文献情報
文献番号
201817014A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者虐待防止研修の効果的なプログラム開発のための研究
課題番号
H30-身体・知的-一般-005
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
堀江 まゆみ(白梅学園大学 子ども学部発達臨床学科)
研究分担者(所属機関)
- 内山登紀夫(大正大学心理社会学部臨床心理学科)
- 野村政子(東都大学ヒューマンケア学部看護学科)
- 手嶋雅史(椙山女学園大学人間関係学部)
- 曽根直樹(日本社会事業大学福祉マネジメント研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
障害者虐待防止法施行後3年が経過した中で、障害者虐待防止指導者養成研修の内容等の見直しが必要となっている。本研究では、①研修の効果やプログラムおよび啓発、②障害者虐待防止・権利擁護のさらに理解が深まる効果的な研修プログラム及び研修実施マニュアルパッケージの開発、③新たな視覚教材・実施方法の開発、全国での研修効果の均質化・標準化を進めるための検討を行うことを目的とした。
研究方法
1)研修受講者の評価および課題の調査
研修受講者対象のアンケート調査を分析し、研修の効果・課題について検証を行った。アンケート調査は過去2年間の国研修を受講した受講者 700名を対象に分析した。
2)全国の都道府県が行った障害者虐待防止指導者養成研修プログラムのアンケート調査と分析
全国の都道府県の虐待防止研修担当部署(47か所)に対し、研修課題に関するアンケート調査、および過去の研修プログラムと研修資料の収集を依頼した。
3)区市町村の虐待防止センターおよび都道府県の権利擁護センターに対するヒアリング調査
虐待通報受理に関する課題を明らかにするとともに、今後、効果的であると思われる受理システムやバックアップシステムを実施している区市町村・都道府県を8か所、抽出し、ヒアリング調査を実施した。
4)事業所における虐待防止委員会の設置状況に関する調査(第一次)
全国の事業所1200か所に対し、虐待防止委員会の設置状況に関する調査(第一次)を行った。調査項目は、虐待防止委員会の設置、虐待防止研修に実施に関する内容で構成した。
5)「不適切な対応」「性的虐待」に関する事例の収集
不適切な対応や性的虐待が発生する背景や要因等を明らかにするために、これらが起こっていると考えるあるいは起こった事業者や法人および保護者に協力を得て事例収集と分析を行った。
研修受講者対象のアンケート調査を分析し、研修の効果・課題について検証を行った。アンケート調査は過去2年間の国研修を受講した受講者 700名を対象に分析した。
2)全国の都道府県が行った障害者虐待防止指導者養成研修プログラムのアンケート調査と分析
全国の都道府県の虐待防止研修担当部署(47か所)に対し、研修課題に関するアンケート調査、および過去の研修プログラムと研修資料の収集を依頼した。
3)区市町村の虐待防止センターおよび都道府県の権利擁護センターに対するヒアリング調査
虐待通報受理に関する課題を明らかにするとともに、今後、効果的であると思われる受理システムやバックアップシステムを実施している区市町村・都道府県を8か所、抽出し、ヒアリング調査を実施した。
4)事業所における虐待防止委員会の設置状況に関する調査(第一次)
全国の事業所1200か所に対し、虐待防止委員会の設置状況に関する調査(第一次)を行った。調査項目は、虐待防止委員会の設置、虐待防止研修に実施に関する内容で構成した。
5)「不適切な対応」「性的虐待」に関する事例の収集
不適切な対応や性的虐待が発生する背景や要因等を明らかにするために、これらが起こっていると考えるあるいは起こった事業者や法人および保護者に協力を得て事例収集と分析を行った。
結果と考察
1)研修受講者の評価および課題の調査
受講者の研修評価は実践に直接関連のある研修内容を希望する者が多かった。通報受理の窓口対応の方法や虐待認定の具体的事例、事業所における職員にメンタルヘルスなどの研修ニーズが高かった。
2)都道府県障害者虐待防止指導者養成研修プログラムのアンケート調査と分析
回答32か所中、21か所で国研修とほぼ同様なプログラムか一部のプログラムを実施していた。課題は、講師等の人材確保が難しい、研修教材が入手しにくい、研修日数の確保が困難、などが挙げられた。
3)区市町村の虐待防止センターおよび都道府県の権利擁護センターに対するヒアリング調査
