文献情報
文献番号
201823007A
報告書区分
総括
研究課題名
食品由来が疑われる有症事案に係る調査(食中毒調査)の迅速化・高度化に関する研究
課題番号
H29-食品-一般-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
大西 真(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
- 林 哲也(九州大学 大学院医学研究院)
- 大岡 唯祐(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
- 鈴木 匡弘(藤田医科大学 医学部微生物学講座)
- 砂川 富正(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
23,153,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
食中毒の迅速な探知を実施するため、全国地方衛生研究所(地衛研)と国立感染症研究所は腸管出血性大腸菌(EHEC)分離株の分子型別が実施されてきた。IS-printing (IS-P)法とMLVA法が感染研と一部の地衛研で実施可能となっている。これらの方法の対象範囲を拡大するとともに、新規簡易迅速型別法(PCR-based ORF typing, POT法)をEHECにも利用可能とすることで、より迅速で高精度の解析手段の開発を目標とする。また、わが国では分子型別法データと疫学情報との統合が困難となっているため、分子型別法の結果と疫学情報を効率良く簡便に統合するシステムも合わせて開発することを目的とした。
研究方法
2017年度選定した解析対象部位およびISを用いた解析系を開発し、検証改良を行った。2017年度開発したMLVA43法で2018年分離株の解析を行った。NESIDデータとMLVAデータを突合させるプログラムの作成と評価、改善案の検討を行った。また、より迅速な集団発生・広域散発事例の探知を目的として、過去データから算出したベースラインとの比較により、特異な患者報告数の増加を機械的に探知するシステムの開発も試みた。
結果と考察
O121, O103, O111に対するIS-P法およびPOT法の開発が勧められ、O121およびO111, POT法はほぼ開発が終了した。IS-P_O103法は最終的な系の確定段階に入った。MLVA43法は実証が行われ利用可能であることが示された。O103に対する解像度の検討と改善の方法も考案された。NESIDの過去データから算出したベースラインとの比較により、特異な患者報告数の増加を機械的に探知するシステムを用いて2017年データの遡り調査の結果、年間のアラート発出件数は30件であった。アラート検知のアルゴリズムを感度、特異度、即時性の観点から検証し、改良を検討することが今後の課題である。
結論
分子型別法の開発が3つの手法においてほぼ計画通り進められた。また、発生動向調査に基づいたアラート発出および調査を支援するNESIDデータとMLVAデータの連携の2点についてシステム・ツール開発のプロトタイプの開発が進んだ。最終年度では、型別法の検証をさらに進めると同時に、発生動向調査に基づいたアラート発出とその検証を厚生労働省と連携して運用を試みる。
公開日・更新日
公開日
2019-09-17
更新日
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