健康食品の安全性確保に資する情報提供、品質確保、被害情報収集体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
201823027A
報告書区分
総括
研究課題名
健康食品の安全性確保に資する情報提供、品質確保、被害情報収集体制の構築に関する研究
課題番号
H30-食品-指定-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
千葉 剛(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 山田 浩(静岡県立大学 薬学部)
  • 朝倉 敬子(東邦大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
17,310,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康寿命の延伸に健康食品の利用が推奨される一方で、健康食品の品質管理は徹底されていない。粗悪な製品の利用や、医薬品と併用は重篤な健康被害を生じる可能性があることから、製品側および利用者側の双方において適切な利用環境を整え、さらには健康被害が生じた際の迅速な行政対応が重要である。申請者は「健康食品」の安全性・有効性情報サイト(HFNet)を介して、安全性を重視した情報提供、共同研究者(山田)は健康食品利用による有害事象(健康被害)の因果関係評価法(アルゴリズム)の開発を行ってきた。本研究は、これまでの研究成果を社会実装するための検討である。
研究方法
研究1)HFNetにおける健康食品と医薬品との相互作用情報の充実および実態の把握
健康食品と医薬品との相互作用に関する情報蓄積を継続的に進め、日々発信する。具体的にはPubMed、医学中央雑誌で文献検索を行い、要約してHFNetに掲載する。掲載情報は50件の追加を目指す。また、健康食品と医薬品を併用に関するアンケート調査を行い、その実態を把握する。

研究2)健康食品(錠剤・カプセル状)の製造管理および原材料の安全性の確保
健康食品(錠剤・カプセル状)の製造管理および原材料の安全性の確保のため、健康食品の製造管理(GMP)および原材料の安全性確保について幅広く事業者団体等からの意見の聴取を行い、実態を把握する。健康食品の品質確保のためのガイドラインの策定に資する資料を作成する。

研究3)有害事象の迅速・簡便な収集のためのアルゴリズムの実用化
これまでに作成したアルゴリズムを基に、指定成分等含有食品の利用による健康被害の因果関係を把握するための調査を行う。具体的には、因果関係の程度や症状の内容についてアルゴリズム等を用いて情報を振り分けることの妥当性と報告に必要な項目を検討する。
結果と考察
研究1)医薬品と各種健康食品素材の相互作用について、60素材100件の相互作用情報をHFNetに追加した。
実態調査として、(1)未成年の子(1歳~高校生)を持つ母親を対象に調査した結果、「サプリメントと処方薬もしくは市販薬を併用している」子は3.2%であり、年齢が上がるとともに増加した。また、多くの母親は併用について医療従事者へ伝えておらず、サプリメントの安全性に関する知識は不十分であることが示唆された。(2)全国の薬局薬剤師を対象に調査した結果、アドバイザリースタッフの資格の有無にかかわらず、患者のサプリメント利用状況を必ず確認している薬剤師は3割程度にとどまった。

研究2)「特別の注意を必要とする成分等を含む食品(指定成分等含有食品)」の製造管理(GMP)と原材料・製品の安全性確認を告示により制度化するため、医薬品医療機器等法、食安発0201003号「錠剤、カプセル状等食品の適正な製造に係る基本的考え方について」及び「錠剤、カプセル状等食品の原材料の安全性に関する自主点検ガイドライン」について、食品添加物自主GMP、健康補助食品GMPガイドライン、JIHFS GMP規範(食品規格協会)を比較検討し、すべてのGMPの共通項を抽出した。医薬品医療機器等法を基に共通項を記述するとともに、事業者団体の意見も考慮したGMP素案を作成した。

研究3)これまでに作成してきた報告フォーマットならびに因果関係評価アルゴリズムを架空事例に基づき医療従事者において試用し、有用性の評価を行った。その結果、報告フォーマットにおいては一致率が高い回答項目が多い一方で、回答のばらつきが見られる項目もあり、記載内容の改訂が必要と考えられた。
健康食品に関連する4業界団体より、食品衛生法改正につき意見を集めた。指定成分等含有食品においては、健康被害情報を行政機関に報告するべきという認識で一致しているが、因果関係の判断には、健康食品の摂取と有害事象発現の時系列の確認もしくは医療関係者の診断が必要である。
結論
消費者(未成年)および薬剤師を対象とした調査から、健康食品と医薬品の併用による健康被害(体調不良)が報告される一方で、母親や薬剤師における健康食品、特に医薬品との相互作用への認識・確認が不十分である実態が明らかになった。そのため、HFNetにおいて健康食品と医薬品との相互作用に関する情報を充実させ、さらに周知させる必要がある。また、指定成分等含有食品における健康被害の未然・拡大防止のためには、品質管理および健康被害の報告が重要であるが、事業者および関連団体の協力がなくては実効性のある制度にならない。本年度、関連団体より聞き取り調査を行った結果を基に、政策に反映させる取り組みが必要である。

公開日・更新日

公開日
2020-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-06-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201823027Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
22,500,000円
(2)補助金確定額
22,444,454円
差引額 [(1)-(2)]
55,546円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,902,158円
人件費・謝金 6,993,630円
旅費 304,322円
その他 4,054,344円
間接経費 5,190,000円
合計 22,444,454円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2020-06-23
更新日
-