医薬品等の広告監視の適正化を図るための研究

文献情報

文献番号
201824001A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品等の広告監視の適正化を図るための研究
課題番号
H28-医薬-一般-005
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
白神 誠(帝京平成大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 理恵(日本大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,030,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
製薬企業等が行う医薬品等の広告活動で提供される情報の適切性を担保するため、法により虚偽誇大広告が禁止されており、また、この法規制を踏まえた解釈基準として医薬品等適正広告基準が示されている。しかしながら、地方自治体の指導内容に統一化が図られていないとの指摘があることから、現行の適正広告基準の精査を行い、広告監視指導の運用の明確化を図る。
一般用医薬品の適正広告基準等の内容は、行政等が広告表示から受ける消費者の認識を推測して策定したものであるが、実際に消費者がそう感じているかどうかは明らかではないし、そもそも消費者が一般用医薬品の購入に際してどの程度広告に影響されているのかも明らかではない。そこで、これらを明らかにするためOTC医薬品の広告に関する消費者アンケート調査を実施する。
病院薬剤師をモニターとする広告監視モニター制度が機能するとの報告を受けて、診療所の医師をモニターとするパイロットスタディを実施する。
研究方法
適正広告基準等の検討にあたって、関連業界及び東京都の意見を聴取した。
登録されたモニター500人を対象にwebアンケート調査を実施した。回答者の各年齢層、性別について人口構成を反映した割り付けをした。
診療所の医師8名にモニターを依頼した。モニターには随時事例を報告するよう依頼した。月1回程度検討会を開催し、生じた課題等について情報交換を行った。検討会にはDI担当の病院薬剤師に参加をお願いしDIの観点からの助言をいただいた。
結果と考察
医療用医薬品、化粧品等及び家庭向け医療機器等について「適正広告基準」及び「適正広告基準の解説及び留意事項等」の見直しを行い、改定案を作成した。また、コンタクトレンズ及び補聴器については、対応が急がれると思われる部分について手当てした。
消費者の一般用医薬品の選択にテレビ広告が影響を与えていることが示され、また、一般用医薬品の購入に際してインターネットで検索する者も多くいることが明らかとなった。 
診療所の医師をモニターとするパイロットスタディの結果、約4か月間に18件の事例が報告された。事例の内容としては、学術講演会等で演者がスポンサー企業の製品を推奨する偏った情報提供を行った事例及び関連事例が5件、承認外の適応、用量での使用を推奨した事例及び関連事例が4件、信頼できる根拠データがないにもかかわらず本剤の有効性等を説明した事例が5件あった。
医療用医薬品については、購入者が使用者ではなく、また購入費用も最終的には大部分が医療保険により負担されることを考えれば、広告の該当性については消費者に販売する製品とは別の考え方を示す必要がある。昨年9月に厚生労働省から医療用医薬品の販売情報活動に関するガイドラインが発出されたことから、医療用医薬品については、適正広告基準の対象から除外してもよいのではないかと思われる。
消費者の一般用医薬品の選択に、テレビ広告が影響していることが明らかとなり、適正広告基準の重要性が再認識された。また、薬を購入するにあたってインターネットを検索する者も多くおり、インターネット上の広告についても一層の配慮が必要であろう。
診療所の医師による広告監視モニター制度のパイロットスタディにおいて、信頼できる根拠データがないにもかかわらず情報提供が行われていることが報告事例に共通していた。それらはMRから直接伝えられることもあれば、企業が主催する学術講演会やランチョンセミナーでその分野の専門医を通じて伝えられることもある。それらの発言を製薬企業が演者に依頼している実態、また座長からの質問という形で演者から引き出そうとする実態も報告された。
結論
医療用医薬品については広告の該当性については消費者に販売する製品とは別の考え方を示す必要がある。また、医薬品等適正広告基準の対象から除外してもよいのではないかと思われる。
消費者の一般用医薬品の選択に、テレビ広告が影響していることが明らかとなり、適正広告基準の重要性が再認識された。また、薬を購入するにあたってインターネットを検索する者も多くおり、インターネット上の広告についても一層の配慮が必要であろう。
診療所の医師をモニターとするパイロットスタディから、製薬企業が診療所の医師に対して行うプロモーション活動は、病院の医師・薬剤師に対するそれとは違いがあり、より不適切な事例が多い実態が確認された。広告監視を行う上では、病院薬剤師をモニターとする広告監視制度に加えて、診療所の医師をモニターとする広告監視制度が必要であると思われた。また、モニターとして参加いただいた医師からモニターを務めることにより製薬企業からの情報の見方が変わったとのコメントもあり、診療所の医師あるいは医学生に製薬企業から提供される情報を鵜呑みにしないことを啓発する活動が必要と思われた。

