支援機器の効果的活用や支援手法等に関する情報基盤整備に関する研究

文献情報

文献番号
201817005A
報告書区分
総括
研究課題名
支援機器の効果的活用や支援手法等に関する情報基盤整備に関する研究
課題番号
H29-身体・知的-一般-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
小野 栄一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小崎  慶介(心身障害児総合医療療育センター)
  • 山田 英樹(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 筒井 澄栄(創価大学 文学部)
  • 高岡 徹(横浜市総合リハビリテーションセンター)
  • 阿久根 徹(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 中村 隆(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
エビデンスに基づく補装具費支給制度等の運用や評価の促進を目指し、児童の補装具利用や、高機能・高額な支援機器の選択・選定、また平成30年度に導入される借受け制度のモニタリングに課題を絞り、それらを解決し、実運用にかなう情報基盤としてのデータベースおよびデータ収集方法の確立を目的とする。
 この目的達成のために、以下の3つの研究目標を設定した。
1)児童の補装具利用実態の把握およびデータベース化
2)支援機器の選択・選定データベースの改修による高機能機器利用のエビデンス抽出
3)補装具支給情報データベースによる借受け制度のモニタリング
研究方法
1)①児童を対象とした利用実態調査
全国肢体不自由児施設運営協議会理事所属施設(18施設)を対象に、平成29年11月より児童の補装具支給実態調査を実施した。
②支援機器利用実態の調査
スマートフォン内蔵の慣性センサを用い、加速度・角速度の計測結果から、電動車いすの旋回と、路面の段差状態を推定できることを確認した。
下肢装具の利用状況について調べるため、児童の装具を専門とする義肢装具製作所の義肢装具士を対象としたヒアリングを行った。また、低負担、非干渉な利用状況の収集手段として、活動量計とロガーの機種を選定した。
2)7つのリハセンターで共通フォーマットによるデータ収集を行った。
調査対象者は、義肢と下肢装具に関する受診者を対象とし、調査期間は2017年10月~2018年9月までの1年間とした。
3)借受け導入後の課題の把握とその対応案等を検討することを目的して、全国を8ブロックに分け、更生相談所に対して補装具費支給制度における借受け制度導入後の状況に関する調査を実施した。
処方箋の新規作成機能において、従来の各チェック項目をチェックする方式に加え、補装具種目名称コードを選択するためのプルダウンリストを追加し、補装具種目名称コードを選択することで該当のチェック項目にチェックが付くように改修を行った。
結果と考察
1)2017年11月~2018年10月の期間で14施設より4632件の報告があった。年齢別報告件数には、6歳と17歳にピークが見られた。支給された補装具の中では、姿勢保持や介助による移動を目的とすると見られる下肢装具、車いす、座位保持装置、体幹装具の支給が大部分を占めていた。補装具借受制度を利用した支給事例はなかった。
電動車いすを対象とした利用ログ収集システムについて既存技術の調査を実施し、収集すべきパラメータを確認した。また、小型スマートフォンの慣性センサを利用し、屋外走行データを収集することで、利用状態の解釈が可能であることを確認した。
下肢装具については、近年、高活動児に炭素繊維強化プラスチック製短下肢装具が処方されるようになり、破損が課題になっている状況が聴取された。また、低負担、非干渉な利用状況収集のため、軽量小型の活動量計、ロガーを選定した。
意思疎通支援機器について主要学会での情報収集を行い、スマートフォンなど一般機器の利用が進んでいる点を把握した。
2)711件のデータを収集し、センター間でデータを共有した。調査結果は2年前の5施設による調査とほぼ等しく、調査の再現性が確認された。高機能部品については一部の施設の対象者に限られ、数も少なかった。
借受けについては、横浜市総合リハビリテーションセンターにて、10月末までの半年間で重度障害者用意思伝達装置5件の判定・処方を行っているが、借受けはなかった。その他は、平成31年1月現在で、上肢装具5件で借受けを実施していた。
3)処方箋の新規作成の際に、既定値として選択される項目をユーザがカスタマイズできるようにするための機能を追加した。設定画面は対応する処方箋の新規作成機能の作成画面と同様とし、本機能により設定及び「保存」ボタンによって保存された項目はユーザごとにデータベースに保存され、対応する処方箋の新規作成機能の実行時に既定値として設定される。
結論
1)支給件数の年齢別変動が観察された。旧肢体不自由児施設における補装具の支給状況では姿勢保持や介助による移動を目的としたものが圧倒的に多いことが示唆された。
電動車いす利用ログシステムとして、スマートフォンのロガーとしての利用を試み、旋回操作や路面状況を確認できることを示した。
下肢装具の利用状況については、炭素繊維強化プラスチック製短下肢装具など、装具破損における現状の課題が聴取された。
2)リハビリテーションセンター7施設協働による義肢と下肢装具に関する同時実態調査を行った。711名のデータを得て、その初期解析結果を報告した。
3)アンケートの結果、更生相談所8か所から回答が得られた。借受け制度導入から間がないためか、借受け制度の利用実績がないことなど興味深い情報が得られた。

公開日・更新日

公開日
2019-07-02
更新日
2020-06-09

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-07-02
更新日
2020-06-09

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201817005Z