総合診療が地域医療における専門医や多職種連携等に与える効果についての研究

文献情報

文献番号
201821056A
報告書区分
総括
研究課題名
総合診療が地域医療における専門医や多職種連携等に与える効果についての研究
課題番号
H30-医療-指定-018
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
前野 哲博(筑波大学 医学医療系 )
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
1,808,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国において、総合診療医の概念は十分に浸透しておらず、診療範囲も曖昧で、総合診療医の養成が我が国の医療に与える影響は明らかになっていない。そこで本研究では、総合診療医の位置づけを明らかにした上で、その存在が与える影響についてのエビデンスを蓄積するとともに、専門医から総合診療医、総合診療医から他職種、それぞれにおいてタスクシフティング、タスクシェアリングを行った場合の政策効果を含めて、その効果分析を行うことを目的とした。
研究方法
住民調査データの解析:昨年の特別研究(H29-特別-指定-032)の結果を用いて住民調査データの解析を実施した。
事例集、提言のブラッシュアップ:昨年の特別研究の事例・提言をブラッシュアップして、ホームページで広く情報発信を行った。https://soshin.pcmed-tsukuba.jp/education/report/
総合診療医の役割や周囲への影響に関するフィールド調査:総合診療医と人類学者が協働してチーム・エスノグラフィを用いたフィールドワークを行った。
医師以外の職種を対象とした総合診療医に対する認識の調査:モデル事例に対するフィールド調査と、在宅医療に関連する多職種を対象者として、質的探索的研究を実施した。
総合診療医のキャリア形成に関する実態調査:平成30年度の総合診療専攻医を対象としたwebアンケートを実施した。
タスクシフティング研修プログラムの開発と検証:専門医→総合診療医向け、総合診療医→地域医療福祉職向けのプログラムを開発・実施した。
結果と考察
住民調査では、50歳以上、かかりつけ医師がなく、重複診療の経験があることが総合診療専門医への受診意向に関連していた。フィールド調査では、総合診療医の役割浸透、メディカル・ジェネラリズムの浸透、総合診療医の複雑系に対する秩序の安定化に関するプロセスおよび他職種が総合診療医に期待している役割が明らかになった。総合診療医のキャリア形成に関しては、専攻医は、発展性や尊敬できる指導医の存在から総合診療を選択している一方で、総合診療の専門性に対する疑問や懸念、専門医制度に対する不安があり、それが進路選択のためらいにつながっている可能性が示唆された。新しく開発したタスクシフティング研修プログラムについては、専門医→総合診療医向けのプログラムを16回、総合診療医→地域医療福祉職向けを7回実施した。受講者の評価も高く、総合医育成プログラムでの中間評価において半数以上の受講者が現場で実践に移しているなど、有効なプログラム開発が行えていることが示唆された。
結論
本研究は、現時点での我が国における総合診療医の現状、認識、今後求められる役割についてエビデンスを示したもので、今後の総合診療医の位置づけや養成の方向性、タスクシフティングのあり方を検討するうえで有意義な知見を提供するものと考えられた。今後、今回得られた知見をベースにさらに調査を継続して、より多くのエビデンスを得るための研究を行う必要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2019-08-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201821056Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,350,000円
(2)補助金確定額
2,350,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 126,110円
その他 1,681,890円
間接経費 542,000円
合計 2,350,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2019-08-28
更新日
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