AIを活用したゲノム医療推進に係る人材育成に関する萌芽的研究

文献情報

文献番号
201821046A
報告書区分
総括
研究課題名
AIを活用したゲノム医療推進に係る人材育成に関する萌芽的研究
課題番号
H30-医療-指定-008
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
横山 和明(東京大学 医科学研究所附属病院血液腫瘍内科)
研究分担者(所属機関)
  • 井元  清哉(東京大学・医科学研究所 健康医療データサイエンス分野)
  • 湯地 晃一郎(東京大学・医科学研究所 国際先端医療社会連携研究部門)
  • 古川 洋一(東京大学・医科学研究所 臨床ゲノム腫瘍学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
1,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 医科学研究所におけるAIを用いた診療支援において、AIはがん細胞のゲノムシークエンス解析を行い、同定されたゲノム変異の臨床的解釈、すなわち「結果の解釈」のプロセス(流れ図赤字部分)で活用されている。通常、シークエンス解析結果の解釈には、一人一人の患者のがん細胞に生じた膨大な数のゲノム変異を、膨大な医学論文、データベース、臨床試験情報等と照らし合わせながら臨床的に解釈する必要がある。これは多大な労力を要する作業である。このプロセスにおいて、理論上は知識量・文献検索量に制約のないAIを活用する事により、これまでに蓄積されている知識を効率的に医師に与えることができる。これにより診療の質の向上が期待できる。しかし、現状ではこのような先進的医療を担う人材育成に対応した教育基盤をどのように整備し、どの時期に教育を行うべきかという課題は、十分な議論がなされておらず可及的速やかに取り組むべき喫緊の課題と言える。
そこで、本研究では、AIを活用したがんゲノム医療の先進モデル事例としてWfGを取り上げ、AIを活用したゲノム医療を推進する医師を育成するためのカリキュラムの開発と、その教育実施方法を確立するための方策を模索する事を目的とする。
研究方法
本研究では、AIを活用したがんゲノム医療の先進モデル事例としてWfGを取り上げ、AIを活用したゲノム医療を推進する医師を育成するためのカリキュラムの開発と、その教育実施方法を確立するための方策を模索するための萌芽的研究を行った。具体的には、まず本研究の研究協力者である医学博士課程在学中(卒後数年程度)の医師3名が、昨年1年間を通じて下記流れ図に従いOJTを経験し、各症例について綿密なディスカッションを重ね、臨床的に有意な結果を主治医にフィードバックするという経験を蓄積した。次に、この学習経験を通じて明らかとなった問題点や指導の要点を研究代表者と分担者らが集中的にディスカッションして整理した。この指導経験の中で明らかになった、AIを活用したがんゲノム医療に携わる専門医育成における指導ポイントを、具体例を挙げつつ提示する。
結果と考察
 一連のAIを活用したゲノム医療のOJTを実際に研究協力者として3人の大学院生(医師)が経験した中で、代表的な指導事例3つと指導ポイントを提示した。いずれの指導ポイントも、医学部卒後数年程度の大学院生3名に対して、何故自分たちが結果の解釈につまずいたのかを理解させる点において有用であった。
結論
 AIを活用したゲノム医療のOJT学習経験を通じて判明した問題点や指導の要点を、具体例を挙げて提示した。この学習経験を通じ、ゲノム医療の一連のプロセスはあくまでも専門医が主体で行う必要があるが、AIは結果の解釈のプロセスにおいて効率的に情報を提示する強力な支援ツールであると考えられた。ゲノム医療の実装にはAIの特性を理解し、有効に活用する事のできる専門医の育成が必要であり、それには多分野と連携した専門医育成の教育基盤整備が急務であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2020-04-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-04-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201821046Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,400,000円
(2)補助金確定額
2,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 871,458円
人件費・謝金 0円
旅費 435,820円
その他 548,646円
間接経費 553,000円
合計 2,408,924円

備考

備考
物品費の消費税などの為。

公開日・更新日

公開日
2020-03-11
更新日
-