障害児支援のサービスの質を向上させるための第三者評価方法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201817006A
報告書区分
総括
研究課題名
障害児支援のサービスの質を向上させるための第三者評価方法の開発に関する研究
課題番号
H29-身体・知的-一般-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
内山 登紀夫(大正大学 心理社会学部 臨床心理学科)
研究分担者(所属機関)
  • 小澤 温(筑波大学・人間系)
  • 松葉佐 正(熊本大学 医学部付属病院小児科)
  • 渡辺 顕一郎(日本福祉大学 子ども発達学部)
  • 堀口 寿広(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所精神医療政策研究部)
  • 安達 潤(北海道大学 大学院教育学研究院)
  • 稲田 尚子(帝京大学 文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
合理的な手法に基づき障害児支援の第三者評価方法を提示することを目的とする。第三者の目から見た評価結果を広く情報提供することにより、利用者に事業者の行う支援の内容を見えるものとし、サービスの質の向上に向けた事業者の取組を促す。
研究方法
(1)スコットランドにおける福祉サービスの第三者評価システムと、日本医療機能評価機構における第三者評価システムについての情報収集、並びに、九州地区の児童福祉施設に対する評価試行、(2)障害児に関わるサービス評価の内容分析と評価項目の検討、(3)評価者養成方法の開発と評価に関する研究、(4)外部評価の実施可能性に関する検討、(5)外部評価の総合的段階評価に関する検討、(6)障害児支援の質を評価するための項目:保護者視点に基づく重要度評価、(7)第三者評価の普及推進活動の検討:障害児通所支援事業所の外部評価におけるフォローアップの必要性とそのあり方、に関する検討を行った。
結果と考察
(1)スコットランドにおける福祉サービスの第三者評価システムと、日本医療機能評価機構における第三者評価システムについての情報収集、並びに、九州地区の児童福祉施設に対する評価試行:九州地区の児童福祉施設に対する外部評価の試行を行った。また、スコットランドで施行されている新たな福祉サービス基準 the Health and Social Care Standardの全訳を行い、その達成基準Headline outcomeと原則principleを明らかにし、Standardの全容を示した。
(2)障害児に関わるサービス評価の内容分析と評価項目の検討:外部評価項目の基礎資料案を作成し、面接調査を実施し分析した。また、医療、福祉、教育現場の専門職に対してエキスパートレビューを実施し項目案の内容的妥当性を検討した。面接調査の結果、職員が子ども一人一人の視点から支援を見直すことの重要性が明らかになった。
(3)評価者養成方法の開発と評価に関する研究:国内外の関連制度および関係機関への意見調査の結果を踏まえて評価者養成研修のプログラムを作成し、同研修を開催した。また、評価者養成に資するため評価項目に基づいた研修マニュアルを作成した。さらに、評価項目の実用性を高めるため、評価を実施したものを対象に意見収集した。
(4)外部評価の実施可能性に関する検討:Webアンケートと基礎項目をもとに項目素案を作成し、評価者聞き取り調査、養成講座、評価の試行を実施した。外部評価項目の妥当性とシステムの有効性が示唆された。この評価が一致しない項目については、より丁寧に対話することにより、サービスの質を向上するための切り口になりえるのではないかと考える。
(5)外部評価の総合的段階評価に関する検討:単に査定するだけでなく、児童福祉施設のサービスの質の向上に寄与することを意図しているため、総合的段階評価を5段階評価にするなど、今後の検討点が明らかになった。
(6)障害児支援の質を評価するための項目:保護者視点に基づく重要度評価:外部評価項目案に対して、保護者は重要であると判断し、項目の妥当性が確認された。とりわけ、障害特性および個別のニーズに基づく支援に対して、重要度の認識が高かったことから、障害特性と個別のニーズに対するアセスメントが重要である。重要度が低いと判断された項目に対しては、今後検討するための資料が得られた。
(7)第三者評価の普及推進活動の検討:障害児通所支援事業所の外部評価におけるフォローアップの必要性とそのあり方:先行研究に基づく検討、及び障害児通所支援事業所2か所に対して外部評価後の事後研修及びコンサルテーションを試行的に実施し、フォローアップの必要性や方法等について検証するとともに、事業所側の負担等の課題についても明らかにした。
結論
客観的な手法に基づき検証を経た障害児支援の第三者評価方法を提示することを目的として実施された。国内外の第三者評価のレビューやインタビューを経て、(1)仕組みの検討、および(2)評価項目の検討が行われ、(3)評価者養成講座が開発された。(4)これらに基づく外部評価モデル・パッケージ案が作成され、(5)我が国の現場施設における評価の試行が実施され、(6)外部評価システムの実行可能性が検討され、さらに(7)普及推進活動の検討が行われた。我が国の実情に見合った外部評価システムが開発、実施され、一定の有用性が示された一方で、また今後の課題も明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2019-09-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-09-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201817006B
