死亡・死因に関する情報の収集とその流れおよびデータ分析に関する国際比較

文献情報

文献番号
201902001A
報告書区分
総括
研究課題名
死亡・死因に関する情報の収集とその流れおよびデータ分析に関する国際比較
課題番号
H30-統計-一般-001
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
木下 博之(国立大学法人 香川大学 医学部 人間社会環境医学講座 法医学)
研究分担者(所属機関)
  • 林 玲子(国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部)
  • 池松 和哉(国立大学法人 長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 法医学分野)
  • 宮武 伸行(国立大学法人 香川大学 医学部 人間社会環境医学講座 衛生学)
  • 田中 直子(国立大学法人 香川大学 医学部 人間社会環境医学講座 法医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
2,170,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 死亡診断書(死体検案書)による死亡・死因に関する情報の収集とその流れおよびデータ分析に関して、諸外国における中央集計に至る情報の流れ、電子化の進捗状況について調査、比較する。さらにその結果から、わが国の死因統計調査システムの利点と、さらに改善が期待できる点についての洗い出しを行う。
研究方法
 文献調査と研究対象国の担当者へのヒアリングを中心に調査をすすめる。具体的な事項としては、死亡診断書様式、中央集計に至る情報の流れ、電子化の進捗状況について調査する。既存の文献資料やインターネットの情報を活用するが、文献にて得られにくい情報を中心に、予備的調査を十分に行った上で、海外調査にて実情を把握する。
  様々な領域の専門家から構成される各分担研究者、研究協力者の協力の下、対象とする国々における死亡診断書書式の適用状況、さらには各国の死因統計調査システムにおける情報の流れ等の調査を行う。
結果と考察
 令和元年度には、アメリカ、オーストリア、アルバニア等の関係者からヒアリングを行った。さらに、スイス、ロシア、ブラジルについても死因統計制度を調査した。これまでに調査した国のうち、死亡の医学的証明の書類の様式は概ねWHOの様式を基礎にしているが、喫煙との関連や妊産婦死亡など、書式内に特有の記載欄がある国もあった。死因の種類に関しては、項目が簡潔で、「調査中」や「特定不能」も選択可能となっている。死亡証明の書式の表題に「死亡診断書」と「死体検案書」の区別があるのは韓国のみであった。アメリカ(ホノルル)では届出の電子化が行われている。完全な電子化ではなく、年配の医師を中心としてまだ紙ベースの届け出が約40%程度あるとのことであった。
 死亡の医学的証明の書類の様式は概ねWHOの様式を基礎にしているが、喫煙との関連や妊産婦死亡など、書式内に特有の記載欄がある国もあった。死因の種類に関しては、項目が簡潔で、「調査中」や「特定不能」も選択可能となっており、今後、わが国でも様式の改定が行われる場合には参考にできると思われた。また、わが国では表題に「死亡診断書」と「死体検案書」を区別しているが、その区別のある国はごく一部であり、各国でのインタビューでもその必要性は少ないように思われる。書類を作成する際に医師が迷う点の一つでもあり、必要性が少ない場合は、「死亡証明書」に統一することも検討すべきと思われる。届出の電子化について、導入しているアメリカの場合でも、紙ベースも併用されていた。過渡期には併用も必要かもしれない。
結論
 死亡に関する情報の中央集計に至る流れについては、各国におけるシステム成立の歴史的背景も関係しているが、届出の電子化も段階的な対応が必要かもしれない。わが国での導入に際しても、今後も先行する海外の動向にも注意を払う必要がある。

公開日・更新日

公開日
2021-07-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-07-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201902001B
報告書区分
総合
研究課題名
死亡・死因に関する情報の収集とその流れおよびデータ分析に関する国際比較
課題番号
H30-統計-一般-001
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
木下 博之(国立大学法人 香川大学 医学部 人間社会環境医学講座 法医学)
研究分担者(所属機関)
  • 林 玲子(国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部)
  • 池松 和哉(国立大学法人 長崎大学大学院 医歯薬学研究科 法医学分野)
  • 宮武 伸行(国立大学法人 香川大学 医学部 人間社会環境医学講座 衛生学)
  • 田中 直子(国立大学法人 香川大学 医学部 人間社会環境医学講座 法医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 死亡診断書(死体検案書)による死亡・死因に関する情報の収集とその流れおよびデータ分析に関して、諸外国における中央集計に至る情報の流れ、電子化の進捗状況について調査、比較する。さらにその結果から、わが国の死因統計調査システムの利点と、さらに改善が期待できる点について検討した。
研究方法
 文献調査と研究対象国の担当者へのヒアリングを中心に調査をすすめる。具体的な事項としては、死亡診断書様式、中央集計に至る情報の流れ、電子化の進捗状況について調査する。既存の文献資料やインターネットの情報を活用するが、文献にて得られにくい情報を中心に、予備的調査を十分に行った上で、海外調査にて実情を把握した。
 様々な領域の専門家から構成される各分担研究者、研究協力者の協力の下、対象とする国々における死亡診断書書式の適用状況、さらには各国の死因統計調査システムにおける情報の流れ等の調査を行った。
結果と考察
各国における中央集計に至る情報の流れについては、同一国内でも州レベルで若干制度の異なる場合があり、すべてのシステムの詳細な調査には至っていないが、文献調査、また海外調査として、平成30年度には、イギリス、ドイツ、韓国、中国、フランスの関係者からヒアリングを、令和元年度には、アメリカ、オーストリア、アルバニア等の関係者からヒアリングを行った。
これまでに調査した国のうち、死亡の医学的証明の書類の様式は概ねWHOの様式を基礎にしているが、ICDのコード欄がある、喫煙との関連や妊産婦死亡など、書式内に特有の記載欄がある国もあった。死因の種類に関しては、項目が簡潔で、「調査中」や「特定不能」も選択可能となっている。死亡証明の書式の表題に「死亡診断書」と「死体検案書」の区別があるのは韓国のみであった。フランスやアメリカでは届出の電子化が行われているが、完全な電子化ではなく、フランスでの普及率は15%程度、ホノルルでの普及率は約60%と年配の医師を中心としてまだ紙ベースの届け出が約40%程度あるとのことであった。
 死亡の医学的証明の書類の様式は概ねWHOの様式を基礎にしているが、喫煙との関連や妊産婦死亡など、書式内に特有の記載欄がある国もあった。死因の種類に関しては、項目が簡潔で、「調査中」や「特定不能」も選択可能となっており、今後、わが国でも様式の改定が行われる場合には参考にできると思われた。また、わが国では表題に「死亡診断書」と「死体検案書」を区別しているが、その区別のある国はごく一部であり、各国でのインタビューでもその必要性は少ないように思われる。書類を作成する際に医師が迷う点の一つでもあり、必要性が少ない場合は、「死亡証明書」に統一することも検討すべきと思われる。
 届出の電子化については、ICT技術の進歩に比較してそれほど普及が進んでいない。導入しているアメリカの場合でも、紙ベースも併用されていた。過渡期には併用も必要かもしれない。
結論
 死亡に関する情報の中央集計に至る流れについては、各国におけるシステム成立の歴史的背景も関係しているが、届出の電子化も段階的な対応が必要かもしれない。わが国での導入に際しても、今後も先行する海外の動向にも注意を払う必要がある。

