文献情報
文献番号
201823031A
報告書区分
総括
研究課題名
人工・天然由来臭素系化合物の乳幼児摂取量評価
課題番号
H29-食品-若手-008
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 由希子(第一薬科大学 薬学部 分析化学分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
1,540,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)は火災予防等に広く使われていたが、RoHS指令、ストックホルム条約、業界の自主規制等によりその使用量は減少している(旧臭素系難燃剤群)。一方で上記の代替品として現在使用量が増加しているのがエチルヘキシルテトラブロモ安息香酸エステル(TBB)、ビスエチルヘキシルテトラブロモフタル酸エステル(TBPH)等の新規臭素系難燃剤群である。また、これら人工の臭素系化合物の他に、海洋生態系を発生源とする天然由来の臭素系化合物が存在する。本研究ではこれらの人工・天然の臭素系化合物を対象に、乳幼児食品からの曝露評価を行い、リスク管理の基礎資料とすることを目的とする。
研究方法
1) 乳幼児食品の収集と前処理:地域薬局で開催される育児相談会の参加者を対象に福岡県内で2歳までの乳幼児の1日食を陰膳方式で収集を行った。2) Caco-2細胞を用いたin vitro実験:臭素系化合物の消化管吸収機構を明らかにするために、Caco-2細胞(小腸上皮細胞モデル細胞)を用いて消化管膜透過性のスクリーニングを行った。3) 新規臭素系難燃剤の微量分析法の検討と分析 :GC-MSを使用し分析法の検討と化学計測を行った。4) 旧臭素系難燃剤と天然由来臭素系物質の分析:GC-MSを使用し分析法の検討と化学計測を行った。
結果と考察
平成30年度は1)については予定件数の乳幼児関連試料(陰膳・母乳・市販食品・粉ミルク)の収集と分析前処理を追試し、2)についてはCaco-2細胞を用いた透過性スクリーニングを実施、3)、4)についてGC-MSを用いた新規難燃剤、旧難燃剤、天然由来臭素系化合物の分析とデータ解析を行った。得られた結果から求めた離乳食を通じた乳幼児の臭素系化合物の摂取量はTBB、TBPHは検出限界以下、BDE47は0.47ng/day, BDE209は3.9ng/day, 6-MeO-BDE47は7.6 ng/dayであった。
結論
米国有害物質疾病登録局はBDE-209の中期毒性の最小リスクレベル値を0.2 μg/kg/dayと設定している。本研究の対象乳幼児の体重は6.4-12.1kgであり、本研究で得られたBDE209摂取量は最小リスクレベル値を下回る結果になった。一方で、天然由来の臭素系化合物の毒性はいまだ不明確であり、今後のさらなる検討が求められる。
公開日・更新日
公開日
2019-11-26
更新日
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