文献情報
文献番号
201815010A
報告書区分
総括
研究課題名
介護保険事業(支援)計画に役立つ地域指標-全国介護レセプト等を用いて-
課題番号
H30-長寿-一般-007
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
田宮 菜奈子(国立大学法人筑波大学 医学医療系 / ヘルスサービス開発研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 石崎 達郎(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) 東京都健康長寿医療センター研究所)
- 高橋 秀人(国立保健医療科学院)
- 松田 智行(茨城県立医療大学 保健医療学部理学療法学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
4,841,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
地域包括ケアシステムにおいて、都道府県・市町村は3年ごとの介護保険事業(支援)計画等の策定・実施を通じ、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じた地域包括ケアシステムを構築することが求められている。関係する様々なデータを正しく解釈し、施策に活かすためには、時系列推移、個人・地域要因の差なども考慮した多角的な分析が必要となる。しかし、多くの市町村、都道府県ではノウハウや人員不足のために、エビデンスに基づく計画の立案、PDCAサイクルの構築が十分行われているとは言えない。
そこで、本研究では、各自治体が地域の実態把握・他地域との比較・課題分析、関係者間での認識の共有、介護保険事業(支援)計画等の策定・評価を行う際の助けとなる、国などが一括して分析・提供すべき地域指標の開発を目指し、
1. 全国データである介護レセプト・公的統計等を用いた地域指標の作成とその信頼性・妥当性の検証
2. 市町村の医療・介護連結レセプトやアンケート調査などを活用した将来的な地域指標 の提案
を行なう。個人・地域要因の差を考慮したマルチレベル等の多角的分析も行い、解釈、施策立案が容易となるよう留意する。指標の信頼性・妥当性も重視する。
そこで、本研究では、各自治体が地域の実態把握・他地域との比較・課題分析、関係者間での認識の共有、介護保険事業(支援)計画等の策定・評価を行う際の助けとなる、国などが一括して分析・提供すべき地域指標の開発を目指し、
1. 全国データである介護レセプト・公的統計等を用いた地域指標の作成とその信頼性・妥当性の検証
2. 市町村の医療・介護連結レセプトやアンケート調査などを活用した将来的な地域指標 の提案
を行なう。個人・地域要因の差を考慮したマルチレベル等の多角的分析も行い、解釈、施策立案が容易となるよう留意する。指標の信頼性・妥当性も重視する。
研究方法
初年度である今年度は、まず各実施施設における倫理審査の承認を受けた。また、利用予定としていた公的統計(介護給付費等実態調査、介護サービス・施設事業所調査、人口動態統計、国民生活基礎調査、医療施設調査、中高年縦断調査)およびNDBの二次利用申請を行った。公的統計は既にデータ整備もほぼ終了し、NDBも、既に研究実績のある他大学研究グループの助言も得つつ、データ整備を進めている。市町村データについては、柏市の医療・介護連結レセプトデータ、つくば市のアンケート調査が分析できる状態となっている。介護DBについては現在申請中である。
上記と並行して文献レビューや海外事例の収集も行い、どのような指標を算出すべきかの議論を進めた。
年度後半は、データ整備が終了したデータを用い、いくつかの指標算出にも着手した。
上記と並行して文献レビューや海外事例の収集も行い、どのような指標を算出すべきかの議論を進めた。
年度後半は、データ整備が終了したデータを用い、いくつかの指標算出にも着手した。
結果と考察
各種データの利用許可が得られ、データ整備も進みつつある。並行して文献レビューや海外事例の収集も行い、年度後半は分析にも着手している。
国際生活機能分類(ICF)の概念を基にした指標の文献レビューでは、今年度は、ICFコアセット、WHODAS2.0、ICF一般セット、Washingtonグループ「短い質問セット」を取り上げた。海外事例の収集として、同じく公的介護保険制を持つオランダの事例を参考にするために、オランダの医療・介護保険制度をレビューし論点整理を行った。これらについては、次年度以降も情報収集・検討を進めていく。また、介護を必要とする高齢者のADLの状況を日本と海外との研究で比較するための基礎研究として、Barthel Index(BI)と要介護度との関係を検討し、BIと要介護度とは高い相関があることを明らかにした。
地域指標作成に向けた研究としては、まず家族介護者に着目して、家族介護力、介護者の長時間介護の割合、ヤングケアラーの実態などを明らかにした。看取りの場についての指標として在宅死の割合を用いる妥当性の検証のために、自宅死に占める外因死の割合に関する研究も行った。さらに介護レセプトを用い、要介護度経年変化や、介護費の地域差及び関連要因の分析も行った。
国際生活機能分類(ICF)の概念を基にした指標の文献レビューでは、今年度は、ICFコアセット、WHODAS2.0、ICF一般セット、Washingtonグループ「短い質問セット」を取り上げた。海外事例の収集として、同じく公的介護保険制を持つオランダの事例を参考にするために、オランダの医療・介護保険制度をレビューし論点整理を行った。これらについては、次年度以降も情報収集・検討を進めていく。また、介護を必要とする高齢者のADLの状況を日本と海外との研究で比較するための基礎研究として、Barthel Index(BI)と要介護度との関係を検討し、BIと要介護度とは高い相関があることを明らかにした。
地域指標作成に向けた研究としては、まず家族介護者に着目して、家族介護力、介護者の長時間介護の割合、ヤングケアラーの実態などを明らかにした。看取りの場についての指標として在宅死の割合を用いる妥当性の検証のために、自宅死に占める外因死の割合に関する研究も行った。さらに介護レセプトを用い、要介護度経年変化や、介護費の地域差及び関連要因の分析も行った。
結論
次年度以降は、様々な指標作成を進めるとともに、どのような指標が介護保険事業(支援)計画に真に役立つのか、どのように活用していくのかについての検討も行っていきたい。
公開日・更新日
公開日
2020-04-24
更新日
-