公開日・更新日

公開日
2021-07-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201902001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究で調査した、死亡診断書(死体検案書)の様式については、概ねWHOの様式を基礎にしているが、ICDのコード欄がある、喫煙との関連や妊産婦死亡など、書式内に特有の記載欄がある国もあった。死因の種類に関しては、項目が簡潔で、「調査中」や「特定不能」も選択可能となっている。今後、わが国でも様式の改定が行われる場合には参考にできると思われる。わが国では「死亡診断書」と「死体検案書」を区別しているが、その区別のある国はごく一部であり、各国でのインタビューでもその必要性は少ないように思われた。
臨床的観点からの成果
本研究で調査した国のうち、フランスやアメリカではすでに死亡の届出の電子化が行われているが、完全な電子化には至っていない。調査した国によっては年配の医師を中心としてまだ紙ベースの届け出が相当数あり、届出の電子化自体は、ICT技術の進歩に比較してそれほど普及が進んでいない。今後我が国でも、各種届出の電子化の導入に関する議論が進められると思われるが、導入に時間がかかる場合には、過渡期における対応も検討していく必要がある。
ガイドライン等の開発
本研究から、国際的にみても、我が国の死因統計調査システムがしっかりしたものであることが改めて明らかになった。現在までのところ、本研究に関するガイドライン等の開発は行っていないが、死亡に関する届出の電子化について検討を進めていく場合には、すでに先行して導入されている国における問題点や課題といったものを参考にできると思われる。また、今後も海外の動向に注意を払う必要がある。
その他行政的観点からの成果
死亡に関する書類を作成する場合、わが国では表題に「死亡診断書」と「死体検案書」を区別しているが、その区別のある国はごく一部であり、各国でのインタビューでもその必要性は少ないように思われる。書類を作成する際に医師が迷う点の一つでもあり、必要性が少ない場合は、「死亡証明書」に統一することも検討すべきと思われる。
その他のインパクト
死亡診断書(死体検案書)の記載内容に関して、各国における様式とその記載法、妊産婦死亡に関する記載などについては、医学部における死亡診断書(死体検案書)作成に関する講義や、死体検案に従事する医師を対象とした研修会での講義や演習に活用できる。また、医学生の講義には活用している。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
9件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
6件
死体検案研修会での講義や解説等に活用

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
宮武伸行、田中直子、木下博之、他
東京都における火災件数、死亡者数、負傷者数の月別比較および気温、湿度との関連
地域環境保健福祉研究 , 21 (1) , 11-14  (2018)
原著論文2
Takashima N, Miyatake N, Kinoshita H, et al.
Relationship between death by drowning and air temperature in the 23 wards (municipalities) in Tokyo.
The Albanian Journal of Medical and Health Sciences , 50 (1) , 1-6  (2019)
原著論文3
Uehara C, Miyatake N, Kinoshita H, et al.
Comparison of death by fall as classified by month in the 23 wards (municipalities) in Tokyo.
The Albanian Journal of Medical and Health Sciences , 51 (1) , 1-7  (2019)
原著論文4
Bando M, Miyatake N, Kinoshita H, et al
Relationship between air temperature parameters and number of deaths stratified by cause in Gifu prefecture, Japan.
Healthcare , 8 , 35-  (2020)

公開日・更新日

公開日
2021-07-15
更新日
2022-06-13

収支報告書

文献番号
201902001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,600,000円
(2)補助金確定額
2,600,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 742,235円
人件費・謝金 0円
旅費 1,297,212円
その他 130,553円
間接経費 430,000円
合計 2,600,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-07-15
更新日
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