高次脳機能障害者の社会的行動障害による社会参加困難への対応に関する研究

文献情報

文献番号
201817025A
報告書区分
総括
研究課題名
高次脳機能障害者の社会的行動障害による社会参加困難への対応に関する研究
課題番号
H28-精神-一般-004
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
中島 八十一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 深津 玲子(国立障害者リハビリテーションセンター 病院)
  • 今橋 久美子(藤田 久美子)(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 野田 龍也(奈良県立医科大学・公衆衛生学)
  • 上田 敬太(京都大学医学部附属病院・精神科神経科)
  • 武澤 信夫(京都府立医科大学・神経内科学)
  • 島田 司巳(社会福祉法人グロー内・滋賀県立障害者総合診療所)
  • 辻野 精一(大阪急性期・総合医療センター・リハビリテーション科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、1)社会的行動障害による社会参加困難と2)児童・生徒の就学に関する課題に対応するための基礎資料を提供することにより、高次脳機能障害者・児支援施策を充実させることを目的とする。さらに、3)NDB(レセプト情報・特定健診等情報ナショナルデータベース)を用いて、全国の高次脳機能障害児・者の症例数推定値及び障害福祉分野での支援サービス対象者数の推定値を算出するための手法を検討する。
研究方法
1)社会的行動障害による社会参加困難実態調査
京都、大阪、滋賀、奈良2府2県の高次脳機能障害支援拠点機関における相談事例のうち、社会的行動障害の顕著なケースについて、A. 共通登録票評価尺度、B. Neuropsychiatric Inventory(神経精神症状評価票)、C. 支援ニーズ判定票を用いて、実態調査を行った。
2)高次脳機能障害児の実態調査
小児高次脳機能障害の実態把握のため滋賀県内小学校223ヶ所・中学校106ヶ所・特別支援学校16ヶ所(公立・私立)へ調査票を配布した。
3)高次脳機能障害の実数調査
NDBによる患者数推計方法について、高次脳機能障害を専門とする臨床医の助言を受けつつ、NDBを用いた集計方法に関する検討を行った。
結果と考察
社会的行動障害による社会参加困難事例について調査した結果、その転帰は在宅、障害者支援施設、精神科医療機関、矯正施設と様々であった。中には、触法に至るまで障害が看過され医療福祉が全く関与していなかったケースや、リハビリを希望しても受け入れ先がなかったケースなどが含まれることから、高次脳機能障害の早期発見・治療(特に薬物治療)・リハビリテーションの重要性を、関係機関に対して周知する必要が示唆された。また、社会的行動障害への対応は児童の支援においても重要度が高いと考えられた。
NDBを用いて患者数を推計する場合、疾患特異的な治療法(医療行為や処方)や疾患特異的な検査」を用いると、比較的高い精度の推計となるが、高次脳機能障害には疾患特異的な治療・検査がないため、患者数の推計方法は、病名を基準とし、「F04、F06、F07のいずれかの病名コードを有し、除外基準に該当しない」場合を高次脳機能障害と定義する方法に拠ることとした。また、高次脳機能障害を生じやすい患者(脳腫瘍術後や頭部外傷等)を対象に、事象発生後、数ヶ月間以内に高次脳機能障害の診断を受ける率を算出し、全国での分布を見ることで、医療機関に注意喚起を促す際の基礎資料として活用できると考えられた。
結論
社会的行動障害を有する高次脳機能障害者の支援について、その実情を把握した。調査結果に基づいて作成した社会的行動障害支援対応マニュアル(社会的行動障害の基礎知識、症状と基本的な対応、サービスや制度の活用例など)の今後の施策・事業での活用を見込んでいる。

公開日・更新日

公開日
2019-08-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

目次
総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-08-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201817025B
報告書区分
総合
研究課題名
高次脳機能障害者の社会的行動障害による社会参加困難への対応に関する研究
課題番号
H28-精神-一般-004
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
中島 八十一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 深津 玲子(国立障害者リハビリテーションセンター 病院)
  • 今橋 久美子(藤田 久美子)(国立障害者リハビリテーションセンター)
  • 野田 龍也(奈良県立医科大学・公衆衛生学)
  • 上田 敬太(京都大学医学部附属病院・精神科神経科)
  • 武澤 信夫(京都府立医科大学・神経内科学)
  • 島田 司巳(社会福祉法人グロー内・滋賀県立障害者総合診療所)
  • 辻野 精一(大阪急性期・総合医療センター・リハビリテーション科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、1)社会的行動障害による社会参加困難と2)児童・生徒の就学に関する課題に対応するための基礎資料を提供することにより、高次脳機能障害者・児支援施策を充実させることを目的とする。さらに、3)NDB(レセプト情報・特定健診等情報ナショナルデータベース)を用いて、全国の高次脳機能障害児・者の症例数推定値及び障害福祉分野での支援サービス対象者数の推定値を算出するための手法を検討する。
研究方法
1)社会的行動障害による社会参加困難実態調査
京都、大阪、滋賀、奈良2府2県の高次脳機能障害支援拠点機関における相談事例のうち、社会的行動障害の顕著なケースについて、A. 共通登録票評価尺度、B. Neuropsychiatric Inventory(神経精神症状評価票)、C. 支援ニーズ判定票を用いて、実態調査を行った。