公開日・更新日

公開日
2019-07-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-07-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201824001B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品等の広告監視の適正化を図るための研究
課題番号
H28-医薬-一般-005
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
白神 誠(帝京平成大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 理恵(日本大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
製薬企業等が行う医薬品等の広告活動で提供される情報の適切性を担保するため、法による規制とその解釈基準として適正広告基準が示されているが、地方自治体の指導内容が統一されていないとの指摘があることから、現行の適正広告基準等の精査を行い、広告監視指導の運用の明確化を図る。
一般用医薬品の適正広告基準等の内容は、行政等が消費者の認識を推測して策定したものであるが、実際に消費者がそう感じているかどうか、消費者が一般用医薬品の購入に際してどの程度広告に影響されているのかを明らかにする。
病院薬剤師をモニターとする広告監視モニター制度が機能するとの報告を受けて、診療所の医師をモニターとするパイロットスタディを実施する。
1年目に健康食品の広告に対する苦言が専門家から繰り返しあったことから、健康食品の広告の実態を把握し、それが消費者に健康被害をもたらすことがないかについても検証する。
研究方法
一般用医薬品等の適正広告基準等の検討は、都道府県薬事取締当局、医師・薬剤師、消費者関係者等の参画する研究班会議で行った。また、その他の製品の検討にあたって、関連業界及び東京都の意見を聴取した。 
消費者がOTC医薬品の広告を実際にどう感じているか、また、OTC医薬品の購入に際してどの程度広告に影響されているかについてそれぞれweb調査を行った。
診療所の医師8名(2年目は5名)にモニターを依頼した。モニターには随時事例を報告するよう依頼した。
健康食品の広告はインターネットを検索し実態把握を行った。健康食品による健康被害の実態は事故情報データバンクシステムを参照した。消費者の健康食品による健康被害の実態等を明らかにするため消費者を対象にweb調査を行った。
結果と考察
まず一般用医薬品等の適正広告基準等を検討した。これを受けて、厚生労働省は、平成30年9月に適正広告基準を改正し、適正広告基準の解説及び留意事項等を発出した。次いで医療用医薬品、化粧品等及び家庭向け医療機器等について検討を行い、改定案を作成した。また、コンタクトレンズ及び補聴器は、対応が急がれる部分を手当てした。
OTC医薬品の広告に関するアンケート調査の結果、消費者の認識が行政当局の推測とは必ずしも一致していないことが示唆された。消費者の一般用医薬品の選択にテレビ広告が影響を与えていることが示され、また、一般用医薬品の購入に際してインターネットで検索する者も多くいることが明らかとなった。
診療所の医師をモニターとするパイロットスタディの結果、計約10か月の間に34件の事例が報告された。事例の内容としては、学術講演会等で演者がスポンサー企業の製品を推奨する偏った情報提供を行った事例及び関連事例が6件、承認外の適応、用量での使用を推奨した事例及び関連事例が11件、信頼できる根拠データがないにもかかわらず自社製品の有効性等を説明した事例が9件あった。
インターネットには、一見公正なサイトのように見える個人のブログや研究会があるが、ブログの中にはアフィリエイト広告もあり、研究会も実質的に企業がスポンサーとなっているものがある。
事故情報データバンクシステムに登録された健康食品の事故情報には治療に1か月以上要したと報告しているものが5%あり、死亡も0.3%報告されていた。
web調査の結果、健康食品を利用して体調を崩した経験を有する人の割合は6.1%であった。
結論
医療用医薬品については広告の該当性については消費者に販売する製品とは別の考え方を示す必要があり、また医薬品等適正広告基準の対象から除外してもよいのではないかと思われる。
消費者のOTC医薬品の広告に対する認識を踏まえた適正広告基準のさらなる見直しが必要と思われる。一般用医薬品の選択にテレビ広告が影響していることが明らかとなり、適正広告基準の重要性が再認識された。また、薬を購入するにあたってインターネットを検索する者も多くおり、インターネット上の広告についても一層の配慮が必要であろう。
診療所の医師をモニターとするパイロットスタディにより、製薬企業が診療所の医師に対して行うプロモーション活動は、病院でのそれとは違いがある実態が確認されたことから、診療所の医師をモニターとする広告監視制度も必要であると思われた。また、診療所の医師等に製薬企業から提供される情報を鵜呑みにしないことを啓発する活動が必要と思われた。
何らかの情報を持ってインターネットを検索した消費者はその健康食品に効果があると認識するように仕向けられていることが示された。
健康食品の広告は景品表示法と健康増進法により規制されるが、消費者が、企業の健康食品の広告に誘発されて健康食品を使用し、結果として健康被害を生じているのであれば、医薬品医療機器等法に基づき取り締まることも考慮すべきではないかと考える。

公開日・更新日

公開日
2019-07-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201824001C

収支報告書

文献番号
201824001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,030,000円
(2)補助金確定額
2,030,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 375,016円
人件費・謝金 872,000円
旅費 147,400円
その他 635,584円
間接経費 0円
合計 2,030,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2019-05-30
更新日
-