食品衛生検査を実施する試験所における品質保証システムに関する研究

文献情報

文献番号
201823010A
報告書区分
総括
研究課題名
食品衛生検査を実施する試験所における品質保証システムに関する研究
課題番号
H29-食品-一般-005
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 卓穂(一般財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所 公益事業部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
23,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
分析値の品質保証に関する取組みの指針となる業務管理要領を改訂し、品質保証に組み込まれる要素である新たな技能試験プログラムを開発することを目的とした。
研究方法
国際整合性を踏まえた業務管理要領案の開発に関する研究では、業務管理要領案の付属文書とすることを想定した内部品質管理の一般ガイドライン案を開発した。ISO/IEC 17025認定取得に向けた試験所の検討に関する研究では、各自治体への改訂業務管理要領の導入の一助となるよう、改訂により作成が求められる規定、文書、マニュアル等の案を作成し、その実行性を検証した。既存技能試験プログラムの改善及び新規技能試験プログラムの導入に関する研究では、残留農薬の技能試験プログラム用試料の安定性と均質性の改善を目標に、えだまめを基材とした使用の妥当性を検討し、パイロットスタディを実施した。また、安定性と均質性の向上を期待し、粉体工学技術(スプレードライヤ)を応用し、コメの重金属を対象としたPT試料の作製条件の検討を行い、実行スケールでの作製を試みた。新規技能試験プログラムの開発及び統計学的評価に関する研究では、実際に薬品を投与した動物から作製した試料を用いた技能試験のパイロットスタディを実施した。新規技能試験プログラム用試料の開発に関する研究では、予備検討をもとに動物用医薬品を投与した動物(豚)からパイロットスタディ用試料を作製した。また、ホタテガイをマトリクスとしたオカダ酸群の1年間の安定性を評価した。
結果と考察
国際整合性を踏まえた業務管理要領案の開発に関する研究では、我が国の試験所が整合すべき内部品質管理の一般を示す国際的な標準文書として、Codexガイドライン及びその実行文書を特定した。本文書は必ずしも食品分野において実行可能とは言えないため、食品衛生法に基づく検査を実施する試験所における活動の実際も踏まえ、より具体的かつ限定的とならない内容で、内部品質管理の一般ガイドライン案を開発した。ISO/IEC 17025認定取得に向けた試験所の検討に関する研究では、地方衛生研究所全国協議会臨時総会で会員の長に対して、食品検査の業務管理がISO/IEC17025に準拠した取組みとなる動きや昨年度の厚労科研費での研究成果である新たな業務管理導入における課題等について説明した。また、認定を取得している地方衛生研究所や登録検査機関の協力を得て、各種マニュアル、規定及び文書を入手し、業務管理要領改定により必要となるマニュアル等の案を作成した。既存技能試験プログラムの改善及び新規技能試験プログラムの導入に関する研究では、残留農薬検査用基材としてのえだまめペーストの均質化の改善を目的に、水分と油分を添加し、均質な試料が作製できた。これを技能試験試料として、17機関参加の元パイロットスタディを実施し、えだまめを基材として使用することが可能であることがわかった。また、紛体工学技術(スプレードライヤ)で作製したコメの重金属PT試料は、実行スケールの作製においても、カドミウムについていずれの濃度でも理論値にほぼ一致し、スプレードライヤが有用であることが示された。新規技能試験プログラムの開発及び統計学的評価に関する研究では、ホタテガイを基材としたオカダ酸群の新規技能試験プログラムのパイロットスタディで、少数のデータからの参加者の技能を評価する方法を適用した。付与値よりも低濃度を報告する試験所が多く、通常の参加者のロバスト平均値によるでは正しく評価できないことが明らかとなった。新規技能試験プログラム用試料の開発に関する研究では、体重約100 kgの豚に対して動物用医薬品(セフチオフル、エンロフロキサシン)を投与し、約6時間後に屠殺し、試料の均質性を確認した。
結論
業務管理要領の改定案については、食品衛生法に基づく検査を実施する試験所における活動の実際も踏まえ、より具体的かつ限定的とならない内容で、内部品質管理の一般ガイドライン案を開発した。また、技能試験プログラムの開発においては、えだまめの残留農薬用PT試料の開発を行い、パイロットスタディが実施できた。紛体工学技術(スプレードライヤ)で作製したコメの重金属PT試料は、実行スケールの作製においても均質な試料ができ、スプレードライヤがその作製に有用であることが示された。一方、新規技能試験プログラムの開発においては、ホタテガイを基材としたオカダ酸群のパイロットスタディで、少数のデータからの参加者の技能を評価する方法を適用した。

公開日・更新日

公開日
2019-11-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-11-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201823010Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
38,734,000円
(2)補助金確定額
38,734,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 11,884,981円
人件費・謝金 33,411円
旅費 1,512,273円
その他 16,388,335円
間接経費 8,915,000円
合計 38,734,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2020-06-19
更新日
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