肝炎ウイルス感染者の偏見や差別による被害防止への効果的な手法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201820007A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎ウイルス感染者の偏見や差別による被害防止への効果的な手法の確立に関する研究
課題番号
H29-肝政-指定-005
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 四柳 宏(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター感染症分野)
  • 米澤 敦子(東京肝臓友の会)
  • 中島 康之(東京肝臓友の会/全国B型肝炎訴訟大阪弁護団)
  • 梁井 朱美(東京肝臓友の会/全国B型肝炎訴訟九州原告団)
  • 及川 綾子(東京肝臓友の会/薬害肝炎全国原告団)
  • 浅井 文和(国立国際医療研究センター 肝炎情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 肝炎対策基本指針において、肝炎患者等が不当な差別を受けることなく社会において安心して暮らせる環境づくりを目指すとしており、そのための具体的・効果的な手法の確立を目指した研究を行う。また、肝炎に関する教育の現状と課題を把握し、普及啓発方法等について検討した上で、教材を作成し、その効果を検証する研究を実施する。
研究方法
 ①ウイルス肝炎の感染経路及びウイルス肝炎の感染性についての理解度に関するアンケート調査を実施した。11問題、22項目について問題集を作成し、解答後は直ちに正しい答えを理解できるように封印した解答集を問題集と合わせて配布することで、正しい知識、適切な対応を自己学習できるようにした。2018年8月2日の倫理審査委員会の承認後に下記の研究協力施設に問題集と解説書を送付した。
 ②肝炎患者のあり方、肝炎患者への偏見差別を考える公開シンポジウムを6月に福岡で、8月に札幌で、10月に大阪で、12月に東京で開催し、参加者からアンケート調査を実施した。
結果と考察
①ウイルス肝炎全般およびウイルス肝炎の感染性に関する理解度を把握するためのアンケート調査の実施
 29の国立病院機構病院と国立国際医療センター病院に所属する15772名の病院職員と16の国立病院機構付属看護学校と看護大学校、看護大学に所属する3962名の看護学生、合わせて19734名を対象にアンケート用紙を配布した。2019年1月25日の時点で11200名(56.8%)から回収でき、11200名分のアンケート調査の中間解析をおこなった。その結果、下記の3点が明らかとなった。
 1. B型肝炎は、血液を介して感染し空気感染しないということに対する理解度については、国家資格を有する者、医療従事者として患者に直接かかわる職種では、概ね正しく理解されていると考えられた。
 2. E型肝炎という疾患そのものが一般的には知られていない、正しく理解されていないと考えられた。
 3. C型肝炎が食事を介して感染するか否か、針刺し事故での感染確率、蚊を介して感染が成立するかに関する理解は、医師以外の職種では、概ねC型肝炎の感染確率を過大評価していると考えられた。

②肝炎患者のあり方、肝炎患者への偏見差別を考える公開シンポジウムの開催
 毎回80名前後の参加者があり、ウイルス肝炎患者のあり方、偏見差別の問題について参加者と共に議論をおこなった。歯科診療における外来環(歯科外来診療環境体制加算)制度、病院受診時の告知の問題、感染性医療廃棄物の扱い、職場での肝炎検診における問題などをテーマとして、参加者と共に討論をおこなった。参加者からは、肝炎患者の偏見差別を減らすための具体的な方法を見出すことへの期待、このような公開シンポジウムの開催を引き続きおこなうことなどの期待が寄せられた。
結論
 看護学生1,899名を含む病院職員11,200名を対象としてウイルス肝炎の感染経路及び感染確率に関する理解度を明らかにする目的で実施した無記名アンケート調査の結果、以下の3点を明らかにした。
 1. B型肝炎は、血液を介して感染し空気感染しないということに対する理解度については、国家資格を有する者、医療従事者として患者に直接かかわる職種では、概ね正しく理解されていると考えられた。
 2. E型肝炎という疾患そのものが一般的には知られていない、正しく理解されていないと考えられた。
 3. C型肝炎が食事を介して感染するか否か、針刺し事故での感染確率、蚊を介して感染が成立するかに関する理解は、医師以外の職種では、概ねC型肝炎の感染確率を過大評価していると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2019-09-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-09-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201820007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
25,000,000円
(2)補助金確定額
25,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 262,866円
人件費・謝金 469,570円
旅費 3,345,600円
その他 18,922,004円
間接経費 2,000,000円
合計 25,000,040円

備考

備考
自己資金40円

公開日・更新日

公開日
2020-03-30
更新日
-