難病患者の総合的支援体制に関する研究

文献情報

文献番号
201811098A
報告書区分
総括
研究課題名
難病患者の総合的支援体制に関する研究
課題番号
H30-難治等(難)-指定-004
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
小森 哲夫(独立行政法人国立病院機構箱根病院 神経筋・難病医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 溝口 功一(独立行政法人国立病院機構 静岡医療センター)
  • 小倉 朗子(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 川尻洋美(田所洋美) (群馬県難病相談支援センター)
  • 宮地 隆史(独立行政法人国立病院機構 柳井医療センター)
  • 菊池 仁志(医療法人財団華林会 村上華林堂病院)
  • 阿部 達哉(国立病院機構箱根病院 )
  • 植木 美乃(名古屋市立大学 医学研究科)
  • 中馬 孝容(滋賀県立総合病院)
  • 小林 庸子(国立精神・神経医療研究センター)
  • 中山 優季(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 原口 道子(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 江口 尚(北里大学)
  • 植竹 日奈(独立行政法人国立病院機構 まつもと医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
32,400,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 森 臨太郎→平成30年11月25日より研究協力者へ交替

研究報告書(概要版)

研究目的
これまで継続的に実施されてきた難病患者の支援体制に関する研究におけるそれぞれの課題を引き続き充実させて、多職種による質の高い支援を全国均てん化するため、研究課題を(1)難病医療ネットワークの充実、(2)地域支援ネットワークの充実、(3)福祉ネットワークの充実の3つに組み替えて、研究成果が明らかとなることを重視した。各分野の分担研究者相互の協力体制を醸成するとともに、導き出される研究成果が、有益な情報として難病患者の現実に即した政策に反映されうるものとなることを目的とした。
研究方法
難病医療ネットワークの充実:都道府県難病診療連携拠点病院の状況を都道府県の担当課に一括アンケート調査した(溝口、宮地、阿部)。レスパイト事業の実態調査をした(菊池)。難病患者におけるリハビリテーションの実態をWeb調査(植木)。滋賀県の介護保険リハビリテーション提供施設へアンケート調査(中馬)。日常的リハビリテーションの聞き取り調査(小林)を実施した。地域支援ネットワークの充実:在宅人工呼吸器使用難病患者支援事業の利用状況分析と日本難病看護学会認定難病看護師の業務を解析した(中山)。難病関連職種へのインタビューで介護支援専門員と難病ホームヘルパーの活用を調査した(原口)。難病保健活動の充実は、自治体への難病対策地域協議会の難病保健活動調査を継続した(小倉)。災害時対策として災害関連シンポジウムを開催した。福祉ネットワークの充実:難病相談支援センターの標準業務調査を継続した(川尻)。難病患者の就労支援として実態をWeb調査を実施した(江口)。両立支援モデルの構築を試みた(植竹)。難病患者生活実態調査のまとめ:医療費助成経過期間終了後の調査を実施した(中山)。Webページの作成と利用:研究班 Webページで、成果物利用状況を調査した(小森)。
結果と考察
難病医療ネットワークの充実:未指定が多く都道府県難病診療連携拠点病院の整備状況は把握出来なかった。設置主体は大学病院や県立等自治体病院で、旧難病医療体制の院内組織を継承していた。5機関で難病診療連携コーディネーターが配置された。遺伝子検査の院内体制は整っていた。多職種連携診療チームは存在しなかった。レスパイト事業は、診療側の必要経費と乖離がある為、再整備が必要であった。Web調査で、リハビリテーションを継続している難病患者の2/3は神経系難病で、専門医療機関のアドバイスを受ける機会が不足していた。これは、介護保険リハビリテーション施設の聞き取り調査でも同じであった。複雑な制度の難病リハビリテーションは、専門的医療機関と地域の繋ぎが重要である。地域支援ネットワークの充実:在宅人工呼吸器使用難病患者支援事業の利用疾患と利用回数は増加した。難病看護師は、遺伝子関連カウンセリングと移行期医療への関与に改善点が残った。介護支援専門員と難病ホームヘルパーには、患者情報や医療情報と生活環境情報の理解が重要と考えられ、医療機関内外を跨ぐ多職種連携が必要である。難病保健活動は、地域支援ネットワークの中心的課題で、難病対策地域協議会の運営強化と難病保健活動の人材育成が引き続きの課題と思われたが、本庁の難病担当保健師が保健所等連絡会を実施する体制が有効と思われた。福祉ネットワークの充実:難病相談支援センターの専門職による相談支援と、ピアサポート研修は確立を急ぐ必要があった。今年度作成した「お役立ちノート」「お役立ちガイド」が難病患者就労支援ツールとして有用との中間的結果を得た。難病患者の就労状況Web調査で難病患者の新規就労・就労継続へのニーズを把握した。就労関係機関の連携と主治医の就労への意識が重要だった。難病患者生活実態調査のまとめ:経過期間終了に伴う通院頻度低下は、ADLと病状の維持改善が影響する結果であった。病状による支援の必要性に違いがあり、個人の病状に見合う支援法再考が重要だった。Webページの作成と利用:成果物のダウンロードは、半年で約400件で、関連職種研修のe-learning化を議論した。
結論
難病医療ネットワークの充実:難病医療提供体制の整備が済んだ時点で再評価する。レスパイト制度の再構築が必要である。難病リハビリテーションは地域との連携に注力が必要である。地域支援ネットワークの充実:多職種の人材育成と保健所機能の人材が肝要となる。福祉ネットワークの充実:難病相談支援センターの業務標準化が急がれる。両立支援は今後もより多くの情報を集めて検討する必要がある。難病患者生活実態調査のまとめ:現在の医療費助成などは公平性の観点で妥当と思われる。Webページの作成と利用:今後も充実させることが肝心である。

公開日・更新日

公開日
2019-06-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-06-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811098Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
41,700,000円
(2)補助金確定額
41,700,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,909,581円
人件費・謝金 4,163,411円
旅費 4,867,049円
その他 21,459,959円
間接経費 9,300,000円
合計 41,700,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-04-23
更新日
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