小規模事業者等におけるHACCP導入支援に関する研究

文献情報

文献番号
201823028A
報告書区分
総括
研究課題名
小規模事業者等におけるHACCP導入支援に関する研究
課題番号
H30-食品-指定-003
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
五十君 静信(東京農業大学 応用生物科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 朝倉 宏(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 窪田 邦宏(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
16,443,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省では、平成28年12月の「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」最終取りまとめの公表を受け、平成30年の通常国会に食品衛生法等を改正する法案を提出し、全ての食品等事業者に対してHACCPによる衛生管理を義務づけることとしている。一方、小規模事業者等に対してコーデックスが規定するHACCPの導入をそのまま義務づけることは困難であり、小規模事業者等に対する弾力的な運用についての検討及び科学的知見の提供等の支援が必要である。本研究班では、HACCPの弾力的運用を必要とする小規模事業者等が手順書の作成、製造過程の検証手法に求められる事項の検討に必要と思われる科学的知見の収集、整理、提供等を行うことを目的とする。
研究方法
研究班では、小規模事業者等向けの手順書を作成するため、以下に係る科学的知見の収集、提供等を行う。①食品業種毎(食品製造業等)における手引書作成の支援では、業界団体が手引書を作成するに当たり、科学的な観点から、危害要因分析、衛生管理の根拠となるデータの入手(文献等)及び提供、手引書(案)の作成及び取りまとめの支援を行う。②HACCPプランの作成における知見の収集では、食品等事業者や業界団体がHACCPプランを作成するにあたり、管理基準設定等の根拠となる食品ごとの加工条件等に係る知見を収集及び整理を行う。③諸外国の弾力的運用の実態及び食品に混入する異物に関する調査では、米国、EU等におけるHACCPに係る制度の運用状況について調査、分析・評価を行い、我が国における制度化にあたり、弾力的に運用すべき事項を提案する。これら3つの内容について、業界団体における手引書の作成状況等を踏まえ、各業種にそれぞれ必要と思われる科学的知見の整理、提供等を3年間で行う。
①②に関連する具体的な研究は、(1) 芽胞形成菌の温度管理による食品中での挙動及び制御方法の検討、(2) 生鮮葉物野菜の洗浄時における殺菌剤使用に関する研究、(3) 生食用食鳥肉の微生物制御に関する研究を行った。③については、(4) 異物混入報告例の実態調査、(5) 海外の小規模事業者におけるHACCPに係わる制度の運用状況における調査(本年度はヨーロッパ)を行った。
結果と考察
飲食店等の手引書案については、その実行性について模擬キッチンを用いて検証した。また製造過程の検証手法の検討では、調理工程で食材の中心温のモニタリングを行うことは困難であることから、模擬キッチンを用いてカレーの加熱工程を例として検討を行った。加熱時における芽胞形成菌の挙動について検証した。 
消費量が増加傾向を示す中食の材料として汎用される、生食用カット野菜を対象として、殺菌方法の検討を行った。次亜塩素酸ナトリウム処理について検討を行い、葉物野菜等の殺菌処理を行う際には、葉を剥離させることが前提条件として有用であることが示された。食鳥肉加工施設における生食用食鳥肉の製造加工に係る工程管理実態を調査し、処理工程の要点のあぶり出しを行った。
海外のHACCPの弾力的運用状況の調査では、ヨーロッパのデンマークにおける現地調査により、小規模事業者への食品衛生監視指導の運用実態を確認した。異物混入については、外部機関の情報提供を受けて事例のデータベース化を進めた。
結論
HACCPの制度化にあたっては、小規模事業者や一定の業種等を対象とした一般衛生管理を基本として、事業者の実情を踏まえた手引書等を参考に必要に応じて重要管理点を設けて管理するなど、弾力的な取扱いを可能とするものとしている。
このような弾力的運用は、既にHACCPを導入している米国やEUでも採用されており、我が国がこのような弾力的運用を採用し実行するためには我が国の食品衛生の実情に合わせた検討が必要であり、本研究班ではその基礎となる科学的知見の収集、整理、提供等を行った。

公開日・更新日

公開日
2019-12-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-12-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201823028Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
18,543,000円
(2)補助金確定額
18,543,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 7,243,000円
人件費・謝金 4,900,000円
旅費 2,100,000円
その他 2,200,000円
間接経費 2,100,000円
合計 18,543,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-10-02
更新日
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