文献情報
文献番号
201818001A
報告書区分
総括
研究課題名
子宮頸がんワクチン接種後に生じた症状に関する治療法の確立と情報提供についての研究
課題番号
H28-新興行政-一般-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
池田 修一(国立大学法人信州大学 医学部附属病院 )
研究分担者(所属機関)
- 青木 正志(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科)
- 桑原 聡(国立大学法人千葉大学 大学院医学研究院)
- 平井 利明(学校法人帝京大学 医学部)
- 中島 利博(学校法人東京医科大学 医学部)
- 太田 正穂(国立大学法人信州大学 医学部)
- 本田 秀夫(国立大学法人信州大学 医学部)
- 楠 進(学校法人近畿大学 医学部)
- 神田 隆(国立大学法人山口大学 大学院医学系研究科)
- 高嶋 博(国立大学法人鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
1,794,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究班では、i) 神経内科専門医から成る全国診療ネットワークを形成して、患者登録と詳しい実態調査を行う、ii) 病原性自己抗体と感受性遺伝子を含めた病態解明、特に脳障害とHLA geno-typeとの関連を明らかにする、iii) 血液浄化療法(免疫吸着)、ステロイドパルス療法を含めた新規治療法の開発を行う、iV) 疾患モデルマウスを作成して、その病態解明を行う、の四項目を掲げた。
研究方法
HPVワクチン接種後副反応に関しては、診察希望のある患者さんをできるだけ速やかに診察して、個々の症状の発生時期と頻度を検討した。また、本病態における身体障害と精神障害の鑑別点を列挙した。新規治療法として、免疫吸着、ステロイドパルス療法を施行して、その効果を評価した。成因に関しては血清中の自律神経受容体に対する自己抗体の検索を行い、疾患モデル作成を計画した。
結果と考察
・研究代表者(池田修一)
(1) 2013年7月~2018年10月までの5年3ヶ月間にHPVワクチン接種後副反応疑いで信州大学病院を受診した女性は2013年度44名、2014年度40名、2015年度47名、2016年度33名、2017年度25名、2018年度6名の合計195名であった。
(2)これら195名のワクチン接種時期と副反応症状の発現時期を検討した。この中で本ワクチンの副反応と診断された患者は87名であり、HPVワクチン接種時期は2010年5月~2013年7月に渡り、特に2011年7月~11月に集中していた。副反応発現時期は2010年10月~2015年10月までであり、特に2011年9月~2013年3月の期間に多く発生している傾向があった。HPVワクチン接種後副反応疑いで当院を受診する女性は最近2年間、極端に減少している。
(3)子宮頸がんワクチン接種後に重篤な神経障害を呈した5名の5年間に渡る観察では、i)重篤化の主症状は持続する高度な無気力状態 (asthenic state)であり、重篤例は経管栄養を必要とした、ii)症状の回復は非常にゆっくりであり、iii)寛解後も再増悪が見られるため注意深い経過観察が必要である、の三点が判明した。
(4) HPVワクチン接種後患者群では非接種者群に比して、自律神経受容体に対する複数の自己抗体が血清中で有意に上昇していることが判明した。
・研究分担者(高嶋 博)
(1)2018年度1名の新規受診者は1名であった。
(2)HPVワクチン接種後神経障害が疑われる新規患者の発生は2017年度以降ゼロである。
・研究分担者(桑原 聡)
(1)2015年3月~2018年10月までにHPVワクチン接種後神経障害で受診した女性は20名であり、2018年度の新規受診者は0名であった。
(2)自律神経機能検査では4名に体位性起立頻脈症候群(POTS)を、脳SPECT画像では10名に血流低下を、7名に高次脳機能検査にて処理速度の低下がみられた。
・研究分担者(平井利明)
(1)2018年度の新規受診者は1名4名であった。
(2)HPVワクチン接種後副反応疑いで、2014年3月~2017年10月の間に受診した患者は134名であり、居住地は1都1道1府17県であった。この中の72名が登録され、詳細な検査を受けた。
・研究分担者(神田 隆)
(1) 2018年度の新規受診者は0名であった。
・研究分担者(楠 進)
(1)2018年度の新規受診者は0名であった。
・研究分担者(青木正志)