2)高次脳機能障害児の実態調査
①東京都内の障害児支援サービス事業所156か所を対象に、高次脳機能障害のある子どもへの支援実態調査票を郵送した。
②小児高次脳機能障害の実態把握のため滋賀県内小学校223ヶ所・中学校106ヶ所・特別支援学校16ヶ所(公立・私立)へ調査票を配布した。

3)高次脳機能障害の実数調査
NDBによる患者数推計方法について、高次脳機能障害を専門とする臨床医の助言を受けつつ、NDBを用いた集計方法に関する検討を行った。
結果と考察
1)社会的行動障害による社会参加困難事例について、その転帰は在宅、障害者支援施設、精神科医療機関、矯正施設と様々であった。中には、触法に至るまで障害が看過され医療福祉が全く関与していなかったケースや、リハビリを希望しても受け入れ先がなかったケースなどが含まれることから、高次脳機能障害の早期発見・治療(特に薬物治療)・リハビリテーションの重要性を、関係機関に対して周知する必要が示唆された。なお、京都府における5年間の支援センターの相談事業では、連続相談事例805名のうち、約1.9%が困難事例であった。
2)児童の支援実態については、高次脳機能障害の疑いがあり未診断・手帳未取得の児童が児童発達支援事業を利用していたことから、同事業所への啓発の有効性が示唆された。また、社会的行動障害への対応は児童の支援においても重要度が高いと考えられた。
3)NDBを用いて患者数を推計する場合、疾患特異的な治療法(医療行為や処方)や疾患特異的な検査」を用いると、比較的高い精度の推計となるが、高次脳機能障害には疾患特異的な治療・検査がないため、患者数の推計方法は、病名を基準とし、「F04、F06、F07のいずれかの病名コードを有し、除外基準に該当しない」場合を高次脳機能障害と定義する方法に拠ることとした。また、高次脳機能障害を生じやすい患者(脳腫瘍術後や頭部外傷等)を対象に、事象発生後、数ヶ月間以内に高次脳機能障害の診断を受ける率を算出し、全国での分布を見ることで、医療機関に注意喚起を促す際の基礎資料として活用できると考えられた。
結論
社会的行動障害を有する高次脳機能障害者の支援について、その実情を把握した。調査結果に基づいて作成した社会的行動障害支援対応マニュアル(社会的行動障害の基礎知識、症状と基本的な対応、サービスや制度の活用例など)の今後の施策・事業での活用を見込んでいる。

公開日・更新日

公開日
2019-08-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201817025C

成果

専門的・学術的観点からの成果
実態調査および診療報酬レセプトデータを用いた実数調査は、精神神経学、社会福祉学、公衆衛生学の分野横断型の取り組みであり、社会的行動障害を複数の学術領域から多角的にとらえて補完しあい、社会に還元する新しい試みである。
臨床的観点からの成果
社会的行動障害を有する高次脳機能障害者の支援について、その実情を把握した。調査結果に基づき、社会的行動障害支援対応マニュアル(社会的行動障害の基礎知識、症状と基本的な対応、サービスや制度の活用例など)を作成した。今後の施策・事業での活用を見込んでいる。
ガイドライン等の開発
社会的行動障害を有する高次脳機能障害者の支援について、その実情を把握した。調査結果に基づき、社会的行動障害支援対応マニュアル(社会的行動障害の基礎知識、症状と基本的な対応、サービスや制度の活用例など)を作成した。今後の施策・事業での活用を見込んでいる。
その他行政的観点からの成果
本研究は、第71回社会保障審議会障害者部会(2015年9月25日)において提起された社会的行動障害により周囲が対応に困難を感じる方々への支援体制を強化するための基礎調査であり、実態を明らかにし、具体的な方策を示したことは全国の行政施策に直接寄与するものである。
その他のインパクト
特記無し

発表件数

原著論文(和文)
5件
原著論文(英文等)
6件
その他論文(和文)
21件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
41件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2019-08-13
更新日
2024-03-28

収支報告書

文献番号
201817025Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,500,000円
(2)補助金確定額
8,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,925,502円
人件費・謝金 3,212,007円
旅費 2,001,488円
その他 1,363,393円
間接経費 0円
合計 8,502,390円

備考

備考
自己資金2,390円分を支出したため、支出額合計が収入の「(2)補助金確定額」を超過した。

公開日・更新日

公開日
2024-03-28
更新日
-