補装具費支給制度における種目の構造と基準額設定に関する調査研究 

文献情報

文献番号
201817022A
報告書区分
総括
研究課題名
補装具費支給制度における種目の構造と基準額設定に関する調査研究 
課題番号
H30-身体・知的-指定-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 伸也(国立障害者リハビリテーションセンター 企画・情報部情報システム課)
研究分担者(所属機関)
  • 白銀 暁(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所福祉機器開発部)
  • 我澤 賢之(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所障害福祉部)
  • 石渡 利奈(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所福祉機器開発部)
  • 中村 隆(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所義肢装具技術研究部)
  • 三田 友記(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所義肢装具技術研究部)
  • 根岸 和諭(国立障害者リハビリテーションセンター 学院義肢装具学)
  • 井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所福祉機器開発部)
  • 樫本 修(宮城県リハビリテーション支援センター 宮城県保健福祉部)
  • 芳賀 信彦(東京大学 医学部附属病院)
  • 丸山 徹(埼玉県総合リハビリテーションセンター )
  • 石川浩太郎(国立障害者リハビリテーションセンター 病院第二診療部)
  • 井村 保(中部学院大学 看護リハビリテーション学部理学療法学科)
  • 清水 朋美(西田 朋美)(国立障害者リハビリテーションセンター 病院第二診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
補装具費支給制度は、身体障害者の自立と社会参加を支援するための重要な柱である。しかし、補装具を取り巻く環境も年々変わり、補装具製作に使う部品の中には、高機能・高額な完成用部品が増え、支給判定の過程において必要性をどのように評価すべきかの判断に苦慮するケースが出て来ている。制度の運用については、身体障害児・者で判定機関が異なる実態がある。また、支給決定や判定を適切に行うために最新技術を視野に入れたスキル向上の方策を検討する必要がある。
新たな考え方で製作された補装具を含め、完成用部品の安全性を評価する指標がない。最新技術を活用した補装具等、従来なかった考え方に基づく製作工程を評価するスキームがないという問題も出てきている。
補装具の価格は、義肢、装具、座位保持装置であれば、先行研究によって導き出された基本工作法に基づき、調査により明らかになった実際の作業時間を適用させる等により、基準額の改定を検討している。しかし、必要な基本工作法に要する作業時間等について、技術の進歩に対応させた検証が十分行われていない。
平成30年度より施行された借受けは新しい取組も始まっている。
以上の様々な問題解決のため、本研究の目的は、研究機関(平成30年度~令和2年度)内に、補装具費支給事務の円滑な運用への提言を行い、補装具の種目構造等を整理・明確化するとともに、基準額算定のための評価手法の開発を行うこととする。


研究方法
補装具費支給事務の円滑な運用の提言の課題に対し、過去8年間に判定専門委員会に寄せられた補装具判定困難事例50例の分析,更生相談所の職員研修会であるブロック会議で行われた過去5年間の会議議題245題の分析を行っている。また、外から更生相談所を見ている専門職として義肢装具士へアンケート調査するための調査書の設問作成、更生相談所への調査を通して、高額完成用部品の取扱いについてと障害児への補装具支給プロセスの問題点抽出、聴力障害に対する補装具の支給、視力障害者への補装具費支給への関わり、借受けの運用実態を調査する設問を作成した。また、借受けについては、各市区町村を対象に実施状況を調査し借受けを実施した自治体1カ所について直接訪問による聞き取り調査を行った。
補装具の種目構造等を整理・明確化では、電子制御式義肢装具と新素材に関する関連する試験方法の調査と知見の抽出を行った。また、車椅子や座位保持装置などの姿勢保持に関連する補装具に関して、より明確化するため、補装具の支給実態から2つの差違を拾うための整理を試みた。
基準額算定のための評価手法の開発では、過去のそれぞれの研究報告から課題をまとめた。その他姿勢保持関連の基準額につい、抽出した複数の製品に関して、北米とヨーロッパ、そしてアジア資本主義経済国である韓国での価格の違いを調査した。意思伝達装置については処方と機能の関係を調べるため意見書について調査を行った。
結果と考察
1.補装具費支給事務の円滑な運用
更生相談所へのアンケート結果と補装具判定専門委員会に寄せられたQ&A、全国身体障害者更生相談所の地区ブロック会議議題の分析から、医師意見書が十分に記載されていない。電動車椅子の判定が困難、制度に関する議題が最も多くでていた。
2.補装具の種目構造等を整理・明確化
電子制御機器に関する規格について調査を行った。リスクマネジメントが取り入れられていた。車椅子や座位保持装置などの姿勢保持に関連する補装具に関しては、都道府県間の比較では、車椅子・座位保持装置等の支給件数には大きな違いが認められ、関係専門職員の人数、支給判断に関わる者の考え方が実態を表しているのではないかと考えられる。
3.基準額算定のための評価手法の開発
現在の補装具費支給制度に関連する7つ価格調査から、作業人件費の時間あたり単価では、より簡便で、回答の誤りの起こりにくい調査方法を開発する必要。簡便で、回答の誤りの起こりにくい調査方法を開発する必要がある結果がえられた。また、座位保持装置の価格の妥当性の確認では、国間の座位保持装置の支給価格では、国による価格差がみられたもののものに付いての詳細情報が不十分であったため十分に検討可能な結果はえられていない。
重度障害者用意思伝達装置の公正適切な費用の支給のために、制度に関する情報提供のあり方、意見書作成に必要な情報の提供、そして装置の妥当性(重度障害者用意思伝達装置の購入基準の要件に該当するものか)が課題としであげられた。
結論
①補装具費支給事務の円滑な運用への提言を行い、②補装具の種目構造等を整理・明確化するとともに ③基準額算定のための評価手法の開発を行うための基礎データの収集を進めた。現状把握では、十分なデータが得られているとは言いがたい、さらなる情報収集が必要である。

公開日・更新日

公開日
2019-07-02
更新日
2020-06-09

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201817022Z