持続陽圧(CPAP,ASV)治療管理開始時からの治療状況確認と自己学習を含めた患者・医療機関相互方向の遠隔医療の試み

文献情報

文献番号
201821023A
報告書区分
総括
研究課題名
持続陽圧(CPAP,ASV)治療管理開始時からの治療状況確認と自己学習を含めた患者・医療機関相互方向の遠隔医療の試み
課題番号
H30-医療-一般-009
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
陳 和夫(京都大学 大学院医学研究科呼吸管理睡眠制御学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 巽 浩一郎(千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学)
  • 平井 豊博(京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)
  • 森田 智視(京都大学大学院医学研究科医学統計生物情報学)
  • 大平 徹郎(国立病院機構 西新潟中央病院呼吸器センター内科)
  • 坪井 知正(国立病院機構 南京都病院呼吸器科)
  • 富井 啓介(神戸市立医療センター中央市民病院呼吸器内科)
  • 葛西 隆敏(順天堂大学大学院医学研究科心血管睡眠呼吸医学講座)
  • 千葉 伸太郎(東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学教室(太田総合病院付属研究所太田睡眠科学センター))
  • 黒田 知宏(京都大学大学院医学研究科医療情報学)
  • 中山 健夫(京都大学大学院医学研究科健康情報学)
  • 吉嶺 裕之(社会医療法人春回会井上病院内科・呼吸器内科)
  • 權 寧博 (日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野)
  • 吉川 雅則(奈良県立医科大学呼吸器内科学)
  • 小川 浩正(東北大学大学院医学系研究科産業医学分野/先進呼吸管理学寄附講座/環境・安全推進センター)
  • 百村 伸一(自治医科大学総合医学第1講座)
  • 小賀 徹(川崎医科大学呼吸器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
7,690,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成28-9年度において厚生労働科学研究、地域医療基盤開発推進研究事業における実証研究が一つの資料となって、平成30年度からのCPAP遠隔モニタリング加算の有力な資料となった。しかしながら、医師対患者のCPAP遠隔医療の実施は、同時に施行されたオンライン診療との関連で様々な疑問点が生じ、施設基準、モニタリング資料の患者への連絡の方法などに未だ解決すべき問題が多い。そのため、本研究班では、平成30年度から、診療報酬に認められたCPAP遠隔モニタリング加算の実施後の状況と改善すべき点などに付き検討を加えた。診療報酬に認められたCPAP遠隔医療を基盤として、肥満を有するOSA患者に対して、遠隔モニタリングシステムを用いてCPAPアドヒアランス・体重・血圧・活動度をモニタリングし生活指導を加えることが、患者の行動変容につながり肥満が改善するかを検証することを本研究班の最も優先すべき研究目的とした。また、CPAPと同じ持続管理料2に分類されているAdaptive Servo Ventilation (ASV)に対してもCPAPと同様の遠隔モニタリングによる管理が可能かを検証することも研究目的とした。
研究方法
1)CPAP療法中の睡眠時無呼吸患者の肥満に対する遠隔モニタリングシステムを利用した減量指導の検証のため肥満を有するOSA患者に対して、遠隔モニタリングシステムを用いてCPAPアドヒアランス・体重・血圧・活動度をモニタリングし生活指導を加えることが、患者の行動変容につながり肥満が改善するかを検証するため、前向きの無作為化比較試験を行う。
2)Adaptive Servo Ventilation (ASV)療法中の心不全患者における遠隔モニタリングシステムを利用した対面診療間隔の検討の実証研究を行う。
3) 現況のCPAP、ASVの診療調査と遠隔モニタリング加算の現状と実情を調査するためアンケート調査を行う。
4)遠隔モニタリング加算開始後の患者のCPAPアドヒアランスと利便性の向上のために、情報学的に当然と思われるありようを基本として、各種の法的要件を如何にすれば満たしうるかについて整理を行う。



結果と考察
研究方法に示された実証研究1)、2)については、倫理委員会提出の書類(後述)提出、研究代表者の施設において倫理委員会承認後、他の参加施設においても倫理委員会申請承認が相次いでいる。1)については研究代表者施設においては実証研究も開始された。
3)アンケート調査について
日本呼吸器学会認定・関連施設(289*/880:32.8%)、日本睡眠学会専門・登録医療機関(65*/110:59.1% *4施設重複)、日本循環器学会認定循環器専門医研修・研修関連施設(301/1354: 22.2%)においてアンケートが回収可能であった。アンケート調査のCPAPとASV管理数は、CPAPは 102,389名であり、ASVは2,218台であった。遠隔加算の施行を認識している施設は70%存在するにもかかわらず、行っている施設が16.6% 、加算が算定されているCPAP台数は6305台(6.2%)であった。運用の拡大を図るためには施設基準の改正、連絡手段の複数化とその明示が必要と考えられた、
4)遠隔医療のモデル構築について
(ア) 通院負担を負いにくい患者層のアドヒアランスを向上する、(イ)早期介入を実現することでアドヒアランスを向上するの効果を最大化するためには、プログラム医療機器(検出アプリケーション)、電子メールやSNSなどのネットワークインフラのグループでの活用が重要であると考えられた。特に電子メール活用について、現行の京都大学病院で医師メール環境上のグループ機能などを用いて、送信者の記録が残り、グループ診療を行っても患者・医師双方に不都合の生じない環境を構築した。このシステム構築により、現状において、指摘されている様々な問題を解決しつつ、(ア)(イ)の課題を解決することは、技術的には全く難しくないことを明らかにした。
結論
本課題で最も重要研究となる実証研究は予定通り研究計画を立て、倫理委員通過して実証研究が行われつつある。遠隔医療のスムーズな発展のために、法に基づいた基盤整理と、CPAPの遠隔医療の実際を3学会の認定施設にアンケート調査したところ、CPAP遠隔加算については現状のクラウドシステムでの使用、および睡眠時無呼吸という疾病を鑑みて施設基準が必要でないことがほぼ明らかになった。また、60歳未満の働き盛りの患者が全患者の半数を占めるという状況と患者の利便性、および記録が残るという点からもメールなどの通信機器の使用も積極的に行われるべきかと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2020-01-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-01-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201821023Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,997,000円
(2)補助金確定額
9,997,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,948,417円
人件費・謝金 1,421,116円
旅費 2,002,662円
その他 1,317,969円
間接経費 2,307,000円
合計 9,997,164円

備考

備考
必要試薬を購入したら164円足りなかったので自己負担したため。

公開日・更新日

公開日
2020-01-17
更新日
-