首都直下型地震・南海トラフ地震等の大規模災害時に医療チームが効果的、効率的に活動するための今後の災害医療体制のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201821001A
報告書区分
総括
研究課題名
首都直下型地震・南海トラフ地震等の大規模災害時に医療チームが効果的、効率的に活動するための今後の災害医療体制のあり方に関する研究
課題番号
H28-医療-一般-007
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
小井土 雄一(独立行政法人国立病院機構災害医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
5,039,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
南海トラフ地震、首都直下地震等の大規模災害時に医療チームが効果的、効率的に活動するためにDMAT、災害医療コーディネーター、EMIS等の情報システムの研究を進め、マニュアルやガイドラインを策定し災害医療全体の改善を図ることを目的とする。また平成30年度は大きな災害が4度あった。6月の大阪府北部地震、7月の西日本豪雨災害、8月の平成30年台風第21号、9月の北海道胆振東部地震である。熊本地震の教訓のもとに制定された保健医療調整本部が試された災害であり、西日本豪雨災害と北海道胆振東部地震の検証を追加した。
研究方法
上に含む
結果と考察
平成30年8月4日、南海トラフ地震の想定にて平成30年度大規模地震時医療活動訓練が実施された。「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」(平成29年6月改定)等に基づく総合的な実動訓練を通して当該活動に係る組織体制の機能と実効性に関する検証を行った。検証事項:DMATの指揮系統及び運用、搬送調整、巨大な医療ニーズへの対応方法、保健医療福祉分野との連携。
ロジスティクスに関しては、大規模地震時医療活動訓練等におけるDMATの指揮及び運用について検証、ロジスティックステーションの具現化に向けたNEXCO等と連携した訓練による検証、医薬品卸業界、医療機器、酸素等の関連業界との連携訓練による災害時の連携についての検証、医療機関における水及び自家発電機用燃料の供給に関する検討、被災地における通信手段の確保手法の検証ができた。
EMISに関しては、災害発生時、医療機関状況の把握にはEMISによる情報共有が不可欠であることが平成30年度の災害においても浮き彫りとなった。しかし、被災地域の医療機関自らのよる入力率は決して高いとは言えず、代行入力で補っているのが現実であった。また、ライフライン被害への具体的対応には、より詳細な情報提供が必要で、これらの情報を平時から施設の基礎情報としてEMISに登録できるよう改良すべきである。
地域医療搬送については、昨年度の本分担研究で作成した地域医療搬送マニュアル(案)について、本年度の「大規模地震時医療活動訓練」などにおける検証作業を実施し、地域医療搬送フローに修正を加えた。その結果、地域医療搬送に必要な最大公約数的項目を定めた「地域医療搬送マニュアル」の最終案を確定した。
広域医療搬送については、SCU整備状況の検討、C2輸送機を用いたDMAT機内活動のマニュアル作成、患者搭載要領の統一、機内設備の検討、平成30年度大規模地震時医療活動訓練の反省点と課題の抽出、航空自衛隊C2輸送機実機訓練とDVD作成、平成30年北海道胆振東部地震における災害医療調査ヘリコプターの活用について検討を行った。
災害医療コーディネーターに関しては、実災害における災害医療コーディネート体制確立の状況やDHEAT と医療救護との関係について調査検討し、課題解決に向けた提案を行った。平成30年7月豪雨で倉敷市保健所に設置された県南西部保健医療調整部における災害医療コーディネートとDHEATに関する現状と課題の検討、および平成30年北海道胆振東部地震における北海道災害医療コーディネーターの検証を行った。
南海トラフ地震などの巨大地震が発生時には、一定期間、被災地内での医療継続のために病院のBCPの観点で、どのように判断と支援要請をするのかを標準化することが求められる。そこで定型化した自己判断手順と判定結果(病院行動評価群ver2)を示し、受援、支援双方の情報共有の基盤形成を示した。
DMATの安全管理に関する研究では、熊本市民病院の聞き取り調査を行い病院避難の課題を抽出した。また、平成30年の台風21号、北海道胆東部地震における電源喪失に関する課題抽出、DMAT隊員の保障に関して研究した。病院避難に関しては、病院避難のガイドラインの必要性が明らかとなった。
周産期・小児医療提供体制に関する研究においては、小児周産期リエゾン研修のプログラムの拡充と改良を行った。平成30年度大規模地震時医療活動訓練にリエゾンとして参加し課題抽出を行った。また、「災害時小児周産期リエゾン活動要領案」を作成し、厚生労働省検討会での検討材料として提出した。
災害診療記録/J-SPEEDに関しては、平成30年7月豪雨(岡山県)では、災害診療記録の利用率は98.8%、北海道胆振東部地震(北海道)では、96.3%であり、災害時の診療録のあり方に関する合同委員会によって牽引された「関係団体の垣根を超えたオールジャパン体制での災害時診療情報管理体制の実現」という東日本大震災の教訓化が果たされた。
平成30年7月豪雨、北海道胆振東部地震は、熊本地震以降の保健医療調整本部活動が試された災害であり、多くの課題抽出と対応策が練られた。
結論
上に含む

