新たな治療手法に対応する医療放射線防護に関する研究

文献情報

文献番号
201821003A
報告書区分
総括
研究課題名
新たな治療手法に対応する医療放射線防護に関する研究
課題番号
H28-医療-一般-014
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
細野 眞(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 一郎(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 高橋 健夫(埼玉医科大学 総合医療センター)
  • 赤羽 正章(国際医療福祉大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、新しい放射線機器や治療用放射性薬剤による高度な治療を中心にして、放射線診断やIVRを含めた放射線医療における放射線防護体制を確保するための法令や指針の策定に資することを目的として研究を実施した。
研究方法
課題ごとに高度な医療手法の詳細や放射線診療の実態について調査し、また事例に応じて実測や計算によって線量を評価するなどデータを取得して、それらの分析・取りまとめを行い、求められる指針やマニュアル等の案を作成した。検討した課題は以下の通りである。1-1甲状腺癌の放射性ヨウ素(131I)内用療法:甲状腺全摘術後の残存甲状腺の破壊(アブレーション)(2)-131I 1,110MBq(30mCi)を超える線量による外来治療における安全管理に関する研究-、1-2ルテチウム-177標識ソマトスタチンアナログ(Lu-177-DOTA-TATE)注射液の適正使用に関する検討、1-3イットリウム-90標識抗P-カドヘリン抗体注射液の治験における適正使用に関する検討、1-4未承認放射性医薬品の治験等に係る放射線の安全確保に関する検討、2 医療放射線防護の国内実態に関する研究、3 放射線治療における放射線防護に関する研究、4 放射線診断・IVRにおける放射線防護に関する研究。
結果と考察
診療用放射線の技術は常に進歩しており、また医療放射線防護の指針も常に進化している。幅広い診療ガイドラインの改訂や患者の医療ニーズの推移に対しても放射線医療の領域における適切な対応が求められる。そのような動向に対応した国内の法令や指針、制度のアップデートを行って、国民が最新の放射線医療を享受できるような態勢を整えることが重要であると考えられた。有望な放射線医療手法があるのであれば、有効性を検証して臨床の場への導入を進められるよう、関連した放射線防護の指針を速やかに整備することが重要であると考えられた。
結論
本研究において、高度な放射線医療を放射線防護の観点から安全に有効に実施するために必要な環境を整備するうえで、重要な資料を示すことができたと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201821003B
報告書区分
総合
研究課題名
新たな治療手法に対応する医療放射線防護に関する研究
課題番号
H28-医療-一般-014
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
細野 眞(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 一郎 (国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 高橋 健夫(埼玉医科大学 総合医療センター)
  • 赤羽 正章(国際医療福祉大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、新しい放射線機器や治療用放射性薬剤による高度な治療を中心に、放射線診断やIVRを含めて、放射線医療における放射線防護体制を確保するための法令や指針の策定に資することを目的として実施した。本研究者らは、本研究に先立って、放射線医療の安全確保や有効利用、診療用放射線に関連した法令や指針の整備に関して研究を実施しており、これまでの研究成果が法令改正や指針策定に寄与している。本研究では、このようなこれまでの取り組みを継続・発展させ、外部照射・組織内照射の放射線治療手法や、既存並びに新規の放射性薬剤による内用療法の手法を中心に、診療用放射線の管理の実態把握とそれに直結した法令整備、水晶体等価線量限度引き下げ(特にIVR術者)等の課題について調査・研究を実施した。その過程では国際的な指針と国内の法令・指針のハーモナイゼーションを図ることを重要な観点とし、新しい医療手法を国内に導入する際にも円滑に運ぶことのできる放射線防護体制の構築を目指した。
研究方法
