臨海コンビナート設備のねじ接合部の腐食減肉に関する供用適性評価技術の開発

文献情報

文献番号
201822009A
報告書区分
総括
研究課題名
臨海コンビナート設備のねじ接合部の腐食減肉に関する供用適性評価技術の開発
課題番号
H29-労働-一般-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
辻 裕一(東京電機大学 工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 博之(東京電機大学 工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 臨海コンビナートのプラントでの腐食減肉では、フランジ継手等に使用されるねじ部品の減肉が現実に発生しているにも拘わらず、定量的評価は行われていない。フランジ継手の締結状態は漏洩に直接影響するが、ねじ部品の減肉に関する合否判定基準が国内外に無い。ねじ部品の減肉は、デッキ、プラットホーム、サポートなどの屋外鋼構造物にも多く見られる。ねじ部品の破壊は直ちに重大な事故・災害に結びつく。
 本研究では、コンビナートにおけるねじ部品の減肉に着目し、減肉の実態の把握、減肉速度の予測モデル、減肉の許容基準・余寿命評価方法の開発を行う。成果を踏まえ、ねじ締結部の供用適性評価を行える減肉評価ガイドライン作成を最終目標とする。本年度は、ねじ部品の減肉許容基準の提案と締結性能の定量的評価、ねじ部品の減肉に対する腐食解析技術の検討を行う。並行して、ねじ部品の腐食減肉状況の現地調査を複数のコンビナート地区で実施し、腐食状況の確認、及び立地環境との関連について調査する。
研究方法
 ねじ部品の減肉許容基準については、非線形有限要素解析により得られるボルト・ナット締結モデルの塑性崩壊までの挙動に基づき提案する。ナットの減肉のモデル化は、円錐台形状を含む4通りである。各モデルでの減肉許容限界を求めるとともに、ボルト・ナット系の剛性低下に伴う締付け力低下及び締結性能の評価を試みる。
 ねじ部品の腐食減肉状況の現地調査は、国内の代表的なコンビナート地区であり、立地環境が大きく異なる鹿島地区、京葉地区、水島地区の各地区を対象として実施する。減肉ねじ部品について、寸法、形状を測定するとともに、腐食解析のための試料として入手する。
 腐食解析技術の検討については、昇温脱離法(TDA)の手法を、現地調査で入手した減肉ボルトと減肉ナットに対して適用した。
結果と考察
1:ねじ部品の減肉許容基準の提案
 減肉の許容限界を実際の締付け力レベルに対応させた新たな定義とした。ナットの減肉許容限界は、ボルト頭部についても同一とできる。円錐台状減肉では、体積比で75.3%の減肉まで許容できる。
 ナット高さと二面幅の同時減肉に対する許容限界の場合について、ボルト・ナット系の剛性率低下に伴う締付け力低下が22.3%となることを締付け線図に基づき示した。この締付け力低下は、初期締付け力のばらつきと同程度以下である。フランジ継手において漏洩につながることは無く、一般の締結体においても締結性能に及ぼす影響は小さいことが予想される。
2:ねじ部品の腐食減肉状況の現地調査
 各コンビナート地区のうち、鹿島地区における腐食減肉の進行が顕著であったが、腐食状況は飛来海塩粒子量と関連づけることができた。鹿島地区は飛来海塩粒子量の年平均量が29 mg NaCl/m2・dであるのに対し、水島地区や京葉地区では6 mg NaCl/m2・d未満である。この飛来海塩粒子量の差により、外面腐食深さの比は4倍になるとされている。
 腐食が進行しているねじ部品は、呼び径でM16以下であり、ナットの腐食が進行する一方で、ボルトの軸の減肉は少ない。ナット座面があたる面が水平で上側の場合に腐食が顕著であり、これは雨水等が溜まりやすいためと推測される。基礎ボルトのナットの腐食も同様の理由と考えられる。減肉ナットには錆の浮き上がりによる特有の外観が見られ、「菊割れ」などと呼ばれている。
3:腐食解析技術の検討
 嵌合部のナット、ボルトともに水素は微量である。外部露出した部分のナットの水素は微量であるが、ボルトの水素は多量であり、水素量は部位によって異なる。水素量と腐食の比較では、より内側にある部材(ボルト)の水素量が大きい。さらに、水素の多寡と腐食度合いに一定範囲で相関があることを示した。以上のように、ボルト、ナットの腐食解析におけるTDAによる水素分析の有用性を示した。
結論
平成30年度の研究により、以下の結論を得た。
 ねじ部品の減肉許容基準については、実際の締付け力レベルに対応し、また現実的な減肉形状に対する減肉許容限界を示した。締付け線図を用いて、ナット減肉によるボルト・ナット系の剛性低下に伴う締付け力低下を評価する方法を提案した。締付け力の低下量は、初期締付け力のばらつきと同程度以下であり、締結性能は維持されると考えられる。
 ねじ部品の腐食減肉状況の現地調査より、ねじ部品の腐食状況は飛来海塩粒子量と関連づけることができた。さらには、事業所の中でも腐食減肉の進行が著しい環境、条件を特定した。
 腐食解析技術の検討については、水素分析が腐食の解析に有効であることを示した。分析された水素量と腐食の間に相関性があり、水素が微量のとき腐食は軽微である。また、ボルトとナットの位置関係で、より内側にあるボルト側での水素の発生が優勢である。

公開日・更新日

公開日
2019-06-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-06-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201822009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,500,000円
(2)補助金確定額
8,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 7,879,000円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 621,000円
間接経費 0円
合計 8,500,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-02-20
更新日
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