障害児支援事業所における医療的ケア児等支援人材育成プログラムの開発

文献情報

文献番号
201817012A
報告書区分
総括
研究課題名
障害児支援事業所における医療的ケア児等支援人材育成プログラムの開発
課題番号
H30-身体・知的-一般-003
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
亀井 智泉(信州大学医学部新生児学・療育学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 福山 哲広(信州大学医学部新生児学・療育学講座 特任講師)
  • 小林 敏枝(松本大学教育学部教授)
  • 塚原 成幸(清泉女学院短期大学幼児教育学科准教授)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
6,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 障害児への直接支援に初めて携わる支援者が、障害児支援のために必要な基礎知識、豊かなあそびを保障する力と共に、インクルーシブな地域での子育て支援から地域包括ケアシステムにつながるこれからの「地域づくり」の中で、障害児支援事業所が担うべき役割への認識を持ち、途切れない支援を作り出す力を得てもらうための力を持つための人材育成研修を開発することを目的とする。
 初年度においては、医療的ケア児のみならず、広くすべての障害を対象に、障害児支援事業所における人材育成に必要な要素を探り、そこから人材育成プログラムに必要なコンテンツを導き出すことを目的として取り組んだ。

研究方法
○これまでの研修の効果検証 これまで行ってきた医療的ケア児等の直接支援人材育成の研修会について、研修受講者の所属施設や圏域の自立支援協議会を対象とした聞き取りにより、研修効果を検証した。
○あそびと支援の現状把握  障害児通所施設の見学、視察を行い、児と支援者の関わり、あそびや支援の様子、環境構成をみるとともに、支援者との意見交換を行った。そこで得られたあそびの提供と発達支援に必要な知識や技術、意識等について絞り込み、それらの要素についての実態を把握するアンケート調査を行った。アンケート調査は全国の児童発達支援事業所、同センター放課後等デイサービス等、約1000か所を対象に行った。
○教材の開発 あそびを通した支援を提供するため、支援者自らがあそび、ともにあそびをつくるためのテキスト制作とワークショップを試行した。また、医療的ケアを体感的に理解するための模型教材を試作、試用した。運動遊び、特に水中あそびについては、先行している事業所や指導グループの活動の視察、見学を行い、教材として可視化するために必要な要素を抽出した。
結果と考察
これまでに医療的ケア児の支援者を対象に行ってきた研修の中で最も評価、効果が高かったのは救急シミュレーション研修であった。また、医療的ケアや障がいの理解については、医療的ケアそのものよりも、人間の体の働き・動きを学ぶことが、障害を持つ当事者への共感を持った支援につながっていることが分かった。発達障がいについても同様であり、診断名、障害の特性についての知識よりも、感覚の違いによる当事者の困り感、不快感について、体験的に理解する方が共感的な理解につながる。他児や他児の保護者へ障がいや必要な配慮について適切な説明を行い、排除しないインクルーシブな環境を構築するためにも、「障害」の理解よりも「人間」そのものについての理解を持つことが重要である。
 あそびや支援のスキルについては、多くの事業所で何らかの人材育成の策を講じていることが調査からわかった。支援者が一定の専門性と知識を持ちながら、それを発揮しきれていないのは、事業所としての支援目的が狭小であり、あるいは他施設との関わりをもたないところに要因があるのではないか。他施設との役割分担や情報共有によるネットワークは、児の特性の多方面からの理解、均質で途切れない支援を支える。同時に、児の成長発達に伴って支援資源・連携の構成が変化し、やがて親亡き後の安心を支える地域生活支援拠点やその後の地域包括支援システムへと変容していく、その基盤となりうることを広く周知したい。
 また、あそびの現状としては、感覚遊び・運動遊び・構成あそびが多く、支援者から何らかの働きかけがない限り、多くの児は一人遊びに終始している。こどもの自由で主体的なあそびを惹起する環境構成が必要である。支援者が肯定的な姿勢でこどもと「ともにある」ために、ユーモア・コミュニケーションのワークショップは一定の効果があると思われた。
また、優れた事業所は、空間・時間・用具や玩具・人的環境としての支援者のかかわり方、という複数の要素において、環境構成が充実している。環境構成が豊かな事業所はあそび支援も充実しており、その好事例の集積から「スモールステップ」の支援、支援者が特定の児の支援に限局しないで常に声を掛け合う事業所内の連携が重要であることも明確になった。
結論
初任者が障害児の直接支援に携わるうえで、必要な要素を会得するために以下のような研修・教材開発が必要である。
○障がい児支援事業所が地域で果たす役割を認識し、児の発達段階に応じた多職種連携を構築する教材
○人間そのものを理解することにより、障害特性・困り感に対して共感的理解すること。
 :こども本来の発達の知識
 :医療的理解(胃ろう・気管切開・導尿・心疾患・てんかん)
 :発達障がい(感じ方・困り感を実感するワークブック)
○発達段階と障害特性に応じた、主体的なあそびを創出する
:環境構成技術、コミュニケーションスキル
:発達段階や障害特性に応じたあそびの事例集
 ○救急対応のシミュレーションプログラム

公開日・更新日

公開日
2020-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201817012Z