ブロック拠点病院のない自治体における中核拠点病院の機能評価と体制整備のための研究

文献情報

文献番号
201819015A
報告書区分
総括
研究課題名
ブロック拠点病院のない自治体における中核拠点病院の機能評価と体制整備のための研究
課題番号
H30-エイズ-一般-003
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
高田 清式(国立大学法人 愛媛大学 医学部附属病院 総合臨床研修センター)
研究分担者(所属機関)
  • 武内 世生(国立大学法人 高知大学 医学部付属病院 総合診療部)
  • 末盛 浩一郎(国立大学法人 愛媛大学 大学院医学系研究科)
  • 井門 敬子(国立大学法人 愛媛大学 医学部附属病院 薬剤部)
  • 若松 綾(国立大学法人 愛媛大学 医学部附属病院 総合診療サポートセンター)
  • 中村 美保(国立大学法人 高知大学 医学部附属病院 総合診療部)
  • 小野 恵子(国立大学法人 愛媛大学 医学部附属病院 総合診療サポートセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢化率が29%と高い四国地区は近年HIV・エイズ患者が著しく増加し、都市に比べ、進行して日常生活に差し障りが著しく、介護しながら長期療養の必要な例が少なくない。生活困難な療養患者については、他の施設への受け入れを個々に行っているがHIVに対する不安や感染リスクが問題になり、受け入れに難渋している。この背景のもと、診療体制を整備・充実させることを目的とする。ブロック拠点病院が存在しない愛媛・高知さらには四国地区全体のHIV/エイズ診療体制の拡充を実践していきたい。
研究方法
【研究1】拠点病院を中心とした教育講演、意見交換、研修教材の作製
愛媛県および高知県にてネットワーク会議(各県全域の拠点病院が参加)や各病院にて講演会を開催し、意見交換を行う。また、研修教材を作製する。
【研究2】高齢者施設におけるHIV感染症等に関する研修会の開催および実態調査
現場の福祉・介護担当者に参加してもらい、HIV感染症等に関する研修会を開催する。知識啓蒙とともにHIV感染者を支援することの自覚を促すことを目的とし、終了時にHIV感染者の介護・受け入れについて、アンケートを行う。
【研究3】福祉療養施設への出張研修、意見交換
 積極的に介護・受け入れを推進するために地域の療養型病院および福祉施設へ直接出張講義を数施設/年で行う。当院から医師・看護師・薬剤師・MSWのHIV診療チームとして出向し講義をし、HIV感染者の福祉・介護についてアンケートを行う。
【研究4】地域で実践的ポケット版小冊子の作製
地方でHIV/エイズ患者を積極的に介護施設で分け隔てなく介護をしてもらうための試みで、介護時のHIV感染予防対策も折り込んだ、愛媛および四国での実用的なHIVに関するポケット小冊子を作製し四国の主だったHIV診療施設に配布する。
【研究5】在宅介護職員の実施研修
HIV患者の介護に直接してもらうことが差し迫った事情であることを踏まえ、在宅介護職の看護師に各々1週間ずつ研修会として、当院の実施研修(外来、病棟)と講義・討議を行う。
結果と考察
【研究1】HIV診療ネットワーク会議を平成31年2月7日に開催した(四国の連携のため徳島県の医療スタッフも参加)。また、次年度の看護・介護に関する合同会議のために、打ち合わせをした。HIV感染症に関する最新の情報を織り込み平成31年3月13日に1拠点病院で講演会を行った(101名参加)。高知県HIV感染症研修会を開催し、「自施設でのHIV陽性者の受け入れについて」のアンケートを行い、101名から回答を得、「受け入れできる」の回答者は55名 (50%)であった。四国内で講演会を多数行い、具体的な問題を整理し知識・経験を共有できた。
【研究2】
 高齢者施設から介護・福祉担当者に対しHIV感染症等に関する研修会を平成31年2月27日に開催した(参加者71名)。アンケートも行い、①HIV感染をどう感じたかに関して、計80%が恐れ不要と回答し、積極的な啓蒙の効果もあってか比較的HIVに関し前向きに捉えてくれていると考えた。さらに②各自の療養型病院や介護施設への入所・受け入れに関し、ある程度意識の差はあるが、75%が施設として受け入れ可能と前向きな意見を多く得た。
【研究3】
 HIV診療チームとして出向し出張講義を計3施設で行った(各参加者20~87名、計173名)。アンケートも行い(回答数171名)、①HIV感染をどう感じたかに関しては、計76%が恐れ不要と回答し、積極的な啓蒙の効果もあってか比較的HIVに関し前向きに捉えてくれていると考えた。さらに、②各自の療養型病院や介護施設への入所・受け入れに関しては、程度意識の差はあるが、89%が施設として受け入れ可能と前向きな意見を多く得た。
【研究4】
 実用的な(最新の愛媛や四国の現況や針刺し事故時の感染予防内服薬を配備している病院名など具体的に刷り入れた)HIVに関するポケット冊子(18x10cm大程度)を作製し四国の主なHIV診療施設に配布した。ハンディで判りやすいと概ね好評であった。
【研究5】
 在宅介護職の看護師に各々1週間ずつ当院のHIV患者の実施研修(外来、病棟)と講義・討議を計3回実施した。HIV感染症に関する啓蒙とともにHIV患者の在宅医療への推進にも繋がり、極めて意義深い研究活動と考えられた。
結論
高齢介護施設の介護・福祉担当者への講演会、さらに積極的に出張講義、ポケット版小冊子配布などを行い、具体的な問題を整理し知識・経験を共有できた。四国地区において高齢化社会を迎え介護・療養が必要なHIV感染・エイズの増加に対応するために、HIV診療体制の整備は、介護・福祉施設との福祉連携の充実が不可欠であり研究を継続し地方のモデルという立場からもさらに向上に努めたい。

公開日・更新日

公開日
2020-03-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-03-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201819015Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,700,000円
(2)補助金確定額
11,700,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,359,260円
人件費・謝金 393,977円
旅費 1,200,649円
その他 4,046,114円
間接経費 2,700,000円
合計 11,700,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-03-11
更新日
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