(1)2018年度の新規受診者は0名であった。
・研究分担者(本田秀夫)
(1)2013年1月~2017年6月の間に国際誌に掲載されたHPVワクチン接種後副反応に関する文献を検討し、本病態に関与する精神医学的状態をi) HPVワクチン接種前からの精神医学的状態、ii)DSM-5の「身体症状及び関連症群」、iii)症状発言を契機とした反応性精神疾患の3群として理解すべきと結論した。
・研究分担者(太田正穂)
(1)自律神経症状の発現と自律神経受容体遺伝子haplotypeとの関連の検索を開始した。
・研究分担者(中島利博)
(1)疾患モデルマウスの作成に関しては、C57BL6マウスにHPVワクチンを接種し、その後百日咳毒素を追加投与することで脳障害を引き起こすマウス系が確立し、このマウスの脳脊髄液中の炎症性サイトカインの解析を開始した。
(1) 2013年7月~2018年10月までの5年3ヶ月間にHPVワクチン接種後副反応疑いで信州大学病院を受診した女性は2013年度44名、2014年度40名、2015年度47名、2016年度33名、2017年度25名、2018年度6名の合計195名であった。
(2)これら195名のワクチン接種時期と副反応症状の発現時期を検討した。この中で本ワクチンの副反応と診断された患者は87名であり、HPVワクチン接種時期は2010年5月~2013年7月に渡り、特に2011年7月~11月に集中していた。副反応発現時期は2010年10月~2015年10月までであり、特に2011年9月~2013年3月の期間に多く発生している傾向があった。HPVワクチン接種後副反応疑いで当院を受診する女性は最近2年間、極端に減少している。
(3)子宮頸がんワクチン接種後に重篤な神経障害を呈した5名の5年間に渡る観察では、i)重篤化の主症状は持続する高度な無気力状態 (asthenic state)であり、重篤例は経管栄養を必要とした、ii)症状の回復は非常にゆっくりであり、iii)寛解後も再増悪が見られるため注意深い経過観察が必要である、の三点が判明した。
(4) HPVワクチン接種後患者群では非接種者群に比して、自律神経受容体に対する複数の自己抗体が血清中で有意に上昇していることが判明した。
・研究分担者(高嶋 博)
(1)2018年度1名の新規受診者は1名であった。
(2)HPVワクチン接種後神経障害が疑われる新規患者の発生は2017年度以降ゼロである。
・研究分担者(桑原 聡)
(1)2015年3月~2018年10月までにHPVワクチン接種後神経障害で受診した女性は20名であり、2018年度の新規受診者は0名であった。
(2)自律神経機能検査では4名に体位性起立頻脈症候群(POTS)を、脳SPECT画像では10名に血流低下を、7名に高次脳機能検査にて処理速度の低下がみられた。
・研究分担者(平井利明)
(1)2018年度の新規受診者は1名4名であった。
(2)HPVワクチン接種後副反応疑いで、2014年3月~2017年10月の間に受診した患者は134名であり、居住地は1都1道1府17県であった。この中の72名が登録され、詳細な検査を受けた。
・研究分担者(神田 隆)
(1) 2018年度の新規受診者は0名であった。
・研究分担者(楠 進)
(1)2018年度の新規受診者は0名であった。
・研究分担者(青木正志)
(1)2018年度の新規受診者は0名であった。
・研究分担者(本田秀夫)
(1)2013年1月~2017年6月の間に国際誌に掲載されたHPVワクチン接種後副反応に関する文献を検討し、本病態に関与する精神医学的状態をi) HPVワクチン接種前からの精神医学的状態、ii)DSM-5の「身体症状及び関連症群」、iii)症状発言を契機とした反応性精神疾患の3群として理解すべきと結論した。
・研究分担者(太田正穂)
(1)自律神経症状の発現と自律神経受容体遺伝子haplotypeとの関連の検索を開始した。
・研究分担者(中島利博)
(1)疾患モデルマウスの作成に関しては、C57BL6マウスにHPVワクチンを接種し、その後百日咳毒素を追加投与することで脳障害を引き起こすマウス系が確立し、このマウスの脳脊髄液中の炎症性サイトカインの解析を開始した。
結論
1.2015年10月以降、HPVワクチン接種後副反応と診断された新規患者は、国内で出ていないと推測される。
2. 子宮頸がんワクチン接種後の副反応が長期間に渡って持続する、または症状が一旦回復後再発する患者が居る。
2. 子宮頸がんワクチン接種後の副反応が長期間に渡って持続する、または症状が一旦回復後再発する患者が居る。
公開日・更新日
公開日
2019-08-01
更新日
-