輸血医療におけるトレーサビリティ確保に関する研究

文献情報

文献番号
201824012A
報告書区分
総括
研究課題名
輸血医療におけるトレーサビリティ確保に関する研究
課題番号
H28-医薬-指定-004
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 栄史(愛知医科大学 輸血部)
  • 田中 朝志(東京医科大学八王子医療センター 臨床検査医学科)
  • 米村 雄士(熊本大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部)
  • 藤井 康彦(山口大学医学部附属病院 輸血部)
  • 紀野 修一(日本赤十字社 北海道ブロック血液センター)
  • 大坂 顯通(順天堂大学医学部 輸血・幹細胞制御学)
  • 岡崎 仁(東京大学 輸血部)
  • 遠藤 正浩(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 平 力造(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 北澤 淳一(福島医科大学 輸血・移植免疫学)
  • 大谷 慎一(北里大学医学部 輸血学)
  • 松岡 佐保子(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
3,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本赤十字社における輸血用血液製剤の製造情報と医療施設のベッドサイドでの輸血実施状況を紐付けすることにより、製剤の適切な使用及び、使用に伴う副反応発生状況を把握する。このことにより、医療施設における輸血製剤使用の実態だけではなく、輸血用血液製剤の安全に関する項目を明確にする。
研究方法
日本赤十字社、愛知医科大学、北里大学病院、県立青森中央病院、東京大学、東京医科大学八王子病院、熊本大学、山口大学が参加し、セルフチェック機能についたデータ入力シート及び入力チェックシートによる、データ収集を行った。平成29年9月~11月の3ヶ月のデータを収集し、システムの適切性を確認した。
結果と考察
8,282件のデータの収集を行い、その統合及び解析は国立感染症研究所で行った。解析の結果、製剤の使用バッグ数、年齢別副反応発生率、性別副反応発生率、血液型別副反応発生率、製造経過日数別副反応発生率等を明らかにした。これらのデータはこれまでの製剤別の副反応発生件数のデータに加えて、詳細な解析が可能となり、輸血医療の安全性向上のための重要なデータとなる。また、併せて米国輸血学会に参加し、関連する海外の情報収集を行った。収集データの精度に関し、情報収集データシートに不正入力防止機能を付加することにより、日本赤十字社がもつ血液製剤の情報と医療機関がもつ患者有害事象データを適切に連結し、解析することが可能であった。今後、今回のスタディで規定したデータ取集項目を学会のヘモビジランス小委員会で標準化するとともに、参加医療機関の規模を拡大させることにより、日本の輸血医療の安全性確保に貢献することが期待できる。
結論
本研究にて構築をすすめてきたトレーサビリティシステムを用いたパイロットスタディを実施し、日本赤十字社と7医療施設から3ヶ月間の輸血情報を収集し連結後解析した。既存のヘモビジランス活動では難しかった詳細な副反応発生割合の解析が可能となり、本トレーサビリティシステムによる輸血製剤の安全性向上の貢献が期待された。今後はこのシステムを全国の医療施設および日本赤十字社が導入することで、標準的に輸血情報を収集し解析できるように活動を拡大推進していく。

公開日・更新日

公開日
2019-07-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201824012B
報告書区分
総合
研究課題名
輸血医療におけるトレーサビリティ確保に関する研究
課題番号
H28-医薬-指定-004
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 栄史(愛知医科大学 輸血部)
  • 田中 朝志(東京医科大学八王子医療センター 臨床検査医学科)
  • 米村 雄士(熊本大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部)
  • 藤井 康彦(山口大学医学部附属病院 輸血医学)
  • 紀野 修一(日本赤十字社、北海道ブロック血液センター)
  • 大坂 顯通(順天堂大学医学部 輸血・幹細胞制御学)
  • 岡崎 仁(東京大学 輸血部)
  • 遠藤 正浩(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 平 力造(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 北澤 淳一(福島医科大 輸血・移植免疫学)
  • 大谷 慎一(北里大学医学部 輸血学)
  • 松岡 佐保子(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本赤十字社における輸血用血液製剤の製造情報と医療施設のベッドサイドでの輸血実施状況を紐付けする仕組みを作り、重要項目を解析・検討することにより、製剤の適切な使用及び、使用に伴う副反応発生状況を把握する。このことにより、医療施設における輸血製剤使用の実態だけではなく、輸血用血液製剤の安全に関する項目を明確にする。
研究方法
平成28年度及び平成30年度のパイロットスタディでは、日本赤十字社、愛知医科大学、北里大学病院、県立青森中央病院、東京大学、東京医科大学八王子病院、熊本大学、山口大学、神奈川県内の医療施設が参加し、データの統合は国立感染症研究所で行った。解析から製剤の使用バッグ数、年齢別副反応発生率、性別副反応発生率、血液型別副反応発生率、製造経過日数別副反応発生率等を明らかにした。
結果と考察
収集されたデータはこれまでの製剤別の副反応発生件数に加えて、輸血情報に関する詳細な解析が可能となり、輸血医療の安全性向上のための重要なデータとなった。また、平成29年度は、洗浄血小板製剤の副反応低減効果に関する検討及び貯血式自己血輸血の副作用の現状の解析を行い、洗浄PCの使用により、副反応発生割合が低減したことを確認した。さらに貯血式自己血輸血の副作用の現状の解析については、10医療施設の貯血式自己血輸血による副作用を調査し、同種血輸血による副作用データと比較した。パイロットスタディにおいて、情報収集データシートに不正入力防止機能を付加することにより、日本赤十字社がもつ血液製剤の情報と医療機関がもつ患者有害事象データを適切に連結し、解析することが可能であった。また、洗浄PCの使用においては、重症アレルギー反応が全く認められず、副反応の低減に非常に効果があったことが明らかにできた。
結論
トレーサビリティシステムにより輸血製剤の安全性向上の貢献が期待された。今後はこのシステムを全国の医療施設および日本赤十字社が導入することで、標準的に輸血情報を収集し解析できるように活動を拡大推進していく。また、こうしたサーベイランスシステムを用いて、新規に導入された洗浄PC製剤が、PCによる輸血副反応の低減に非常に効果があったことを示すことができた。

公開日・更新日

公開日
2019-07-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201824012C

収支報告書

文献番号
201824012Z