文献情報
文献番号
201826019A
報告書区分
総括
研究課題名
シックハウス症候群の診断基準及び具体的対応方策に関する「シックハウス症候群マニュアル」の検証と改正のための研究
課題番号
H30-健危-一般-007
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
坂部 貢(東海大学 医学部医学科)
研究分担者(所属機関)
- 田辺 新一(早稲田大学・創造理工学部建築学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
2,320,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
シックハウス症候群の診断基準及び具体的対応方策に関する「シックハウス症候群マニュアル」の検証と改正を目的として、新しい知見を踏まえて現マニュアルの内容を詳細に検証し、必要な点について改正を行い、改正された「新マニュアル」について、医療機関等へ普及を実施する。その結果、「新マニュアル」の有益性の成果が期待される。
研究方法
シックハウス症候群(SHS: Sick House Syndrome)は広義には環境に問題のある住宅での健康障害の総称とされ、狭義には特に気密性の高い建物内で新築や改装等の後に発症しその症状は特定の建物内に限られる健康障害とされる。本研究では、室内環境要因が疑われる健康障害患者の現在の割合や特徴を調査し、予防的対策を新しいマニュアルに反映させるための基本情報を得た。
結果と考察
専門外来受診者のうち室内環境要因が疑われる人の約2/3はSHSと診断され、1人を除いて1型又は2型であったことから、化学的環境が要因になっている人が多いと考えられる。つまり予防的対策として特に改装時の化学物質使用時に十分な換気をする、保護具を使用するなどの曝露低減対策が重要と考えられる。また、副分類に3型が多かったことから環境改善に加えて、心理的な対応も増悪予防として必要であると考えられた(宮島・角田)。
レビュー調査結果から、‘シックハウス’の状態は、アレルギー疾患を増悪しうると考えられる。今後、‘シックハウス’おけるアレルギー疾患の再燃、増悪について、どのように考え、言及、診断するか、検討、討議し、コンセンサスを得る必要があるものと結論づけられた(高野)。室内のSVOC汚染物質に対する指針値の方向性及び今後注目すべき室内のSVOC汚染物質を検討した。その結果、可塑剤のDBP、DEHPの代替物質として使用されているDINP、DIDP、DINCH、DOTP、BBPとTBEPなどの使用量が増加し、高濃度、高頻度で検出される化学物質はSHS発症に関するリスク要因、即ち新たな室内汚染物質として、採用を検討すべきであると結論づけた(田邉)。
レビュー調査結果から、‘シックハウス’の状態は、アレルギー疾患を増悪しうると考えられる。今後、‘シックハウス’おけるアレルギー疾患の再燃、増悪について、どのように考え、言及、診断するか、検討、討議し、コンセンサスを得る必要があるものと結論づけられた(高野)。室内のSVOC汚染物質に対する指針値の方向性及び今後注目すべき室内のSVOC汚染物質を検討した。その結果、可塑剤のDBP、DEHPの代替物質として使用されているDINP、DIDP、DINCH、DOTP、BBPとTBEPなどの使用量が増加し、高濃度、高頻度で検出される化学物質はSHS発症に関するリスク要因、即ち新たな室内汚染物質として、採用を検討すべきであると結論づけた(田邉)。
結論
研究により得られた成果の今後の活用・提供:現時点でのシックハウス症候群診療医療機関への受診者を対象として、現マニュアルにおいて提案されている診断基準と臨床分類を用いて、患者の分類、患者背景、生活状況などの質問票調査、建物内空気室汚染評価、必要に応じてアレルギー検査、精神疾患の診断項目、更年期障害に関する情報も同時に加味した上で、患者の個別特性について検討した。今後は、その情報を基に、現時点での診断基準および臨床分類の妥当性と標準化について検証することで、医療機関における本症をめぐる対応をより適切に修正し、医療現場はもちろん、建築関係者の今後の家屋施工における適切な予防対応を講じる情報を提供することが出来る。
公開日・更新日
公開日
2019-09-25
更新日
-