるAI投資と社会実装が進められ、13のAIアルゴリズムが既にFDAに承認されるに至り、AIはすでに米国の医療の一部となった。しかしながら我が国では、本研究開始時に保健医療分野の使用が認められたAIはない現状であった。そこで、先行する諸外国を参考に医療へのAI導入を早急に検討し、狭い国土に経済が集積する強みを活かし、その後の第2、第3の開発につなげていくことが、我が国が現在の遅れを取り戻す近道と考えた。
本研究では、当該研究計画に基づき、AIの臨床的位置づけと活用の実態、AI 搭載の機器開発に当たって必要なデータ、AIの質と安全性を確保しつつ活用する規制を知るための文献調査を行うとともに、先行する諸外国におけるAIを活用した診断・治療支援機器開発と社会実装のしくみを精査する。
本研究では、当該研究計画に基づき、AIの臨床的位置づけと活用の実態、AI 搭載の機器開発に当たって必要なデータ、AIの質と安全性を確保しつつ活用する規制を知るための文献調査を行うとともに、先行する諸外国におけるAIを活用した診断・治療支援機器開発と社会実装のしくみを精査する。
研究方法
保健医療分野重点6分野を中心に医療AI研究開発の動向、政策、規制や指針に関する項目について、信頼性の高い文献や学会誌、企業、当該国の医学会・政府機関等情報、有識者からのヒアリング等を国内外のAI研究者、開発企業に協力を求め調査する。保健医療分野AI活用推進懇談会報告書および日本医師会学術推進会議報告書で指摘される課題点に留意し調査する。
結果と考察
網羅的文献情報の解析から米国・中国の2か国の論文出版数が突出し、日本は3位集団のトップに位置していることが判明した。とくに米国・中国において、先進的な法制度の構築と積極的な投資により保健医療分野へのAI実装化が急速に進む中、本年度第4四半期に中国武漢より発生した新型コロナウイルスパンデミックへの対応は従来のボトルネックを破壊的に解消しAI普及を確かなものとしつつある。
結論
感染予防の観点がクローズアップされるWithコロナ時代は社会全体がAI、ロボット、リモートワークを導入する生活形態が必要不可欠となり、AI技術の普及は一気に加速した。Withコロナで人と人との実交流の在り方を見直し、感染防止を主眼に置きながら各国が経済活動の維持・向上を目指す中、とくに中国での自国用に自国で開発した新たなアプリ及びシステムの開発は世界をリードするところとなっている。特に病院、医療現場での新たなシステムの開発と実装は目が離せない状況である。診療オンライン化で地方病院と専門病院の連携診療等、遠隔医療における日本独自技術、システムの開発に期待したい。
公開日・更新日
公開日
2020-11-02
更新日
-