地域に応じた肝炎ウイルス診療連携体制構築の立案に資する研究

文献情報

文献番号
201820003A
報告書区分
総括
研究課題
地域に応じた肝炎ウイルス診療連携体制構築の立案に資する研究
課題番号
H30-肝政-一般-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
金子 周一(国立大学法人 金沢大学 医薬保健研究域医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 鳥村 拓司(久留米大学 医学部 内科学講座消化器内科部門)
  • 伊藤 義人(京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科学)
  • 日浅 陽一(愛媛大学 大学院医学系研究科 消化器・内分泌・代謝内科学)
  • 江口 有一郎(佐賀大学 医学部附属病院 肝疾患センター)
  • 田中 純子(広島大学 大学院医歯薬保健学研究科 疫学・疾病制御学)
  • 考藤 達哉(国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
10,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
B型・C型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス療法は近年劇的に進歩し、肝硬変および肝がんへの進展阻止が有効に行われている。また、画像診断を中心とする肝がんのサーベイランスが行われている。こうした状況にもかかわらず、肝炎ウイルス感染者が肝臓専門医(以下専門医)へ紹介されない、非肝臓専門医(かかりつけ医)から専門医への紹介がなされないといったことによって、せっかくの抗ウイルス療法が導入されない、あるいは肝がんのサーベイランスが実施されていないことが生じている。今回、肝炎ウイルス陽性者が適切に専門医へ紹介される仕組みを構築することを目的に研究を行った。
研究方法
肝炎ウイルス陽性者の専門への紹介の実情や問題点を明らかにする目的で、石川県、佐賀県、福岡県、愛媛県、京都府、各府県医療機関を対象に共通のアンケート調査を行った。今年度は、集計が終了した石川県のアンケート調査を解析した。また石川県では、妊婦検診で判明した肝炎ウイルス陽性者を専門医に対して受診勧奨を行うシステムを構築し全県下で運用を開始した。さらに石川県では肝炎ウイルス陽性者の診療情報を、ICTを用いることで拠点病院-肝疾患専門医療機関間で共有し、拠点病院との共同診療、拠点病院による診療支援を行うシステムを構築し、運用を開始した。愛媛県では、肝炎ウイルス感染高浸淫地区での肝炎ウイルス検査未受検率を算出した。佐賀県では、同県独自の定期検査費用助成制度を開始し、助成制度利用件数への影響を解析した。さらに疫学班(研究代表者 田中純子)、指標班(研究代表者 考藤達哉)と連携し共同研究を行った。
結果と考察
石川県のアンケート調査の結果から、患者サイドの拒否が専門医へ紹介しない最多の理由であり、陽性者が紹介を断る理由としては高齢、無症状、面倒、通院困難等が挙げられた。担当医が肝炎ウイルスに感染しているにもかかわらず治療が不要と判断する理由として高齢、認知症・難治性疾患の存在、肝機能正常が挙げられた。B型肝炎、C型肝炎共に高齢、肝機能正常であっても定期的な肝臓専門医による診療は必須であるため、今後そのような情報提供を行うことでかかりつけ医から専門医への紹介が促進される可能性が考えられた。また、認知症患者や超高齢者に対する対応に関するコンセンサスの作成も必要と考えられた。石川県では平成30年度から全県下で妊婦健診における肝炎ウイルス検査陽性者に対して、妊娠中から出産後も継続的に専門医療機関への受診状況確認、未受診者への受診勧奨を行うシステムを構築し、運用を開始した。具体的には、妊娠中は、市町の保健師が陽性者の検査を行った産婦人科医院への結果確認及び陽性者本人に対する保健指導、専門医への受診勧奨を行う。出産後も、乳幼児健診の際に、市町の保健師が専門医療機関への受診状況確認、未受診者への受診勧奨を行う。金沢市に関しては平成30年度12月末までに3名がHCV抗体陽性、4名がHBs抗原陽性であった。これら7名に関して、保健師が妊娠中からの支援を行った。現在のシステムでは、乳幼児健診が終了する3歳半検診以後のフォローアップの方法が未定であり今後解決する必要がある。また石川県では、平成30年度からIDリンクシステムを利用して、拠点病院が行っているフォローアップ事業の参加同意者を対象に、拠点病院と専門医療機関の診療情報共有を開始した。平成30年度末で72名に関して拠点病院-専門医療機関間での診療情報共有が可能となった。今後は、対象者をできる限り増加させるとともに、このような診療情報共有の有用性の検証を行う。愛媛県の肝炎ウイルス感染高浸淫地区での肝炎ウイルス検査未受検率を算出したところ最も検査を受けている年代でも約50%は未受診または未把握であることが明らかとなった。そのような現状から同地域ではH29年度から未受検者に個別勧奨ハガキを送付して検査を促しているが、受検者は送付者の10%に留まっており、新たな方法による勧奨が必要と考えられた。佐賀県は健康増進手帳を医師の診断書の代用可能とし、さらに住民票の写しや所得課税証明書の提出を不要とするなどの定期検査費用助成制度の手続きの簡素化を行い助成件数の飛躍的な増加を認めた。手続きの簡素化は、同制度の利用促進に大きく寄与する可能性が考えられたが、一部地域や医療機関では利用率が依然として低率であり、要因の解明と解決策の構築が必要である。疫学班と共同で8府県(京都、広島、愛媛、福岡、神奈川、佐賀、岩手、石川)の肝炎対策の取り組みをスコア化し、レーダーチャートで示すことで「みえる化」した。また指標班と共同で病診連携指標を作成し次年度より運用を開始する。
結論
次年度は、初年度のアンケート調査で明らかになった府県ごとの専門医への患者紹介における問題点の改善を図る。

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201820003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,975,000円
(2)補助金確定額
13,975,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,763,948円
人件費・謝金 226,952円
旅費 1,793,190円
その他 2,965,910円
間接経費 3,225,000円
合計 13,975,000円

備考

備考
-