課題ごとに高度な医療手法の詳細や放射線診療の実態について調査し、また事例に応じて実測や計算によって線量を評価するなどデータを取得して、それらの分析・取りまとめを行い、求められる指針やマニュアル等の案を作成した。検討した課題は以下の通りである。平成28年度:28-1-1 前立腺癌患者に対してヨウ素125密封小線源永久挿入療法の適用後に帰宅した場合の治療患者以外の第三者に対する放射線安全確保に関する検討、28-1-2 放射性医薬品(放射性ルテチウム-177標識ソマトスタチン類似体(177Lu-DOTA-TATE)注射液)を投与された患者の退出基準について、28-1-3 ヨウ素-131による治療患者に適用した人工透析の安全取扱いに関する検討、28-1-4 イットリウム-90標識抗P-カドヘリン抗体注射液の治験における適正使用に関する検討、28-2 医療放射線防護の国内実態に関する研究、28-3 放射線治療における放射線防護に関する研究、28-4 放射線診断・IVRにおける放射線防護に関する研究、平成29年度:29-1-1 臨床研究におけるMRI室での可搬型PET装置の適正使用に関する検討、29-1-2 甲状腺癌の放射性ヨウ素(131I)内用療法:甲状腺全摘術後の残存甲状腺の破壊(アブレーション)(1)―131I 1,110 MBq(30 mCi)を超える線量による外来治療における安全管理に関する研究―、29-1-3 診療用放射線照射器具における放射線安全確保に関する検討、29-2 医療放射線防護の国内実態に関する研究、29-3 放射線治療における放射線防護に関する研究、29-4 放射線診断・IVRにおける放射線防護に関する研究、平成30年度:30-1-1甲状腺癌の放射性ヨウ素(131I)内用療法:甲状腺全摘術後の残存甲状腺の破壊(アブレーション)(2)-131I 1,110MBq(30mCi)を超える線量による外来治療における安全管理に関する研究-、30-1-2ルテチウム-177標識ソマトスタチンアナログ(Lu-177-DOTA-TATE)注射液の適正使用に関する検討、30-1-3イットリウム-90標識抗P-カドヘリン抗体注射液の治験における適正使用に関する検討、30-1-4未承認放射性医薬品の治験等に係る放射線の安全確保に関する検討、30-2 医療放射線防護の国内実態に関する研究、30-3 放射線治療における放射線防護に関する研究、30-4 放射線診断・IVRにおける放射線防護に関する研究。
結果と考察
放射線治療手法を中心に国内の放射線診療実態や放射線診断、IVRも含めて医療放射線防護について調査・研究をおこなった。実地の医療においては幅広い領域で臨床に係るガイドラインの改訂があったり患者の医療ニーズが推移したりしており、それらについても適切な対応に配慮して検討を実施した。さまざまの動向に対応した国内の法令や指針、制度のアップデートを行って、国民が最新の放射線医療を享受できるような態勢を整えることが重要であると考えられた。
結論
本研究において、高度な放射線医療を放射線防護の観点から安全に有効に実施するための環境を整備するうえで、重要な資料を示すことができたと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201821003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医療放射線防護における課題を明確にして対応策を示すとともに、国際的な指針や国内の諸法令とのハーモナイゼーションの観点からも検討を進め、必要な指針やマニュアル等の案を作成した。本研究において、高度な放射線医療を放射線防護の観点から安全に有効に実施するための環境を整備するうえで、重要な資料を示すことができたと考えられる。
臨床的観点からの成果
前立腺癌に対するヨウ素125密封小線源永久挿入療法、神経内分泌腫瘍に対するルテチウム-177標識DOTA-TATE治療、エックス線診療における品質保証、放射線治療の品質保証、IVRの術者の防護等、臨床に直結する課題に取り組んで指針を示した。
ガイドライン等の開発
臨床研究におけるMRI室での可搬型PET装置の適正使用マニュアル
日本核医学会承認(2017年7月14日)、平成29年度厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)新たな治療手法に対応する医療放射線防護に関する研究(H28-医療-一般-014)(研究代表者:細野 眞)により策定
その他行政的観点からの成果
核種の濃度算定方法に関する改正(平成28年3月31日医政発0331第11号)、「放射性医薬品を投与された患者の退出に関する指針」の改正(平成28年5月11日医政地発0511第1号)、関係国家戦略特別区域法第二十六条に規定する政令等規制事業に係る省令の特例に関する措置を定める命令の一部を改正する命令(平成29年11月17日公布・施行)、「診療用放射線照射器具を永久的に挿入された患者の退出及び挿入後の線源の取扱いについて」(平成30年7月10日医政地発0710第1号)等。
その他のインパクト
J-RIME(医療被ばく研究情報ネットワーク)は、医療放射線に関わる16の学協会からなる組織である。J-RIMEと連携して医療放射線防護に関する知見や情報を発信している。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
22件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
12件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
通知(令和3年8月19日医政地発0819第1号)
その他成果(普及・啓発活動)
5件
J-RIMEを通じた普及・啓発活動