報告書区分
総合
研究課題名
障害児支援のサービスの質を向上させるための第三者評価方法の開発に関する研究
課題番号
H29-身体・知的-一般-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
内山 登紀夫(大正大学 心理社会学部 臨床心理学科)
研究分担者(所属機関)
  • 小澤 温(筑波大学・人間系)
  • 松葉佐 正(熊本大学 医学部附属病院小児科)
  • 渡辺 顕一郎(日本福祉大学 子ども発達学部)
  • 堀口 寿広(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所精神医療政策研究室)
  • 安達 潤(北海道大学 大学院教育学研究院)
  • 稲田 尚子(帝京大学 文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
合理的な手法に基づき障害児支援の第三者評価方法を提示することを目的とする。第三者の目から見た評価結果を広く情報提供することにより、利用者に事業者の行う支援の内容を見えるものとし、サービスの質の向上に向けた事業者の取組を促す。
研究方法
(1)(2)第三者評価の仕組みの検討1.2、(3)スコットランドにおける福祉サービスの第三者評価システムと、日本医療機能評価機構における第三者評価システムについての情報収集、並びに、九州地区の児童福祉施設に対する評価試行、(4)障害児に関わるサービス評価の内容分析と評価項目の検討、(5)評価者養成方法の開発と評価に関する研究、(6)外部評価の実施可能性に関する検討、(7)外部評価の総合的段階評価に関する検討、(8)障害児支援の質を評価するための項目:保護者視点に基づく重要度評価、(9)第三者評価の普及推進活動の検討:障害児通所支援事業所の外部評価におけるフォローアップの必要性とそのあり方、に関する検討を行った。
結果と考察
各分担研究の結果は次のとおりである。
(1・2)仕組みの検討では、外部評価システム構築のため、概要、第三者評価の意義と目的、予算、評価システム、評価項目、評価の方法、評価機関と評価者、受審方針、費用・負担軽減と受審促進、受審率、評価者養成の仕組み、評価結果等の公表と活用、という観点でその特徴を把握した。
(3)スコットランドの福祉サービス基準及び第三者評価機関について情報収集を行った結果、評価の眼目は、①良いリーダーシップ、②良い職員、③利用者と事業所の間の良いコミュニケーションであった。
(4)障害児支援サービスの第三者評価に関わる文献・資料の検討では、既存の第三者評価項目ごとの評価に対しての評価基準は出来てきても課題があることが示されたことを踏まえ、5領域33評価項目とする外部評価の基礎資料を作成した。
(5)研修に必要な事項について、国内外の制度を参照し、全国の運営適正化委員会等から意見を収集した。それをもとに養成研修を行いマニュアルを作成、評価者へのアンケートにより評価項目の実用性を高めることができると考えた。
(6)Webアンケートと基礎項目をもとに項目素案を作成し、評価者聞き取り調査、養成講座、評価の試行を実施した。外部評価項目の妥当性とシステムの有効性が示唆された。この評価が一致しない項目については、より丁寧に対話することにより、サービスの質を向上するための切り口になりえるのではないかと考える。
(7)単に査定するだけでなく、児童福祉施設のサービスの質の向上に寄与することを意図しているため、総合的段階評価を5段階評価にするなど、今後の検討点が明らかになった。
(8)外部評価項目案に対して、保護者は重要であると判断し、項目の妥当性が確認された。とりわけ、障害特性および個別のニーズに基づく支援に対して、重要度の認識が高かったことから、障害特性と個別のニーズに対するアセスメントが重要である。重要度が低いと判断された項目に対しては、今後検討するための資料が得られた。
(9)受審後のフォローアップは、現場の課題等を具体的に解決する方策として有効であり、評価とフォローアップを一体的に実施し、支援の質的向上を図るため、課題や内容等に関するニーズを明確することが重要である。また、業務に差支えがないようにより簡易な受審方法や、研修等に参加するための代替職員の確保等について更なる検討が必要である。
結論
客観的な手法に基づき検証を経た障害児支援の第三者評価方法を提示することを目的として実施された。国内外の第三者評価のレビューやインタビューを経て、(1)仕組みの検討、および(2)評価項目の検討が行われ、(3)評価者養成講座が開発された。(4)これらに基づく外部評価モデル・パッケージ案が作成され、(5)我が国の現場施設における評価の試行が実施され、(6)外部評価システムの実行可能性が検討され、さらに(7)普及推進活動の検討が行われた。我が国の実情に見合った外部評価システムが開発、実施され、一定の有用性が示された一方で、また今後の課題も明らかになっ1た。

公開日・更新日

公開日
2019-09-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2019-09-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201817006C

収支報告書

文献番号
201817006Z