指定難病の普及・啓発に向けた統合研究

文献情報

文献番号
201811097A
報告書区分
総括
研究課題名
指定難病の普及・啓発に向けた統合研究
課題番号
H30-難治等(難)-指定-003
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
和田 隆志(国立大学法人 金沢大学 医薬保健研究域医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 千葉 勉(京都大学 医学研究科)
  • 古澤 嘉彦(国立精神・神経医療研究センター病院 神経内科)
  • 森 臨太郎(国立成育医療研究センター 政策科学研究部)
  • 掛江 直子(国立成育医療研究センター 生命倫理研究室)
  • 秋丸 裕司(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 難治性疾患研究開発・支援センター)
  • 井田 博幸(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 楠 進(近畿大学 医学部)
  • 宮坂 信之(東京医科歯科大学 医学部)
  • 山科 章(東京医科大学)
  • 大木 隆生(東京慈恵会医科大学 医学部外科学)
  • 佐々木 秀直(北海道大学 医学研究院)
  • 照井 正(日本大学 医学部皮膚科学科系皮膚科学分野)
  • 原 章規(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 山野 嘉久(聖マリアンナ医科大学 医学研究科大学院先端医療開発学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者降板  森臨太郎(平成30年11月25日まで) 研究分担者追加  山野嘉久(平成31年1月7日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
難病法に基づき、指定難病患者への医療費助成や、調査及び研究の推進、療養生活環境整備事業等が実施されている。指定難病は、現在331疾病にまで増加した。しかし、指定難病の申請率が想定を下回っている等、必ずしも普及・啓発が十分とはいえない現状がある。また、指定難病の選定の公平性および疾患群間の診断基準や重症度分類の整合性や公平性が担保されていないこと、難病患者のデータベース(DB)が研究へ十分に利活用されていないこと等が問題点として指摘されている。本研究班では、①最適な普及・啓発の推進、②公平性を担保した施策の継続、③効果的なDBの研究応用のための方策を討議することを目的とした。
研究方法
(普及・啓発分科会)
電子カルテシステムおよび医事会計システムの改良による普及・啓発を検討した。また、このシステム改良の際の課題となる「指定難病告示病名とMEDIS病名の非対応」について検討した。その他、患者申出制度や臨床調査個人票の利用方法について普及・啓発を行うためのパンフレットの作成を検討した。
(均霑化分科会)
現在の重症度分類の疾患群間の整合性、公平性について評価を行った。重症度分類の整合性、公平性を検討するにあたり、全指定難病に対して適切な疾患群への分類、整理を行った。その後、重症度の判断基準について各疾患群でそれぞれ検討を行った。
(DB分科会)
難治性疾患政策研究事業で支援されている研究班に対し、指定難病DBに関するニーズ等についてアンケート調査を行い分析した。分析より抽出した課題を検討するために、HTLV-1関連脊髄症(HAM)とウェルナー症候群の2疾患を対象としたfeasibility studyを検討した。
結果と考察
(普及・啓発分科会)
医師、患者、医療事務の3者を対象に普及・啓発を行うシステム改良を検討した。医師には、指定難病であることをポップアップで提示するシステムを検討した。患者および医療事務には、指定難病に該当する病名が入力された場合、指定難病に該当する可能性がある旨の通知が手渡されるシステムを検討した。これらの検討に基づき仕様書を作成し、作動性の確認を実施した。システムの稼働に伴い、3者の指定難病に対する普及・啓発が進み、申請率の向上を始めとした指定難病制度の普及・啓発に繋がることを期待する。
指定難病告示病名とMEDIS病名の非対応に関しては、非対応の告示病名のリストを作成し、MEDISに登録されていない病名の登録依頼を行った。その他、今後開始が予定されている患者申出制度や臨床調査個人票の利用方法について普及・啓発を行うためのパンフレットの作成を行った。
(均霑化分科会)
全指定難病に対して適切な疾患群への分類、整理を検討した。その結果、331疾患を15疾患群に分類し、新たな疾患群を作成した。その後、各疾患群の重症度分類の整理と公平化の試みとして、重症度分類を考える際の基本原則を構築した。これに基づき、各政策研究班等と連携し、重症度分類を整理しモデルを作成した。今回の重症度分類の考え方が取り入れられることで、疾患群間の公平性が担保され、助成の公平性の維持に繋がると考える。
(DB分科会)
難治性疾患政策研究事業で支援されている研究班に対し、指定難病DBに関するニーズ等についてアンケート調査を行った。今後の課題として、a)悉皆性の担保、b)経年データへの対応、c)名寄せについて、d)信頼性の確保、e)データ項目についてが抽出された。この結果をもとに、HAMとウェルナー症候群の2疾患を対象としたfeasibility studyを実施した。HAMについては、HAMねっとに登録されている患者502名中183名から書面同意を得た。同意を得た患者の指定難病DBに登録されている臨床調査個人票のデータを、個人に直結する情報を除外した上で、HAMねっとに登録されている当該患者のデータとあわせて解析した。ウェルナー症候群については、2019年度に同意取得およびデータ解析を行う方針とした。このfeasibility studyは、同一患者における臨床調査個人票データと研究レジストリデータを突合し比較検討する初の試みである。臨床調査個人票データの信頼性等を検討する上で、極めて重要な有用な情報を得ることができると考える。今後臨床調査個人票のデータ項目について検討するうえで重要な基本資料になることを期待する。
結論
本研究班では、現在の指定難病制度の課題として考えられる①普及・啓発、②重症度分類の整合性・公平性、③指定難病DBのあり方と研究への利活用について検討を行っている。本研究班の研究成果が活用されることで、指定難病の普及・啓発の促進、公平な制度の担保、DBの研究利用の促進に繋がることを期待する。延いては、患者の福音に繋がることを期待する。

公開日・更新日

公開日
2019-06-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-06-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811097Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
20,800,000円
(2)補助金確定額
20,800,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,454,878円
人件費・謝金 2,209,972円
旅費 2,024,300円
その他 9,310,850円
間接経費 4,800,000円
合計 20,800,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-04-23
更新日
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