精神障害にも対応した地域包括ケアシステムのモニタリングに関する政策研究

文献情報

文献番号
201817035A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害にも対応した地域包括ケアシステムのモニタリングに関する政策研究
課題番号
H29-精神-一般-009
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
臼杵 理人(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神医療政策研究部 政策評価研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 山之内 芳雄(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神医療政策部)
  • 萱間 真美(聖路加国際大学 大学院看護学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
21,294,000円
研究者交替、所属機関変更
研究代表者交代情報 平成29年度 西大輔(平成29年4月1日~平成30年3月31日)  平成30年度 馬場敏明(平成30年4月1日~平成30年10月31日)→ 臼杵理人(平成30年11月1日~平成31年3月31日)

研究報告書(概要版)

研究目的
毎年6 月30 日付行われるいわゆる630調査は、わが国の精神保健福祉のモニタリングにおいて貴重な基礎資料であるが、データ数や対象施設数が非常に多く、収集から公表までに長く時間を要していた。そのため、本研究班の初年度においては、630 調査の調査形式の改善を通して高い回収率の維持と調査プロセスの迅速化を達成したが、いくつかの改善点が実際に調査を実施し、データクリーニング作業等を行う中で発見された。そのため、2年目にあたる本年度は2年目は初年度の調査実績と集計を通して得られた改善点を分析し、それを生かした調査票への反映などを行い、より精度の高い精神保健福祉資料の作成を作成すべく調査票の改善を目指すこと、および精神医療審査会の項目を新たに630調査に統合することを目的とした。
研究方法
1年目に作成した調査票をベースとして、文言の修正や分かりやすい例を調査票内追加する、またマニュアルと調査票の統合など、より回答側がわかりやすく、ミスなく入力が可能となるように調査票の改変等を行った。また、精神医療審査会調査は、全国精神医療審査会連絡協議会役員会、精神保健福祉センター長会からの意見聴取に加え、自治体職員へのアンケート調査を実施し、その内容を検討、反映した調査項目をH30年度630調査に統合した。また、平成31年度630調査用のフォーマットについても検討を重ねた。
結果と考察
初年度で発見された改善点等を修正したことにより、2年目の調査実施期間中の問い合わせ件数を約半数にすることに成功した。平成30年度に収集したデータは全国47都道府県、全国20政令指定都市、全国の精神科・心療内科を標榜する医療機関:2427施設(精神病床を有する医療機関数:1612, 精神病床を持たない医療機関数: 4839施設)、全国の訪問看護ステーション:7454施設であった。回収率については、自治体票は100%、病院票は精神病床を有する医療機関が97.7%、精神病床を持たない医療機関が66.0%であった。また、精神医療審査会調査も630調査への統合を果たした。
結論
初年度に調査形式の大幅な改善により、高い回収率を保ちつつ調査プロセスの迅速化に成功したことを受けてさらなる改善を2年目に行った。この成果は精神保健医療福祉の現況についてより適切な把握が可能となり、山之内班による、NDB等のデータと合わせた精神保健医療福祉の現況を一元的に把握できる新しい精神保健福祉資料の作成において、重要な役割を果たしており、2年目において更に調査票や集計システムのブラッシュアップを行ったことで、精神保健福祉資料がユーザーにとって活用しやすい資料となっていると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2019-08-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-08-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201817035B
報告書区分
総合
研究課題名
精神障害にも対応した地域包括ケアシステムのモニタリングに関する政策研究
課題番号
H29-精神-一般-009
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
臼杵 理人(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神医療政策研究部 政策評価研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 臼杵 理人(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神医療政策研究部)
  • 山之内 芳雄(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神医療政策研究部)
  • 立森 久照(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神医療政策研究部)
  • 萱間 真美(聖路加国際大学大学院看護学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班で得られた630調査のデータは、厚生労働科学研究班「精神科医療提供体制の機能強化を推進する政策研究」(以下、「山之内班」という。)において活用され、医療計画等により資することができるよう、精神保健医療福祉の現況を一元的に把握できる新しい精神保健福祉資料を作成するための基礎データとなっている。1年目は、630 調査の調査形式の改善を通して高い回収率の維持と調査プロセスの迅速化を達成するとともに、調査項目の最適化や訪問看護ステーション調査の新設等を通して、医療機関や訪問看護ステーションの機能および各自治体における精神保健医療福祉の現況についてこれまで以上に適切な把握が可能となった。2年目は初年度の調査実績と集計を通して得られた改善点を分析し、それを生かした調査票への反映などを行い、より精度の高い精神保健福祉資料の作成を作成すべく調査票の改善を目指した。また自治体調査において、精神医療審査会の項目を新たに630調査に統合した。
研究方法
迅速化を妨げていた要因として、調査内容が膨大であることによる回答期間延長や回答エラーの多さ、調査票の形式の不統一、回収や確認の経路が非常に長いこと等が考えられた。そのため、初年度は調査形式を集計表から個票へ、紙媒体から電子媒体へ変更するとともに、調査内容に関してもNDB 等で把握可能な指標については調査項目から割愛し、NDB 等で把握できない指標でかつ医療計画、障害福祉計画、介護保険事業計画に資するデータに関して項目を追加するという項目の再選定を行った。さらに、山之内班とも密に連携し、このように改善された630調査の結果から参考指標を作成しつつ、重点指標についてはNDB から抽出したデータに基づいて作成し、精神保健医療福祉の現況を一元的に把握できる新しい精神保健福祉資料の作成を目指した。また、初年度から2年目にかけて項目の大きな見直しはなかったが、精神医療審査会に関する調査について自治体調査の中に組み入れた。精神医療審査会調査は、全国精神医療審査会連絡協議会役員会、精神保健福祉センター長会からの意見聴取に加え、自治体職員へのアンケート調査を実施し、精神医療審査会調査の630調査への統合を行った。
結果と考察
調査形式を大幅に変更し、約3か月間という回答期限を設定したにもかかわらず、調査初年度は病院に関しては全国平均97.6%、新設した訪問看護ステーションについても約77%という高い回収率を得た。詳細には、平成29年度に収集したデータは全国47都道府県、全国20政令指定都市、全国の精神科・心療内科を標榜する医療機関:6173施設(精神病床を有する医療機関数:1610, 精神病床を持たない医療機関数:4563施設)、全国の訪問看護ステーション:9735施設であった。回収率については、自治体票は100%、病院票は精神病床を有する医療機関が99.1%、精神病床を持たない医療機関が59.5%であった。平成30年度に収集したデータは全国47都道府県、全国20政令指定都市、全国の精神科・心療内科を標榜する医療機関:2427施設(精神病床を有する医療機関数:1612, 精神病床を持たない医療機関数: 4839施設)、全国の訪問看護ステーション:7454施設であった。回収率については、自治体票は100%、病院票は精神病床を有する医療機関が97.7%、精神病床を持たない医療機関が66.0%であった。集計票から個票への変更、調査票の紙媒体から電子媒体への変更等を通して630 調査の調査形式を抜本的に変更し、そのことで調査のフローおよび結果公表までの期間を大幅に短縮することができ、また高い回収率を保つこともできた。この結果は2年目も同様であった。630調査の改定以降、際に自治体から630調査のデータについての問い合わせや、調査項目への要望等が増加してきており、630調査がリアルタイムで医療計画や障害福祉計画に活用され始めていることは成果の一つであると考えられる。
結論
初年度は630 調査の調査形式の大幅な改善により、高い回収率を保ちつつ調査プロセスの迅速化に成功した。また調査項目の再選定により、医療機関の機能や各自治体における精神保健医療福祉の現況についてより適切な把握が可能となり、山之内班による、NDB等のデータと合わせた精神保健医療福祉の現況を一元的に把握できる新しい精神保健福祉資料の作成において、重要な役割を果たした。
2年目において、更に調査票や集計システムのブラッシュアップを行ったことで、精神保健福祉資料がユーザーにとってより活用しやすい資料となっていると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2019-08-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-08-13
更新日
2020-10-16

