文献情報
文献番号
201812005A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国の関節リウマチ診療の標準化に関する臨床疫学研究
課題番号
H30-免疫-指定-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
針谷 正祥(東京女子医科大学医学部膠原病リウマチ内科学講座リウマチ性疾患薬剤疫学寄附研究部門)
研究分担者(所属機関)
- 川人 豊(京都府立医科大学医学研究科)
- 鈴木 康夫(東海大学医学部)
- 中島 亜矢子(三重大学医学部附属病院)
- 齋藤 和義(産業医科大学医学部)
- 中野 和久(産業医科大学医学部)
- 平田 信太郎(広島大学病院)
- 西田 圭一郎(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
- 藤井 隆夫(和歌山県立医科大学医学部)
- 森信 暁雄(神戸大学大学院医学研究科)
- 伊藤 宣(京都大学大学院医学研究科)
- 河野 正孝(京都府立医科大学医学研究科)
- 田中 真生 (京都大学大学院医学研究科)
- 中山 健夫(京都大学大学院医学研究科)
- 松下 功(富山大学附属病院)
- 小嶋 俊久(名古屋大学医学部附属病院)
- 小嶋 雅代(名古屋市立大学大学院医学研究科)
- 瀬戸 洋平(東京女子医科大学医学部)
- 井上 永介(聖マリアンナ医科大学医学部)
- 金子 祐子(慶應義塾大学医学部)
- 岸本 暢将(聖路加国際大学聖路加国際病院)
- 酒井 良子(東京女子医科大学医学部)
- 田中 榮一 (東京女子医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(免疫アレルギー疾患等政策研究 免疫アレルギー疾患政策研究分野)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
4,813,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
関節リウマチ(RA)の治療にメトトレキサート(MTX)および生物学的製剤が上市され、RAの治療目標と目標達成のための治療戦略が明確化されたことによって、その治療成績は著明に改善した。厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等克服研究事業「我が国における関節リウマチ治療の標準化に関する多層的研究」(平成23-25年度、研究代表者 宮坂信之)において関節リウマチ診療ガイドライン2014が作成され、一般社団法人日本リウマチ学会(JCR)から公表された。以降、わが国ではバイオシミラーを含む新たな生物学的製剤、ヤヌスキナーゼ阻害薬等が上市され、MTX・生物学的製剤の使用頻度が増加し、診療実態が大きく変わりつつある。また、関節リウマチ診療に携わる中小病院、診療所が増加し、それらの医療機関で診療を受けるRA患者が増えつつある。一方、MTX使用頻度の増加に伴って、中・長期的重篤有害事象として、リンパ増殖性疾患が注目されるようになった。診療ガイドラインは定期的な改訂が求められており、欧米では近年、RA診療ガイドラインが改訂された。診療ガイドラインの改訂には2-3年の時間を要するため、わが国においても改訂に着手する時期にあると考えられる。そこで、本研究では、わが国のRA診療の現状と問題点を解析し、日本リウマチ学会(JCR)が2014年に発表したRA診療ガイドラインを改訂し、今後のリウマチ対策の改訂およびRA患者のQOL向上に寄与することを目的とする。
研究方法
3つの分科会を設置し、JCRと連携しつつ研究を遂行する。RA疫学研究分科会では、登録患者の年齢構成に偏りのないナショナルデータベース(NDB)を用いて、超高齢化社会のわが国におけるRA患者の有病率・人口統計学的特性・治療実態・合併症等とそれらの地域的分布等を把握し、その結果をRA診療ガイドライン分科会に提供する。RA関連リンパ増殖性疾患(RA-LPD)分科会では、2つの疫学研究をJCRと連携して実施し、RA関連リンパ増殖性疾患の実態解明と対策立案を目指すとともに、その結果をRA診療ガイドライン分科会に提供する。RA診療ガイドライン分科会では、現在のRA診療ガイドライン作成以降の文献を中心にsystematic reviewを行い、上述した両分科会の成績も踏まえて、GRADE法に準拠した関節リウマチ診療ガイドライン2020を作成する。
結果と考察
RA疫学研究分科会はNDBへのデータ提供依頼を速やかに実施し、解析に必要な設備、機材等を整えた。2019年3月に医科レセプトデータ250ファイル、1,147,238,333件、DPCデータ504ファイル、184,889,065件、調剤データ259ファイル、983,554,887件の個票を受領し、解析を開始した。RA関連リンパ増殖性疾患分科会は『関節リウマチ患者におけるリンパ増殖性疾患に関する研究』を実施し、全国59施設から10,548例が登録され,そのうち10,200例を解析対象として、データクリーニングを行った。また、『関節リウマチ治療経過中に発生するリンパ増殖性疾患/リンパ腫の臨床・病理学的特性に関する後方視的多施設共同研究』を実施し、232例のLPD症例のデータを収集した。RA診療ガイドライン分科会はガイドライン作成の基本計画、スコープ、重大・重要なアウトカム指標を決定し、クリニカルクエスチョン案を作成した。
結論
3分科会の研究成果を統合し、関節リウマチ診療ガイドライン2020をJCRから公表することによって、RA患者QOLの最大限までの改善、ライフイベントに対応したきめ細やかな支援に寄与することが期待される。
公開日・更新日
公開日
2020-03-13
更新日
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