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Hosono M
Perspectives for Concepts of Individualized Radionuclide Therapy, Molecular Radiotherapy, and Theranostic Approaches
Nuclear Medicine and Molecular Imaging , 53 (3) , 167-171  (2019)
10.1007/s13139-019-00586-x
原著論文2
Hosono M
Radiation protection in therapy with radiopharmaceuticals
International Journal of Radiation Biology , 28Sep2018 , 1-4  (2018)
doi:10.1080/09553002.2018.1516910
原著論文3
Hosono M, Ikebuchi H, Nakamura Y et al.
Introduction of the targeted alpha therapy (with Radium-223) into clinical practice in Japan: learnings and implementation
Annals of Nuclear Medicine , 33 , 211-221  (2019)
原著論文4
Hayashi S, Takenaka M, Hosono M et al.
Radiation exposure during image-guided endoscopic procedures: The next quality indicator for endoscopic retrograde cholangiopancreatography
World J Clin Cases , 6 (16) , 1087-1093  (2018)
原著論文5
Hosono M, Ikebuchi H, Nakamura Y et al.
Manual on the proper use of lutetium-177-labeled somatostatin analogue (Lu-177-DOTA-TATE) injectable in radionuclide therapy (2nd ed.)
Annals of Nuclear Medicine , 32 (3) , 217-235  (2018)
原著論文6
Terada H, Yamaguchi I, Shimura T et al.
Regulation values and current situation of radioactive materials in food
Journal of the National Institute of Public Health , 67 (1) , 21-33  (2018)
原著論文7
Yamaguchi I, Shimura T, Terada H et al.
Lessons learned from radiation risk communication activities regarding the Fukushima nuclear accident
Journal of the National Institute of Public Health , 67 (1) , 93-102  (2018)
原著論文8
Shimura T, Yamaguchi I, Terada H et al.
Lessons learned from radiation biology: Health effects of low level exposure to ionizing radiation on humans regarding the Fukushima accident
Journal of the National Institute of Public Health , 67 (1) , 115-122  (2018)
原著論文9
Yamano T, Takahashi T, Ueno S et al.
Evaluation of Quality of Life and Psychological Response in Recurrent and Metastatic Tumors Treated with Palliative Radiotherapy
Journal of Cancer Therapy , 9 , 351-361  (2018)
原著論文10
Murata H, Okamoto M, Takahashi T et al.
SUVmax-based Parameters of FDG-PET/CT Reliably Predict Pathologic Complete Response After Preoperative Hyperthermo-chemoradiotherapy in Rectal Cancer
Anticancer Research , 38 , 5909-5916  (2018)
原著論文11
Takahashi S, Kinuya S, Nonomura N et al.
Japanese expert panel meeting on the management of prostate cancer with bone metastases
Oncol Ther , 6 , 157-171  (2018)
原著論文12
Katsura M, Sato J, Akahane M et al.
Current and Novel Techniques for Metal Artifact Reduction at CT: Practical Guide for Radiologists
Radiographics , 38 (2) , 450-461  (2018)
原著論文13
Katsura M, Sato J, Akahane M et al.
Single-energy metal artifact reduction technique for reducing metallic coil artifacts on post-interventional cerebral CT and CT angiography
Neuroradiology , 60 (11) , 1141-1150  (2018)
原著論文14
Katsura M, Sato J, Akahane M et al.
Effects of pure and hybrid iterative reconstruction algorithms on high-resolution computed tomography in the evaluation of interstitial lung disease
Eur J Radiol , 93 , 243-251  (2018)
原著論文15
Watabe T, Hosono M, Kinuya S et al
Manual on the proper use of sodium astatide ([211At]NaAt) injections in clinical trials for targeted alpha therapy (1st edition)
Annals of Nuclear Medicine , 35 (7) , 753-766  (2021)
10.1007/s12149-021-01619-2

公開日・更新日

公開日
2023-05-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201821003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,200,000円
(2)補助金確定額
3,184,000円
差引額 [(1)-(2)]
16,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 713,142円
人件費・謝金 889,992円
旅費 553,830円
その他 827,653円
間接経費 200,000円
合計 3,184,617円

備考

備考
617円は自己資金から支出したため

公開日・更新日

公開日
2020-03-11
更新日
-