文献情報
文献番号
201821055A
報告書区分
総括
研究課題名
医療職種間におけるタスク・シフティング等についての研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H30-医療-指定-017
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
- 小野 孝二(東京医療保健大学 看護学部/大学院看護学研究科 )
- 岡本 左和子(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
- 宮田 裕章(慶應義塾大学 医学部医療政策・管理学教室)
- 磯部 陽(国立病院機構東京医療センター 外科)
- 戎 初代(東京ベイ・浦安市川医療センター 看護部 )
- 山内 英子(聖路加国際大学 聖路加国際病院乳腺外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
2,010,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
米国においても医師の過重労働は深刻な問題である。米国の医療では、Nurse Practitioners (NP)とPhysician Assistants (PA)だけではなく、APRN (専門看護師、NP、助産師、麻酔看護師)を含めてAdvanced Practice Providers (APPs) と総称された職域が存在し、それぞれ明確な役割のもとに医師のタスクシフティング・シェアリング業務遂行がなされている。本研究では、医療の働き方改革の中で焦点となる、医師の働き方改革に伴うタスクシフティング・シェアリングの実行について、1)米国におけるこれらAPPの役割と教育方法、導入と管理方法について、日本の参考となり得るのかと2)日本での特定行為看護師やNP教育を受けた者の成功例について普遍的に広範囲に適用できるのかを検討することを目的とした。
研究方法
本調査では、米国におけるAPPの制度や導入方法、管理方法、教育に関する文献調査を行うとともに、米国カリフォルニア州スタンフォード大学病院および医学校 (Stanford University Medicine) において、APPの教育・導入・管理方法についての詳細な調査と、APP管理者、PA、NPに対してヒアリング調査を実施した。また、国内の離島に勤務する看護師(大学院にてNP教育を受けた)から、現状の勤務内容などのヒアリング調査、同行調査を実施した。
結果と考察
本研究の結果、スタンフォード大学病院には現在440人を超えるAPP (Advanced Practice Providers)が働いているおり、このように多くのNPやPAなどが幅広い分野で活躍する背景には研修医の労働時間制限(80時間ルール)、医師のサポートに対する需要の増大、患者数の増大などが挙げられた。米国のAPPの役割は適材適所に配置され、医師との協働関係も良好であり、APP各自の独立した責任範囲も確立されていた。それぞれの教育は、独立したカリキュラムによって構成され、卒業して各役割の資格を得た後は、各医療機関においてPrivilegesを得て、その許可の下で働き、2年ごとに見直しされる制度となっていた。また、そのPrivilegesの与え方とその承認についても各医療機関で統一された管理の下で運営されており、日本でも十分参考にできると考える。研修医は数年後に巣立って行くが、APPの場合は何年も担当の科に残って知識と経験を集積することができる。このようなAPPの成長は、そのまま将来的な患者へのより良い治療へと繋がり、医師も優秀なAPPの恩恵を長期に渡って享受する事になる。また幅広いAPPの需要がある中でAPPの処遇や教育を疎かにしている科はAPP人材が他科へ流失する事を防げない。これらの理由により病院全体において医師がAPPへの教育にコミットする環境が出来上がっていると言える。日本での特定行為看護師等も一般化できるようなレベルにはある。しかし、そのための教育や管理システムの確立が必要であることも明確になった。
結論
米国のAPPは体系的な教育システムと現場の医師による適切な指導や教育によって信頼できるパートナーとなり得る。その役割は、医師の負担軽減に貢献していることが明確になった。また、日本での特定行為看護師等も一般化できるようなレベルにはあるが、そのための教育や管理システムの確立が必要であることも明確になった。
公開日・更新日
公開日
2020-04-13
更新日
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