課題として、一般市民への周知が不十分、専門職員の確保の困難さ、障害者以外の児童、高齢者、DVとのネットワーク、被虐待者の保護について、相談対応や相談機関の体制について、虐待事例の調査対応についての専門職の参加などが挙がっていた。
4)事業所における虐待防止委員会の設置状況に関する調査(第一次)
虐待防止委員会を設置していない比率が高かったのは、共同生活援助57.9%、就労継続支援A型68.0%、就労継続支援B型60.0%、放課後等デイサービス54.9%であった。内部の障害者虐待防止研修を実施していない事業種別とも重なるため、虐待防止委員会の設置により内部の虐待防止研修の実施率を高めることができる可能性がある。
障害者福祉施設等において、虐待を受けたと思われる障害者を発見した場合、すべての事業種別において、50%以上が設置者や管理者に報告した後通報するルールとなっていた。職員が通報するルールがあるのは、複数回答を含めて30%程度であった。
5)「不適切な対応」「性的虐待」に関する事例の収集
124事例が収集され、「手を引っ張る(身体的虐待)」「交換条件を出してやらせる(心理的虐待)」等の明らかな虐待事例に加えて、実践現場では「やるべき適切な対応が不足していた(ネグレクト)」「本人の意思に反した支援を行った(意思決定支援の欠如)」等が虐待を起こさないために改善すべき事例として課題となっていることが明らかになった。性的虐待は被虐待者の保護者や虐待を起こした事業所にヒアリングを実施し10事例の収集を行った。
受講者の研修評価は実践に直接関連のある研修内容を希望する者が多かった。通報受理の窓口対応の方法や虐待認定の具体的事例、事業所における職員にメンタルヘルスなどの研修ニーズが高かった。
2)都道府県障害者虐待防止指導者養成研修プログラムのアンケート調査と分析
回答32か所中、21か所で国研修とほぼ同様なプログラムか一部のプログラムを実施していた。課題は、講師等の人材確保が難しい、研修教材が入手しにくい、研修日数の確保が困難、などが挙げられた。
3)区市町村の虐待防止センターおよび都道府県の権利擁護センターに対するヒアリング調査
課題として、一般市民への周知が不十分、専門職員の確保の困難さ、障害者以外の児童、高齢者、DVとのネットワーク、被虐待者の保護について、相談対応や相談機関の体制について、虐待事例の調査対応についての専門職の参加などが挙がっていた。
4)事業所における虐待防止委員会の設置状況に関する調査(第一次)
虐待防止委員会を設置していない比率が高かったのは、共同生活援助57.9%、就労継続支援A型68.0%、就労継続支援B型60.0%、放課後等デイサービス54.9%であった。内部の障害者虐待防止研修を実施していない事業種別とも重なるため、虐待防止委員会の設置により内部の虐待防止研修の実施率を高めることができる可能性がある。
障害者福祉施設等において、虐待を受けたと思われる障害者を発見した場合、すべての事業種別において、50%以上が設置者や管理者に報告した後通報するルールとなっていた。職員が通報するルールがあるのは、複数回答を含めて30%程度であった。
5)「不適切な対応」「性的虐待」に関する事例の収集
124事例が収集され、「手を引っ張る(身体的虐待)」「交換条件を出してやらせる(心理的虐待)」等の明らかな虐待事例に加えて、実践現場では「やるべき適切な対応が不足していた(ネグレクト)」「本人の意思に反した支援を行った(意思決定支援の欠如)」等が虐待を起こさないために改善すべき事例として課題となっていることが明らかになった。性的虐待は被虐待者の保護者や虐待を起こした事業所にヒアリングを実施し10事例の収集を行った。
結論
本研究では、①事業所における虐待防止委員会や通報ルートの分析、虐待・不適切事例の分析を研修課題の分析を行い、事業所において虐待を防止し、適切な対応を行うための研修の在り方や効果的なプログラム研修作成を行うための基礎資料を得ることができた。さらに、②都道府県の権利擁護センターよび市町村の虐待防止センターの通報受理に関わる課題や支援システムに関する好事例を聞き取り調査で得ることができた。今後、国研修としておこなうべき障害者虐待防止・権利擁護研修に関して、より理解が深まる効果的な研修プログラム及び研修実施マニュアルパッケージの開発を行うことが必要であることが明らかになった。
公開日・更新日
公開日
2019-08-22
更新日
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