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201817035C

成果

専門的・学術的観点からの成果
いわゆる630調査ほど精神医療保健福祉に関する悉皆的な基礎データ資料は他に類を見ず、政策研究を中心とした様々な学術研究の基盤と成り得る。本研究の結果により速やかに電子化されて公開されるようになり、幅広い利活用が可能となったため、学術的価値がより高まったと考えられる。
臨床的観点からの成果
行政活用が目的である調査であるため、本研究は該当しない。
ガイドライン等の開発
行政活用が目的である調査であるため、本研究は該当しない。
その他行政的観点からの成果
以前は長く時間を要していた630調査の結果公表までの期間が大幅に短縮されたため、自治体における活用の利便性度が向上した。また、既にH29年度調査の結果に基づいて、各自治体での地域医療計画策定や県議会で議論が行われるようになっており、行政的意義は極めて高いものと考えられる。

その他のインパクト
該当なし。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
7件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
11件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
oyle Colleen, Setoya Nozomi, Kayama Mami,et al.
The Role of Home Nursing Visits in Supporting People Living with Dementia in Japan and Australia: Cross-National Learnings and Future System Reform.
Health System & Reform , 3 ((3)) , 203-213  (2017)
10.1080
原著論文2
Tsunoda A, Kido Y, Kayama M.
Japanese Outreach Model Project for patients who have difficulty maintaining contact with mental health services: Comparison of care between higher-functioning and lower-functioning groups.
Japan Journal of Nursing Science.  (2017)
10.1111
原著論文3
Hatta K, Katayama S, , Yamanouchi Y,et al.
A prospective naturalistic multicenter study on choice of parenteral medication in psychiatric emergency settings in Japan
Neuropsychopharmacology Reports , 38 ((3)) , 117-123  (2018)
10.1002
原著論文4
萱間 真美, 瀬戸屋希
訪問看護,アウトリーチ事業の制度と現状.
日本精神科病院協会雑誌 , 36 ((4)) , 14-21  (2017)

公開日・更新日

公開日
2019-08-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201817035Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
27,000,000円
(2)補助金確定額
26,426,000円
差引額 [(1)-(2)]
574,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 36,979円
人件費・謝金 5,473,958円
旅費 2,423,200円
その他 12,786,046円
間接経費 5,706,000円
合計 26,426,183円

備考

備考
差異183円は自己資金

公開日・更新日

公開日
2020-06-09
更新日
-