文献情報
文献番号
201821017A
報告書区分
総括
研究課題名
看護師等養成所における教員のカリキュラム開発力に関する研究
課題番号
H30-医療-一般-003
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
吉田 文子(佐久大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
- 松田安弘(群馬県立県民健康科学大学 看護学部)
- 荘島宏二郎(独立行政法人大学入試センター 研究開発部)
- 網野寛子(帝京平成大学 ヒューマンケア学部)
- 山内豊明(放送大学 教養学部)
- 柳澤佳代(佐久大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
4,781,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療・看護への社会ニーズの増大とともに、看護師等養成所のカリキュラムもそれに対応する必要がある。しかし、その実情は、保健師助産師看護師学校養成所指定規則(指定規則)に則ったものとはいえ、画一的なカリキュラムになりやすい。本研究は、看護師等養成所における「カリキュラム開発」と「教員のカリキュラム開発への理解・力量」の実態を把握し、看護師等養成所のカリキュラム開発に向けた指針(提言)の作成を目的とした。
研究方法
以下の2つの調査を実施した。
1.調査1 インタビュー調査
看護師等養成所(3年課程・2年課程)の教務責任者にカリキュラム開発の実情をインタビュー調査し、結果を質的分析した。期間:平成30年5月~6月、対象:5施設の教務責任者、方法:インタビューガイドを用いて60分程度のインタビューを実施、分析方法:インタビュー内容をICレコーダーに記録、逐語録を作成したのち意味内容の類似性、創意性を比較しコード化、カテゴリ化を行い、「カリキュラム開発に関する調査票」を作成した。
2.調査2 自記式質問紙調査(郵送法)
全国の看護師等養成所(3年課程・2年課程)の教務責任者に「調査1」で作成した調査票を用いて実施した。期間:平成30年10月~11月、対象:全国の看護師等養成所の全日制・通信制(3年課程・2年課程)の教務責任者、方法:調査内容は、カリキュラム開発に関する調査40項目、個人属性9項目、組織属性4項目の計53項目で構成した。分析方法:対象者の属性の分析では記述統計量の算出後、カリキュラム開発に関する40項目の因子分析、個人属性や組織属性と各因子との関係性の確認のために分散分析、クロス集計を行った。これらの結果に基づき、カリキュラム開発への支援として「全国調査に基づくカリキュラム開発の考え方への提言」を作成した。
3.倫理的配慮
代表研究者が所属する研究倫理委員会に研究計画書を提出し、承認後に実施した。
1.調査1 インタビュー調査
看護師等養成所(3年課程・2年課程)の教務責任者にカリキュラム開発の実情をインタビュー調査し、結果を質的分析した。期間:平成30年5月~6月、対象:5施設の教務責任者、方法:インタビューガイドを用いて60分程度のインタビューを実施、分析方法:インタビュー内容をICレコーダーに記録、逐語録を作成したのち意味内容の類似性、創意性を比較しコード化、カテゴリ化を行い、「カリキュラム開発に関する調査票」を作成した。
2.調査2 自記式質問紙調査(郵送法)
全国の看護師等養成所(3年課程・2年課程)の教務責任者に「調査1」で作成した調査票を用いて実施した。期間:平成30年10月~11月、対象:全国の看護師等養成所の全日制・通信制(3年課程・2年課程)の教務責任者、方法:調査内容は、カリキュラム開発に関する調査40項目、個人属性9項目、組織属性4項目の計53項目で構成した。分析方法:対象者の属性の分析では記述統計量の算出後、カリキュラム開発に関する40項目の因子分析、個人属性や組織属性と各因子との関係性の確認のために分散分析、クロス集計を行った。これらの結果に基づき、カリキュラム開発への支援として「全国調査に基づくカリキュラム開発の考え方への提言」を作成した。
3.倫理的配慮
代表研究者が所属する研究倫理委員会に研究計画書を提出し、承認後に実施した。
結果と考察
調査1では、4つのカテゴリ(57コード)が抽出され、それに基づき、調査2で用いるカリキュラム開発に関する調査票(40項目)を作成した。
調査2では、協力が得られた377(回収率54.9%)を集計分析した。40項目の平均値は3.41、因子数は3(33項目)であった。因子1「教育目標と科目内容・教育方法との整合性に関すること」、因子2「カリキュラム開発に関すること」、因子3「カリキュラム評価に関すること」と命名した。教育課程では3年課程(定時制)の因子得点が低く、研修や講習会への参加が可能となる組織作りが必要と考えられた。教務主任養成講習会の受講経験者は29.4%であった。同講習会の受講の有無で、因子2と因子3に平均値の差が見られたが、今後受講することで解消されると考えられた。
調査2では、協力が得られた377(回収率54.9%)を集計分析した。40項目の平均値は3.41、因子数は3(33項目)であった。因子1「教育目標と科目内容・教育方法との整合性に関すること」、因子2「カリキュラム開発に関すること」、因子3「カリキュラム評価に関すること」と命名した。教育課程では3年課程(定時制)の因子得点が低く、研修や講習会への参加が可能となる組織作りが必要と考えられた。教務主任養成講習会の受講経験者は29.4%であった。同講習会の受講の有無で、因子2と因子3に平均値の差が見られたが、今後受講することで解消されると考えられた。
結論
看護師養成施設を対象とした教員のカリキュラム開発への理解・力量の実態が明らかになった。カリキュラム編成や開発の経験がない学校が3割弱を占め、かつその知識を得る機会である教務主任養成講習会への参加率が3割弱と低く、さらに教育経験4年までの教務主任ではカリキュラム開発に関する知識に接していない可能性が推測された。
本研究の結果として、カリキュラム開発に関する調査の中で全国平均から顕著に低かった項目を基に、9つの提言と教育の方向性の可視化や学習者のレディネス診断指標ともなる3つのポリシーについても記した「全国調査結果に基づくカリキュラム開発の考え方への提言―看護師等養成所の教務主任・教員の皆様へ―」と題する資料を指針に代えて作成した。
本研究の結果として、カリキュラム開発に関する調査の中で全国平均から顕著に低かった項目を基に、9つの提言と教育の方向性の可視化や学習者のレディネス診断指標ともなる3つのポリシーについても記した「全国調査結果に基づくカリキュラム開発の考え方への提言―看護師等養成所の教務主任・教員の皆様へ―」と題する資料を指針に代えて作成した。
公開日・更新日
公開日
2020-01-24
更新日
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