文献情報
文献番号
201822005A
報告書区分
総括
研究課題名
機械設備に係る簡易リスクアセスメント手法の開発に関する調査研究
課題番号
H28-労働-一般-005
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
梅崎 重夫(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域)
研究分担者(所属機関)
- 清水 尚憲(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域)
- 齋藤 剛(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域)
- 濱島 京子(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域)
- 福田 隆文(長岡技術科学大学 システム安全専攻)
- 木村 哲也(長岡技術科学大学 システム安全専攻)
- 島田 行恭(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域)
- 吉川 直孝(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域)
- 酒井 一博(労働科学研究所)
- 余村 朋樹(労働科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
1,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
機械設備等に起因する労働災害を防止するには、機械の設計・製造段階及び使用段階で適切なリスクアセスメントを実施する必要がある。しかし、危険性を十分に熟知していない人が機械設備の使用段階でリスクアセスメントを実施しようとする場合、通常は次のような困難が考えられる。
1)機械の機能や危険性に関する十分な情報と適切な支援が得られない状態で、リスクアセスメントを実施するのは困難と考えられる。
2)仮にリスクアセスメントを実施しても、専門家が関与していない状況の下では、実施したリスクアセスメントの妥当性を検証するのは困難と考えられる。
3)リスクアセスメントには継続的な改善が要求される。しかし、リスクアセスメントの妥当性が検証できない状況の下で、形ばかりの継続的改善を進めるのは現場にとって相当な負担となる。
本研究では、以上のような問題が存在すると言われている小規模事業場などを対象に、ユーザー段階でのリスクアセスメントを簡易化する手法の確立を試みた。具体的には、ユーザー段階で発生する労働災害の大部分を占める繰り返し災害を対象に典型的な労働災害事例を抽出し、この事例に対してあらかじめ根本原因の究明と保護方策の明確化を図るなどによって、ユーザー段階でのリスクアセスメントを簡易化する手法などを提案した。
1)機械の機能や危険性に関する十分な情報と適切な支援が得られない状態で、リスクアセスメントを実施するのは困難と考えられる。
2)仮にリスクアセスメントを実施しても、専門家が関与していない状況の下では、実施したリスクアセスメントの妥当性を検証するのは困難と考えられる。
3)リスクアセスメントには継続的な改善が要求される。しかし、リスクアセスメントの妥当性が検証できない状況の下で、形ばかりの継続的改善を進めるのは現場にとって相当な負担となる。
本研究では、以上のような問題が存在すると言われている小規模事業場などを対象に、ユーザー段階でのリスクアセスメントを簡易化する手法の確立を試みた。具体的には、ユーザー段階で発生する労働災害の大部分を占める繰り返し災害を対象に典型的な労働災害事例を抽出し、この事例に対してあらかじめ根本原因の究明と保護方策の明確化を図るなどによって、ユーザー段階でのリスクアセスメントを簡易化する手法などを提案した。
研究方法
本研究では、平成28年度及び平成29年度の研究成果(簡易リスクアセスメントの具体的手法に関する検討結果)を受け、平成30年度において、平成22~25年に発生した労働災害データを基に、特に危険な機械として、死亡災害の多発している16機種(建設機械、クレーン及び移動式クレーン、フォークリフトなど)及び死傷災害の多発している16機種(木材加工用機械、食品加工用機械、プレス機械など)を対象に典型災害事例を抽出し、この妥当性を平成10年以降の労働災害データで確認した。
そして、これらの典型災害事例を利用して、機械を対象とした簡易リスクアセスメントの手法として、紙ベースで行う方法を検討した。しかし、この手法が普及するためには、現場の労働者ができるだけ負担感を持たずに取り組めることが求められる。このため、本研究では、用紙(シート)を用いるよりも、モバイル端末を用いる方が抵抗感・負担感が少ないと考えた。また、このような機器を用いることで集計作業を自動的に行うことも可能と考えた。
このため、平成30年度には、労働安全衛生総合研究所が中心となって、典型災害事例の提示、入力、集計作業等をデジタル機器(タブレット等)で行う支援装置も併せて検討した。また、典型災害事例を自動作成する方法について考察を試みた。さらに、長岡技術科学大学が中心となって、イラスト及び写真による簡易なリスクアセスメントをパソコン上で行う方法について検討した。
そして、これらの典型災害事例を利用して、機械を対象とした簡易リスクアセスメントの手法として、紙ベースで行う方法を検討した。しかし、この手法が普及するためには、現場の労働者ができるだけ負担感を持たずに取り組めることが求められる。このため、本研究では、用紙(シート)を用いるよりも、モバイル端末を用いる方が抵抗感・負担感が少ないと考えた。また、このような機器を用いることで集計作業を自動的に行うことも可能と考えた。
このため、平成30年度には、労働安全衛生総合研究所が中心となって、典型災害事例の提示、入力、集計作業等をデジタル機器(タブレット等)で行う支援装置も併せて検討した。また、典型災害事例を自動作成する方法について考察を試みた。さらに、長岡技術科学大学が中心となって、イラスト及び写真による簡易なリスクアセスメントをパソコン上で行う方法について検討した。
結果と考察
本研究で提案する典型災害事例を利用した手法は、機械の使用者(ユーザー)が熟知している危害を出発点として帰納的に(後ろ向きに)リスクアセスメントを行う。このような手法では、ユーザーが危害を選べば重大な労働災害とその予防措置が一意的に定まるために、リスクアセスメントの実施に伴う不確定性を合理的に可能な限り少なくすることが可能である。したがって、この手法はリスクアセスメントを行う人の能力の「ばらつき」が大きい小規模事業場で特に有用と考えられた。
以上が小規模事業場を対象とした簡易リスクアセスメント手法として、典型災害事例を利用した手法を提案する理由である。ただし、この手法が普及するためには、現場の労働者ができるだけ負担感を持たずに取り組めることが求められる。近年、スマートフォンなどのデジタル機器が普及し、総務省の調査によると、モバイル端末の所有率は94.7%となっており(2016年通信利用動向調査)、若年労働者では、用紙(シート)を用いるよりも、モバイル端末を用いる方が抵抗感・負担感が少ないと考えられる。また、このような機器を用いることで集計作業を自動的に行うことも可能になる。そこで典型災害事例の提示、入力、集計作業等をデジタル機器(タブレット等)で行う支援装置の開発を試みた。
以上が小規模事業場を対象とした簡易リスクアセスメント手法として、典型災害事例を利用した手法を提案する理由である。ただし、この手法が普及するためには、現場の労働者ができるだけ負担感を持たずに取り組めることが求められる。近年、スマートフォンなどのデジタル機器が普及し、総務省の調査によると、モバイル端末の所有率は94.7%となっており(2016年通信利用動向調査)、若年労働者では、用紙(シート)を用いるよりも、モバイル端末を用いる方が抵抗感・負担感が少ないと考えられる。また、このような機器を用いることで集計作業を自動的に行うことも可能になる。そこで典型災害事例の提示、入力、集計作業等をデジタル機器(タブレット等)で行う支援装置の開発を試みた。
結論
現場で利用できる簡易なリスクアセスメント手法として、労働安全衛生総合研究所が中心となって、典型災害事例を利用して危害から出発するリスクアセスメント手法を紙ベース、及びタブレット端末上で行う支援システムを開発した。また、長岡技術科学大学が中心となって、イラスト及び写真による簡易なリスクアセスメントをパソコン上で行う方法について検討した。
公開日・更新日
公開日
2019-12-20
更新日
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