公開日・更新日

公開日
2022-04-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201821001B
報告書区分
総合
研究課題名
首都直下型地震・南海トラフ地震等の大規模災害時に医療チームが効果的、効率的に活動するための今後の災害医療体制のあり方に関する研究
課題番号
H28-医療-一般-007
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
小井土 雄一(独立行政法人国立病院機構災害医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
南海トラフ地震、首都直下地震等の大規模災害時に医療チームが効果的、効率的に活動するためにDMAT、災害医療コーディネーター、EMIS等の情報システムの研究を進め、マニュアルやガイドラインを策定し災害医療全体の改善を図ることを目的とする。また平成30年度は大きな災害が4度あった。6月の大阪府北部地震、7月の西日本豪雨災害、8月の平成30年台風第21号、9月の北海道胆振東部地震である。熊本地震の教訓のもとに制定された保健医療調整本部が試された災害であり、西日本豪雨災害と北海道胆振東部地震の検証を追加した。
研究方法
上に含む
結果と考察
平成30年8月4日、南海トラフ地震の想定にて平成30年度大規模地震時医療活動訓練が実施された。「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」(平成29年6月改定)等に基づく総合的な実動訓練を通して当該活動に係る組織体制の機能と実効性に関する検証を行った。検証事項:DMATの指揮系統及び運用、搬送調整、巨大な医療ニーズへの対応方法、保健医療福祉分野との連携。
ロジスティクスに関しては、大規模地震時医療活動訓練等におけるDMATの指揮及び運用について検証、ロジスティックステーションの具現化に向けたNEXCO等と連携した訓練による検証、医薬品卸業界、医療機器、酸素等の関連業界との連携訓練による災害時の連携についての検証、医療機関における水及び自家発電機用燃料の供給に関する検討、被災地における通信手段の確保手法の検証ができた。
EMISに関しては、災害発生時、医療機関状況の把握にはEMISによる情報共有が不可欠であることが平成30年度の災害においても浮き彫りとなった。しかし、被災地域の医療機関自らのよる入力率は決して高いとは言えず、代行入力で補っているのが現実であった。また、ライフライン被害への具体的対応には、より詳細な情報提供が必要で、これらの情報を平時から施設の基礎情報としてEMISに登録できるよう改良すべきである。
地域医療搬送については、昨年度の本分担研究で作成した地域医療搬送マニュアル(案)について、本年度の「大規模地震時医療活動訓練」などにおける検証作業を実施し、地域医療搬送フローに修正を加えた。その結果、地域医療搬送に必要な最大公約数的項目を定めた「地域医療搬送マニュアル」の最終案を確定した。
広域医療搬送については、SCU整備状況の検討、C2輸送機を用いたDMAT機内活動のマニュアル作成、患者搭載要領の統一、機内設備の検討、平成30年度大規模地震時医療活動訓練の反省点と課題の抽出、航空自衛隊C2輸送機実機訓練とDVD作成、平成30年北海道胆振東部地震における災害医療調査ヘリコプターの活用について検討を行った。
災害医療コーディネーターに関しては、実災害における災害医療コーディネート体制確立の状況やDHEAT と医療救護との関係について調査検討し、課題解決に向けた提案を行った。平成30年7月豪雨で倉敷市保健所に設置された県南西部保健医療調整部における災害医療コーディネートとDHEATに関する現状と課題の検討、および平成30年北海道胆振東部地震における北海道災害医療コーディネーターの検証を行った。
南海トラフ地震などの巨大地震が発生時には、一定期間、被災地内での医療継続のために病院のBCPの観点で、どのように判断と支援要請をするのかを標準化することが求められる。そこで定型化した自己判断手順と判定結果(病院行動評価群ver2)を示し、受援、支援双方の情報共有の基盤形成を示した。
DMATの安全管理に関する研究では、熊本市民病院の聞き取り調査を行い病院避難の課題を抽出した。また、平成30年の台風21号、北海道胆東部地震における電源喪失に関する課題抽出、DMAT隊員の保障に関して研究した。病院避難に関しては、病院避難のガイドラインの必要性が明らかとなった。
周産期・小児医療提供体制に関する研究においては、小児周産期リエゾン研修のプログラムの拡充と改良を行った。平成30年度大規模地震時医療活動訓練にリエゾンとして参加し課題抽出を行った。また、「災害時小児周産期リエゾン活動要領案」を作成し、厚生労働省検討会での検討材料として提出した。
災害診療記録/J-SPEEDに関しては、平成30年7月豪雨(岡山県)では、災害診療記録の利用率は98.8%、北海道胆振東部地震(北海道)では、96.3%であり、災害時の診療録のあり方に関する合同委員会によって牽引された「関係団体の垣根を超えたオールジャパン体制での災害時診療情報管理体制の実現」という東日本大震災の教訓化が果たされた。
平成30年7月豪雨、北海道胆振東部地震は、熊本地震以降の保健医療調整本部活動が試された災害であり、多くの課題抽出と対応策が練られた。
結論
上に含む

公開日・更新日

公開日
2022-04-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201821001C

収支報告書

文献番号
201821001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,840,000円
(2)補助金確定額
10,840,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 427,380円
人件費・謝金 2,970,120円
旅費 2,553,091円
その他 2,388,409円
間接経費 2,501,000円
合計 10,840,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2020-03-11
更新日
-