文献情報
文献番号
201821047A
報告書区分
総括
研究課題名
日本の都道府県別の保健システムパフォーマンス評価方法の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H30-医療-指定-009
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 健司(東京大学大学院医学系研究科 国際保健政策学教室)
研究分担者(所属機関)
- 野村 周平(東京大学大学院医学系研究科 国際保健政策学教室)
- 阿部 サラ(国立がん研究センター)
- Md Mizanur Rahman(エムディー ミジャヌール ラーマン)(東京大学大学院医学系研究科 国際保健政策学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
1,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、研究代表者らによるこれまでの疾病負荷に関する研究成果を元に、保健アウトカムに疾病負荷を用いた都道府県別の保健システムパフォーマンス評価方法の開発を行う。具体的には、1)我が国の最新の疾病負荷の推定。さらに、2)世界保健機関(WHO) の保健システム評価の枠組みを発展させ、 特に人材・インフラや保健支出評価の枠組みの構築、そしてそれらと健康アウトカムとの関係を包括的に分析する枠組みを確立する。本研究は、我が国の主要な保健医療課題を都道府県レベルで評価し、それらに対応する最善の対策を見つけるための方法論を提示する我が国で初めての試みである。
研究方法
本研究は、世界に先駆けて超高齢社会に突入した我が国の主要な健康課題を都道府県レベルで評価し、それらに対応する最善の対策を見つけるための新たな方法論を提示するものである。国レベルではなく都道府県別の包括的な保健システムパフォーマンス評価方法を開発し、格差是正に向けた健康に関する新たな研究プロジェクト遂行や政策立案、各県民を対象とした詳細な疾病負荷研究などに生かされることが期待される。また本研究では、ベイズ統計・メタ回帰分析など、新たな統計手法の活用も行い、今後の当該分野の発展に大きく貢献することが期待される。
結果と考察
1)我が国の最新の疾病負荷の推定:
1990年から2017年までの我が国の包括的な都道府県別の疾病負荷分析を行った。平均寿命/健康寿命は増大し(79.3歳から84.2歳/69.7歳から73.1歳)、健康改善が進んでいる。しかし一方で、長寿者ほどより多くの障害を抱えて生活していることがわかった(特に感覚・運動器)。同期間中、
全国的にDALYs rate(disability adjusted life years:死亡と障害の疾病負荷混合指標)は上昇を続けており(15.8%増)、障害により健康的な生活の損失が近年増えていることが伺える。特に変性疾患(アルツハイマー病)の負荷が全国的に増加し(196.4%増)、その傾向は将来的より顕著になると見込まれる。代謝系リスク(高血圧、高血糖、高LDLコレステロール)による疾病負荷が増大しており、また喫煙や不健康な食習慣も、主要な健康リスク因子であった。
2)保健人材・インフラと保健アウトカムとの関連評価
(1)で推定された最新の疾病負荷(DALYs)に基づき、保健医療人材や医療施設等の保健システムインプットとの関連を評価した。方法は、都道府県別の全死亡によるDALYs rateと保健医療人材・医療施設等インフラに関する項目について相関係数を算出し、DALYs rateの地域格差がこれらの項目のインプットとどれくらい関連があるかを評価した。評価項目は、人口10万人あたり医師数・内科医数・専門医数・看護師数・保健師数・医療施設数・病床数、研修医マッチング率、一人あたり医療費とした。このうち、相関関係がみられた項目は医師数、内科医数、専門医数、研修医マッチング率であった。これらは負の相関であったため、これらの項目に関するインプットが多い都道府県ではDALYs rateが減少する関係にある。最も強い関連がみられたのは研修医マッチング率であり、若い医師の確保や研修医が希望する医療施設もしくはプログラムへの従事状況がDALYs rateに影響する可能性が示唆された。しかし、いずれの項目も弱い相関関係であったため、地域の健康格差は保健医療人材、医療施設等の保健システムインプットのみでは必ずしも説明しきれないことも判明した。都道府県間の健康格差の解明は残課題であり、今後の疾病負荷研究の重点となる。
1990年から2017年までの我が国の包括的な都道府県別の疾病負荷分析を行った。平均寿命/健康寿命は増大し(79.3歳から84.2歳/69.7歳から73.1歳)、健康改善が進んでいる。しかし一方で、長寿者ほどより多くの障害を抱えて生活していることがわかった(特に感覚・運動器)。同期間中、
全国的にDALYs rate(disability adjusted life years:死亡と障害の疾病負荷混合指標)は上昇を続けており(15.8%増)、障害により健康的な生活の損失が近年増えていることが伺える。特に変性疾患(アルツハイマー病)の負荷が全国的に増加し(196.4%増)、その傾向は将来的より顕著になると見込まれる。代謝系リスク(高血圧、高血糖、高LDLコレステロール)による疾病負荷が増大しており、また喫煙や不健康な食習慣も、主要な健康リスク因子であった。
2)保健人材・インフラと保健アウトカムとの関連評価
(1)で推定された最新の疾病負荷(DALYs)に基づき、保健医療人材や医療施設等の保健システムインプットとの関連を評価した。方法は、都道府県別の全死亡によるDALYs rateと保健医療人材・医療施設等インフラに関する項目について相関係数を算出し、DALYs rateの地域格差がこれらの項目のインプットとどれくらい関連があるかを評価した。評価項目は、人口10万人あたり医師数・内科医数・専門医数・看護師数・保健師数・医療施設数・病床数、研修医マッチング率、一人あたり医療費とした。このうち、相関関係がみられた項目は医師数、内科医数、専門医数、研修医マッチング率であった。これらは負の相関であったため、これらの項目に関するインプットが多い都道府県ではDALYs rateが減少する関係にある。最も強い関連がみられたのは研修医マッチング率であり、若い医師の確保や研修医が希望する医療施設もしくはプログラムへの従事状況がDALYs rateに影響する可能性が示唆された。しかし、いずれの項目も弱い相関関係であったため、地域の健康格差は保健医療人材、医療施設等の保健システムインプットのみでは必ずしも説明しきれないことも判明した。都道府県間の健康格差の解明は残課題であり、今後の疾病負荷研究の重点となる。
結論
本研究の成果を国内外に積極的に発信し(MEDITECH FINDER等)、より開かれた透明性の高い保健政策立案に向けたエビデンス形成のための保健システム評価基盤を強化する。
公開日・更新日
公開日
2020-04-13
更新日
-