文献情報
文献番号
201816009A
報告書区分
総括
研究課題名
外出が困難な認知症高齢者へのAIを用いた介入手法の開発と、遠隔AI操作によるコミュニティづくりの研究
課題番号
H30-認知症-一般-003
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
澤見 一枝(奈良県立医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
- 川口昌彦(奈良県立医科大学 医学部)
- 木村満夫(奈良県立医科大学 医学部)
- 水主千鶴子(修文大学 看護学部)
- 森崎直子(姫路大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
1,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
≪研究の背景≫
認知症高齢者は、見当識の低下に伴い場所の認知ができなくなり、不安な感情が増強する。さらに外出の困難や徘徊などの行動・心理症状に進展するケースも多い。これに対し、地域では拠点づくりや見守りボランティアなどの対策を進めているが、まだ模索段階にある。
さらに、独居の高齢者の増加に伴い、社会から孤立、認知症やうつ病の進行、悩みやストレスを打ち明けられないことによる深刻化などの諸問題も増加している1)。
この問題に対し、我々はスカイプを用いた外出の疑似体験や、ロボットを用いた安全確認を兼ねたコミュニケーションによる有効性を確認した。このプレテストの結果を踏まえて、施設や居宅を訪問してAIを介したコミュニケーションによる認知的・心理的効果の検証を行う。また、独居高齢者同士がそれぞれ在宅にいながらにして、スカイプやロボットの仲介による仲間づくりを行い、対人交流とコミュニティづくりを促進する。
≪研究の目的≫
認知症高齢者が、スカイプやロボットを用いた外出などの疑似体験を行うことによって、現実見当識や認知・心理機能・QOLの向上を促進すること。また、ADLが低下し外出できない高齢者が、在宅にいながら、ロボットのスローダンスに合わせた上半身の運動と認知課題を実行し、機能維持を図ること。さらに、在宅および施設の高齢者たちが、スカイプやロボットの遠隔中継によって仲間づくりができ、交流とコミュニティづくりを促進すること。これらの効果を半年ごとに経時的に判定し検証する。
認知症高齢者は、見当識の低下に伴い場所の認知ができなくなり、不安な感情が増強する。さらに外出の困難や徘徊などの行動・心理症状に進展するケースも多い。これに対し、地域では拠点づくりや見守りボランティアなどの対策を進めているが、まだ模索段階にある。
さらに、独居の高齢者の増加に伴い、社会から孤立、認知症やうつ病の進行、悩みやストレスを打ち明けられないことによる深刻化などの諸問題も増加している1)。
この問題に対し、我々はスカイプを用いた外出の疑似体験や、ロボットを用いた安全確認を兼ねたコミュニケーションによる有効性を確認した。このプレテストの結果を踏まえて、施設や居宅を訪問してAIを介したコミュニケーションによる認知的・心理的効果の検証を行う。また、独居高齢者同士がそれぞれ在宅にいながらにして、スカイプやロボットの仲介による仲間づくりを行い、対人交流とコミュニティづくりを促進する。
≪研究の目的≫
認知症高齢者が、スカイプやロボットを用いた外出などの疑似体験を行うことによって、現実見当識や認知・心理機能・QOLの向上を促進すること。また、ADLが低下し外出できない高齢者が、在宅にいながら、ロボットのスローダンスに合わせた上半身の運動と認知課題を実行し、機能維持を図ること。さらに、在宅および施設の高齢者たちが、スカイプやロボットの遠隔中継によって仲間づくりができ、交流とコミュニティづくりを促進すること。これらの効果を半年ごとに経時的に判定し検証する。
研究方法
対象:地域在住高齢者を対象とし、公募により被験者を募集する。
介入:1.遠隔地コミュニケーション機器による介入の実施(外出疑似体験、離れた距離にいる高齢者同士の交流など)、高齢者同士のコミュニティ形成を促進する。これは、映像機材を通じて離れた場所にいる人が双方向にコミュニケーションできることを活かし、個人や集団が場所を変えずに容易に集うことを促進する介入である。
2.外出できない高齢者が居宅で機能維持を図れるために、居宅のテレビに映せるDVD動画を制作し、自宅で機能維持に取り組んでもらい、訪問調査で継続的に機能評価を実施する。継続的機能評価は、ロボットに機能評価スケールを搭載し、ロボットの電源だけを入れれば容易に機能評価を実施できる。
3.高齢者のコミュニティを円滑に維持していくための地域のサポーターを養成する。
介入:1.遠隔地コミュニケーション機器による介入の実施(外出疑似体験、離れた距離にいる高齢者同士の交流など)、高齢者同士のコミュニティ形成を促進する。これは、映像機材を通じて離れた場所にいる人が双方向にコミュニケーションできることを活かし、個人や集団が場所を変えずに容易に集うことを促進する介入である。
2.外出できない高齢者が居宅で機能維持を図れるために、居宅のテレビに映せるDVD動画を制作し、自宅で機能維持に取り組んでもらい、訪問調査で継続的に機能評価を実施する。継続的機能評価は、ロボットに機能評価スケールを搭載し、ロボットの電源だけを入れれば容易に機能評価を実施できる。
3.高齢者のコミュニティを円滑に維持していくための地域のサポーターを養成する。
結果と考察
≪結果≫
外出疑似体験:遠隔地コミュニケーション機器によるバーチャル旅行体験;月2回毎3ヶ月間のバーチャル旅行体験を継続し、認知テスト・心理尺度ともに有意に向上した。
ロボットとのコミュニケーションと脳トレーニングダンス:週1回毎7 週間の介入継続により、認知テスト・心理尺度ともに有意に向上した。認知得点と心理尺度には相関関係があった。
高齢者間のコミュニティのためのサポーター養成研修:1回60分12回の講座を修了し、対象者のスキルの向上および円滑な支援活動が実践されている。
≪考察≫
外出疑似体験や脳トレダンス、ロボットとのコミュニケーションによって認知機能や心理尺度の向上があったことから、認知機能やADLの低下により外出困難な高齢者であっても、これらによって機能の維持向上を図り、地域サポーター研修で支援者を増やすことで円滑な運営が期待できる。
外出疑似体験:遠隔地コミュニケーション機器によるバーチャル旅行体験;月2回毎3ヶ月間のバーチャル旅行体験を継続し、認知テスト・心理尺度ともに有意に向上した。
ロボットとのコミュニケーションと脳トレーニングダンス:週1回毎7 週間の介入継続により、認知テスト・心理尺度ともに有意に向上した。認知得点と心理尺度には相関関係があった。
高齢者間のコミュニティのためのサポーター養成研修:1回60分12回の講座を修了し、対象者のスキルの向上および円滑な支援活動が実践されている。
≪考察≫
外出疑似体験や脳トレダンス、ロボットとのコミュニケーションによって認知機能や心理尺度の向上があったことから、認知機能やADLの低下により外出困難な高齢者であっても、これらによって機能の維持向上を図り、地域サポーター研修で支援者を増やすことで円滑な運営が期待できる。
結論
外出疑似体験、ロボットとダンスによる脳トレーニングは認知的・心理的な有効性があった。認知症予防サポーターの養成により、高齢者への支援活動が円滑になった。
公開日・更新日
公開日
2020-02-13
更新日
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