文献情報
文献番号
201902002A
報告書区分
総括
研究課題名
医療・介護連携を促進するための国際生活機能分類を用いた評価と情報共有の仕組みの構築
課題番号
H30-統計-一般-003
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
向野 雅彦(藤田医科大学 医学部リハビリテーション医学�T)
研究分担者(所属機関)
- 才藤 栄一(藤田保健衛生大学 医学部 リハビリテーション医学I講座)
- 大夛賀 政昭(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
国際生活機能分類(ICF)はWHOで2001年に採択されて以降、国内外において普及の取り組みが進められてきた。その結果、ICFの基本的な考え方は臨床家に浸透しているが、項目分類は依然として臨床でほとんど使用されていない。
我々はこれまでに、日本において速やかかつより多くの施設への普及・推進を目指し、1) ICFの評点を簡便につける仕組みと2) 既存の様々な評価表とICFとの連携が可能な仕組みを作り、データベースの作成に取り組んできた。本研究ではさらに臨床で広く普及をさせていくため、医療・介護の連携においてこれを有効に利用できる仕組みの構築に取り組んだ。
我々はこれまでに、日本において速やかかつより多くの施設への普及・推進を目指し、1) ICFの評点を簡便につける仕組みと2) 既存の様々な評価表とICFとの連携が可能な仕組みを作り、データベースの作成に取り組んできた。本研究ではさらに臨床で広く普及をさせていくため、医療・介護の連携においてこれを有効に利用できる仕組みの構築に取り組んだ。
研究方法
本研究においては、ICF一般セットのための採点リファレンスガイドの信頼性検証の結果に基づく修正と検者間信頼性の再検証およびRasch分析を用いた内的構成概念妥当性の検証のため、フィールドテストを実施した。また、これまでにプロトタイプとして作成してきた採点の練習を行うための eラーニングツールを実用的なものにするため、採点の練習に用いる仮想症例の作成を行った。さらにはICF一般セットのために作成された採点リファレンスガイドを、ICD-11に新しく作成されたICD-11V章(生活機能評価に関する補助セクション)に拡張するための検証および簡潔で直感的な説明文の作成を実施した。またその上で、ICFに基づいた医療介護連携に用いる情報共有シートの作成にも取り組んだ。
結果と考察
ICFの採点リファレンスガイドの修正により、全ての項目について、重み付けκ係数が0.6以上となる結果が得られた。また、フィールドテストにおいて集められた295名のデータからRasch分析による内的構成概念の検証を行い、Raschモデルへの良好な適合から十分な妥当性を有することを確認した。このことで、ICF一般セットの信頼性と妥当性を支持する結果であった。今後はより大規模なフィールドテストを実施して、その有用性の検証を進める予定である。
また、採点の練習用のe-ラーニングツールのための問題作成においては、合計で155問の仮想症例が作成され、一問一答形式の練習問題が作成された。それをもとに、採点を練習できる簡易的なe-ラーニングツールが作成された。今後さらに練習症例の充実と練習が信頼性に与える影響の検討を行う予定である。
また、ICD11 V章の項目の内容をICFに基づいて簡潔に記述する、簡潔で直感的な説明文の作成を実施した。作成にあたっては、21名の多職種のメンバーが参加するコンセンサスミーティングを開催し、ICD-11 V章の各項目の内容を簡潔に表現する説明文を、予め決められたプロトコルを用いて作成した。
医療介護連携に用いる情報共有シートの作成は、看護師、ソーシャルワーカー、栄養士、言語聴覚士、理学療法士、医療事務職員等で臨床家パネルを組織して作成した。試行調査を実施したところ、患者の病識や日常生活に対する意欲、就労状況を含む家庭外の活動や参加についても重要であることが示された。
また、採点の練習用のe-ラーニングツールのための問題作成においては、合計で155問の仮想症例が作成され、一問一答形式の練習問題が作成された。それをもとに、採点を練習できる簡易的なe-ラーニングツールが作成された。今後さらに練習症例の充実と練習が信頼性に与える影響の検討を行う予定である。
また、ICD11 V章の項目の内容をICFに基づいて簡潔に記述する、簡潔で直感的な説明文の作成を実施した。作成にあたっては、21名の多職種のメンバーが参加するコンセンサスミーティングを開催し、ICD-11 V章の各項目の内容を簡潔に表現する説明文を、予め決められたプロトコルを用いて作成した。
医療介護連携に用いる情報共有シートの作成は、看護師、ソーシャルワーカー、栄養士、言語聴覚士、理学療法士、医療事務職員等で臨床家パネルを組織して作成した。試行調査を実施したところ、患者の病識や日常生活に対する意欲、就労状況を含む家庭外の活動や参加についても重要であることが示された。
結論
本研究では、ICF一般セット(30項目版)を対象とした採点用リファレンスガイドと修正とその検者間信頼性の検討、教育ツールの作成、評価としての妥当性の検証、臨床・教育ツールのICD-11のV章への拡張の検証、医療介護連携における情報共有の仕組みの検討等を実施した。
公開日・更新日
公開日
2021-07-15
更新日
-