文献情報
文献番号
201813004A
報告書区分
総括
研究課題名
脳死下・心停止下における臓器・組織提供ドナー家族における満足度の向上及び効率的な提供体制構築に資する研究
課題番号
H29-難治等(免)-一般-102
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
横田 裕行(日本医科大学 大学院医学研究科 救急医学分野)
研究分担者(所属機関)
- 荒木 尚(埼玉医科大学総合医療センター 高度救命救急センター)
- 織田 順(東京医科大学 救急・災害医学分野)
- 久志本 成樹(東北大学大学院 医学系研究科外科病態学講座救急医学分野)
- 朝居 朋子(藤田医科大学 医療科学部看護学科)
- 坂本 哲也(帝京大学 医学部)
- 田中 秀治(国士館大学大学院 救急システム研究科)
- 名取 良弘(飯塚病院 脳神経外科)
- 山勢 博彰(山口大学大学院 医学系研究科)
- 柴田 尚明(和歌山県立医科大学 救急・集中治療医学講座)
- 渥美 生弘(聖隷浜松病院 救命救急センター)
- 加藤 庸子(藤田医科大学ばんたね病院 脳神経外科)
- 江川 裕人(東京女子医科大学 消化器外科)
- 三宅 康史(帝京大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(免疫アレルギー疾患等政策研究 移植医療基盤整備研究分野)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
8,108,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本邦の脳死下、心停止後臓器提供数は未だ少ない。その理由の一つとして、救急や脳外科施設で脳死とされうる状態になった患者家族に対して臓器提供に関する情報提供(いわゆる“選択肢提示”)が十分になされていないことが指摘されている。過去の我々の研究から脳死下臓器提供に係る人的、時間的負担を背景に臓器提供への臓器提供に関する情報提供を躊躇する五類型施設が多いことが背景に存在する。過年度である平成29年度は家族の心情や医療機関の実情を考慮し、例えば法的脳死判定や脳死下臓器提供時の様々な手順に関してマニュアル化の原稿と動画を完成させた。すなわち、選択肢提示を誰がどの時点で行うべきかという視点から、医師や看護師だけでなく、例えばメディカルソーシャルワーカー(MSW)などの職種もチーム医療の一員として関与することが出来ることを示した。そのような中、脳死患者だけでなく急性期疾患の重症患者とその家族の心理的サポートを行う重症患者対応メディエーター(仮称)の重要性を考え、人材育成の立場からテキスト作成に取り掛かっている。また、平成29年度の研究の中で、脳死下臓器提供した場合の医師に負担として最も大きい要因は書類の作成であることが明らかになっている。特に、事後検証のための書類作成は簡略化されつつあるとはいっても、まだまだ主治医には負担が大きく、より効率的で正確な検証が可能な検証フォーマット、検証体制についても本研究班で検討した。
また、過年度から検討をしている重要な項目、すなわち、①家族、②救急や脳外科施設、③看護師、④地域の医療機関、⑤コーディネーターなどの視点、⑥組織提供に際して選択肢提示と院内体制構築の課題等を検討する体制を構築していくことを目的とした。
また、過年度から検討をしている重要な項目、すなわち、①家族、②救急や脳外科施設、③看護師、④地域の医療機関、⑤コーディネーターなどの視点、⑥組織提供に際して選択肢提示と院内体制構築の課題等を検討する体制を構築していくことを目的とした。
研究方法
臓器提供に関する課題の抽出はほぼ予定通りに終了し、その解決に向けての対策を各分担研究班で行っている。その中で、脳死下臓器提供時のテキスト作成も順調な進捗である。本テキストはいわゆる五類型施設が使用することを想定し、その特徴は過去の脳死下臓器提供の経験に応じ、ポイントを解説したところにある。現在、校正の段階で日本救急医学会、日本脳神経学会、日本集中治療学会、日本麻酔科学会でも校正をお願いする予定である。また、脳死下臓器提供後の医学検証、斡旋の検証作業をより効率化するために提案も予定通り報告することが出来た。さらに今年度は脳死患者だけでなく急性期疾患の重症患者とその家族の心理的サポートを行う重症患者メディエーター(仮称)の重要性を検討し、人材育成のための教材、プログラムについても具体的な議論と作業に取り掛かっている。
結果と考察
法的脳死判定や脳死下臓器提供時の様々な手順を施設の経験に応じた解説をするテキスト編集作業に取り掛っている。また、選択肢提示は医師や看護師だけでなく、例えばメディカルソーシャルワーカー(MSW)などの職種もチーム医療の一員として関与することが出来ることを示した。さらに脳死患者だけでなく急性期疾患の重症患者とその家族の心理的サポートを行う重症患者対応メディエーター(仮称)の重要性を考え、人材育成の立場から教材作成に取り掛かっている。すなわち、重篤な救急患者の家族に対して精神的な支援を行う人材の養成を行い、患者やその家族等に寄り添って患者が脳死になった場合は家族への精神的な支援活動の一つとして臓器提供の機会が存在することの情報提供を行う人材である。同時に研究班の課題として①家族、②救急や脳外科施設、③看護師、④地域の医療機関、⑤コーディネーターなどの視点、⑥組織提供に際して選択肢提示と院内体制構築の課題等を検討する体制を構築していく。また、今回の研究の中で、脳死下臓器提供時の医師の最大負担は書類の作成であることが明らかになった。そのため、事後検証のための書類作成をより効率的で正確な検証が可能な検証フォーマット、検証体制についても本研究班で検討した。
結論
本研究班で検討した現在の臓器提供体制の課題に関しては医師、看護師な各々の職種の立場から解決法が示された。その中で、前述のような臓器提供時の手順に関するテキスト作成が作成される。また、より効率的で公正な脳死下臓器提供後の医学検証、斡旋の検証方法や体制を提案することができた。さらに、今年度は急性期の重症患者とその家族への心理的サポートを行う重症患者メディエーター(仮称)の重要性を検討し、人材育成の教材についても具体的な議論と作業に取り掛かることができた。これらの結果から、選択肢提示をする機会が増えることが予想され、臓器提供数の増加が見込まれると考えている。
公開日・更新日
公開日
2019-12-24
更新日
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