効率的な臍帯血確保とエビデンスに基づいた臍帯血ユニット選択基準の再評価による臍帯血資源の有効利用法の確立

文献情報

文献番号
201813006A
報告書区分
総括
研究課題名
効率的な臍帯血確保とエビデンスに基づいた臍帯血ユニット選択基準の再評価による臍帯血資源の有効利用法の確立
課題番号
H30-難治等(免)-一般-102
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 聡(東京大学 医科学研究所 血液腫瘍内科)
研究分担者(所属機関)
  • 高梨美乃子(日本赤十字社・血液事業本部・技術部次長)
  • 森 毅彦(慶応義塾大学・医学部・准教授)
  • 熱田 由子(一般社団法人日本造血細胞移植データセンター・センター長)
  • 鍬塚八千代(名古屋大学医学部・病院助教)
  • 山口 類(愛知県がんセンター・システム解析学分野・分野長)
  • 矢部普正(東海大学医学部・教授)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(免疫アレルギー疾患等政策研究 移植医療基盤整備研究分野)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関変更 分担研究者 山口 類 平成31年1月31日まで 東京大学 医科学研究所・准教授 平成31年2月1日より愛知県がんセンター・システム解析学分野・分野長

研究報告書(概要版)

研究目的
臍帯血バンクに保存されている臍帯血ユニット数を増すために、供給体制の強化につながる具体策を考案し、実行する。また、限られた臍帯血ユニットを効率的に利用するために、移植成績に基づいた選択基準について検討を行う。これらによって効率的な臍帯血確保とエビデンスに基づいた臍帯血ユニット選択基準の再評価による臍帯血資源の有効利用法の確立を目指す。
研究方法
採取現場における臍帯血採取法と廃棄率との関連に関する調査を行った。また、産科外来を受診される妊婦に対する啓蒙ビデオの資材を作成した。必要臍帯血ユニット数の算定のために日赤から情報を得るため、日赤倫理委員会の審議を経てデータを入手し、個々の患者ごとの移植に適した臍帯血ユニット数の確認を行った。さらには生着を担保する細胞数の検討を死亡を競合リスクとした時間依存性ROC曲線による解析をおこなった。機会学習モデルを用いた解析に関する検討は、移植データセンターから得られて説明因子のクリーニングを進め、最初に生着に寄与する因子の抽出に向けて毎月の定例ミーティングで解析方法の調整を行っている。
結果と考察
臍帯血バンクにおける供給体制の強化に関しては、至適採取法を確立・徹底するために採取現場における臍帯血採取法と廃棄率との関連に関する調査を行った。また、産科外来での採取推進体制を強化するために、産科外来を受診される妊婦に対して臍帯血移植療の現場を紹介する啓蒙ビデオを作成し、産科外来・母親学級における臍帯血リクルート体制の強化を目指した。また、AMED岡本班(本邦における同種造血幹細胞移植の最適化を目指した移植医療体制の確立と国際的視点からのHarmonizationに関する研究)との連携をとり、日本骨髄バンクに登録した患者情報を用いて、現在臍帯血バンクに保存されているものの中から得られる移植可能な臍帯血数を個々の患者毎に計算した。また、限られた臍帯血ユニットの効率的な利用に関しては、まず、生着を担保する細胞数の検討を死亡を競合リスクとした時間依存性ROC曲線を用いて解析した。また、生着に関する予測に有用な因子群を抽出るために機械学習モデルによる解析法の検討を行った。
本研究課題で得られた成果によって今後、臍帯血の採取法の至適化に関する情報をまとめ、各採取施設へのフィードバックと現時点では7割以上にのぼる採取した臍帯血の廃棄率の減少を目指す。また、今回作成したビデオ資料を用いて、産科外来・母親学級における臍帯血リクルート体制の強化により、保存臍帯血ユニット数の増加を目指す。適正な臍帯血の保存数について検討結果がまとめることができれば、厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会等での政策議論用の資料等として活用されることが期待される。さらには、機会学習モデルを用いた解析法によって新しい観点から臍帯血ユニットの選択基準を策定を目指し、限られた数の臍帯血を有効に多数の患者に供給できるような体制の構築に寄与したい。
結論
本研究課題の遂行によって、臍帯血バンクに保存されている臍帯血ユニット数の増加を目指して供給体制の強化につながる具体策を考案し、さらには限られた臍帯血ユニットを効率的に利用するために移植成績に基づいた選択基準の検討を行うことによって、効率的な臍帯血確保とエビデンスに基づいた臍帯血ユニット選択基準の再評価による臍帯血資源の有効利用法の確立を目指している。

公開日・更新日

公開日
2019-12-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-12-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201813006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,800,000円
(2)補助金確定額
7,800,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,492,741円
人件費・謝金 257,040円
旅費 3,312,240円
その他 1,215,416円
間接経費 1,800,000円
合計 8,077,437円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2022-06-03
更新日
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