医療安全管理体制の可視化と人材育成のための研究

文献情報

文献番号
201821021A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全管理体制の可視化と人材育成のための研究
課題番号
H30-医療-一般-007
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
長尾 能雅(名古屋大学医学部附属病院 医療の質・安全管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 遠山 信幸(自治医科大学附属さいたま医療センター総合医学講座)
  • 南須原 康行(北海道大学医学部附属病院医療安全管理学)
  • 浦松 雅史(東京医科大学医学部医療の質・安全管理学)
  • 兼児 敏浩(三重大学医学部附属病院医療安全・感染管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
3,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、①医療安全管理体制の評価指標・評価方法とその応用方法の開発、②医療安全管理部門に従事する者に求められるスキル・コンピテンシーの特定、③医療安全管理者の教育方法(プログラム)の検討、という三つの目標に取り組むこととする。医療安全管理体制の定量化と比較が可能となれば、医療安全管理者に求められるスキルやコンピテンシーがより明確となり、それらを向上させるための効率的な教育プログラムの策定に繋がることが期待される。本研究は二か年計画とし、主に1年目に①に、2年目に②、③に取り組むこととする。本研究は、特定機能病院のみならず、多くの医療機関を調査対象として展開することも可能で、研究成果を広く活用することが可能と考える。
研究方法
名古屋大学医学部附属病院(以下、名大病院)において、過去、医療安全管理者(以下、GRM)が、患者に重症なことが起きたと判断したレポート(以下、重症レポート)がある。(図 3)。この識別されたレポートを教師データとして、機械的に言葉に重み(以下、タームスコア)をつける。具体的には、ある単語について、重症と判断されたレポート群に出現する割合と、重症と判断されなかったレポート群に出現する割合の比をとり、これを重症タームスコアとする。同様に、名大病院のGRMが医療行為に過失があった可能性があると判断したレポート(以下、過失レポート)があり、重症タームスコアの算出と同様に、過失タームスコアを算出する。このようにして、言葉の一つ一つに重症タームスコアと過失タームスコアを算出する。
次に、レポートごとに、そのレポートに含まれる全ての言葉の重症タームスコアの平均値を算出し、これを重症レポートスコアとする(図 4)。同様に、過失レポートスコアを算出する。
次に、組織(施設または部署)ごとに、その組織に含まれる全てのレポートの重症レポートスコアの平均値を算出し、その組織の重症スコアとする。同様に、組織の過失スコアを算出する。
結果と考察
図 78~図 87は、名大病院の部署ごとのリスクスコアの経時推移をとったものである。青線が各月のリスクスコア、緑線は各月前後1ヶ月を含めた3ヶ月間の移動平均、赤線は各月前後2ヶ月を含めた5ヶ月間の移動平均を表している。他共同研究施設(5病院)においても同様に部署ごとのリスクスコアの経時推移を算出している。

結論
・組織のリスクを指標化することが一定条件下で可能となった。
・インシデントレポートの透明性を指標化することが一定条件下で可能となった。
・成果を達成できる医療安全管理者のコンピテンシーの特定や、人材養成事業における授業コンテンツの作成に繋げていく。

公開日・更新日

公開日
2019-08-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201821021Z