職場における酸欠リスクの実態把握と酸欠災害の防止対策についての研究

文献情報

文献番号
201822022A
報告書区分
総括
研究課題名
職場における酸欠リスクの実態把握と酸欠災害の防止対策についての研究
課題番号
H30-労働-一般-009
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
齊藤 宏之(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 人間工学研究グループ)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
酸素欠乏症は酸素濃度が低下した状況において発生する災害であり,罹災した場合には死亡の危険性が非常に高く,深刻な労働災害の原因となっている。酸素欠乏の原因は主として生物の呼吸や金属の酸化による酸素消費,他のガスの噴出による酸素濃度低下などであり,我が国では酸素欠乏症による労働災害を防ぐため,酸素欠乏症等防止規則(昭和47年労働省令第42号)が規定されており,規制対象となる酸素欠乏危険場所が労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)の別表第6において列挙している1)2)。しかしながら,実際の酸欠事故は必ずしも列挙された場所でのみ発生しているわけではなく,列挙されていない場所における酸欠事故も発生している状況である。酸素欠乏症等を有効に防止するためには,現在規制対象となっていない職場における酸欠リスクの実態の調査や,酸欠災害の発生状況,発生原因の調査を行うことにより,適切なリスク評価を行うことが必要であり,その上で必要に応じて規制対象の再検討を行うことが求められている。本研究では,労働災害データベースから酸欠事故例ならびにその疑いのある事例を抽出し,類型別に分類した上で,労災データ(臍帯調査復命書等)の精査を行うことにより,該当する事故例の存在を明らかにすること,さらに当該作業の酸欠リスクがどの程度あるのかについてのリスク評価を行うことを目的とする。
研究方法
酸素欠乏症ならびにその疑いのある労働災害の事例を抽出するために,厚生労働省が「職場のあんぜんサイト」にて公開している死亡災害データベースを用いた解析を実施した。対象としたのは当該サイトにて研究実施時点で公開されていた平成3年(1991年)から平成28年(2016年)までの27年分である。
結果と考察
死亡災害データベースにてキーワード検索した結果,酸素欠乏症等の疑いのある事例(一酸化炭素中毒や硫化水素中毒,酸欠の結果として事故が発生したと思われる事例を含む)として,415件が該当した。このデータに対して,酸欠,硫化水素中毒,一酸化炭素中毒の分類を行った。その結果,酸欠が原因である,または疑われる事例が221件,硫化水素が原因である事例が36件,一酸化炭素が原因である事例が119件,このデータに含まれる情報では判断できない事例が39件あった。このように,このデータに記載されている概要では判断できないものも多々あったことから,現在災害調査復命書による追加調査を進めている。また,酸欠事故について,労働安全衛生法施行令の別表第6に記載されている酸素欠乏危険場所のどれに該当するかについいても,同時に分類を進めている状況である。
結論
 酸素欠乏等による労働災害は以前に比べると減少傾向にはあるものの,毎年のように死亡災害が発生している。酸素欠乏症等防止規則も制定から長期間が経過し,見直しの時期に来ている。現状,労働安全衛生法施行令にて規定された酸素欠乏危険場所で作業を行う際には酸素濃度の測定,換気の実施,酸素マスクの装着等の対策を求めているが,ここで規定されていない場所での事故例が少数とはいえ存在することがわかっている。このリスクをどのように見積もり,どのような対策につなげていくのかが求められる。次年度の研究においては,さらにデータの解析を進め,事故例の類型化を行うとともに,規定外の場所における事故例についてのリスク評価を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2019-06-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-06-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201822022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,500,000円
(2)補助金確定額
2,213,468円
差引額 [(1)-(2)]
1,286,532円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,361,280円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 52,188円
間接経費 800,000円
合計 2,213,468円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-02-20
更新日
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