指定難病患者データベース、小児慢性特定疾病児童等データベースと他の行政データベースとの連携についての研究

文献情報

文献番号
201811091A
報告書区分
総括
研究課題名
指定難病患者データベース、小児慢性特定疾病児童等データベースと他の行政データベースとの連携についての研究
課題番号
H30-難治等(難)-一般-019
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
野田 龍也(公立大学法人 奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 久保 慎一郎(公立大学法人奈良県立医科大学・ 医学部附属病院・技師)
  • 和田 隆志(国立大学法人 金沢大学・ 医薬保健研究域医学系・教授)
  • 原 章規(国立大学法人 金沢大学・ 医薬保健研究域医学系・准教授)
  • 古澤 嘉彦(国立精神・神経医療研究センター病院・ 脳神経内科・医師)
  • 盛一 享徳(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター・ 小児慢性特定疾病情報室・室長)
  • 秋丸 裕司(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所・ 難治性疾患研究開発・支援センター  難治性疾患治療開発・支援室・ 研究調整専門員)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の保健医療分野のデータベース(DB)は、政府主導でDB間の連携等が推進されている。国が有する各種DBの中でも、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)は我が国の保険診療の悉皆調査であり、世界最大級のヘルスデータである。本研究の目的は、難病施策への反映を念頭に、NDBや介護DBと難病DB、小慢DBとの連携及び連結に関する利点や課題を技術的、法的、倫理的側面から整理し、DB間の連携及び連結に必要な解決策を具体的に提示することである。
研究方法
平成30年度は、個々のデータベースの抱える現状と課題を整理し、データベース間の連携及び連結に関する課題を整理した。NDBと難病・小児慢性疾患のデータベースの連携等を検討するにあたって、特定の疾患(多発性硬化症と潰瘍性大腸炎)を選定し、NDBを用いたモデル集計に着手した。課題整理では、データベースの連携と連結に関する全体階層図の作成や、NDBと難病・小慢DBとの連携・結合の課題の検討と整理、難病DB及び小慢DBの課題整理などを行った。NDBを用いたモデル集計では、対象疾患として多発性硬化症と潰瘍性大腸炎を選定し、NDBによる集計方法の設計に着手した。
下記の研究を実施した:

1.DB連携と結合に関する課題及び利点の検討と包括的な全体階層図の作成
2.NDBと難病・小慢DBとの連携・結合の課題の検討と整理
3.難病DBの現状についての整理
4.小慢DBの現状についての整理
5.薬剤マスターに関する課題の検討
6.難病法見直しに関連する分析:NDBを用いた個別の難病(多発性硬化症と潰瘍性大腸炎)の患者集計の設計着手
結果と考察
DBの連携と結合を俯瞰する資料として、データベースの連携と連結に関する全体階層図を作成した。
NDBと難病・小慢DBとの連携・結合の課題の検討と整理では、NDBと指定難病の連携における病名照合の問題点、告示指定難病名とMEDIS標準マスターの関係性、ICD10コードを使用して集計できる病名の整理を行うとともに、指定難病病名とICD10コードの照合表(難病マスター)を作成した。
難病DBの現状についての整理では、難病DBにおいて公費の番号は受給者番号しか書かれず、認定されていない場合は登録者番号を発行しているが、今の臨個票には登録者番号を書く欄がないことや、難病の臨個票では薬剤の記載欄が十分ではなく、「その他の薬剤」に記載された複数の薬剤を全て取り込めていないといった課題が整理された。
小慢DBの現状についての整理では、出生届に記載される5変数(生年月日・性別・出生体重・出生週数・出生地)のキーにより名寄せする仕組みを導入していることや、小慢の病気を持っている子どもが何人いるかがわからず、推定値しかないため、NDBで患者数の概略値が出るだけでも意味があることなどが指摘された。
薬剤マスターに関する課題の検討では、同じ薬剤であっても剤型や販売企業が変わると薬剤コードが変わるなどの問題点があり、ある病気についてどのような薬が使われているか、該当するコードの経年的変化を含めた一覧表(完全版の薬剤マスター)が重要であることが整理された。
難病法見直しに関連する分析では、いわゆる軽症高額患者の患者数の把握や軽症者の症状が急性増悪した際の医療費の急増対応などが課題となっており、データベース医学を活用した施策形成の一環として、多発性硬化症と潰瘍性大腸炎を例に、NDBで患者を把握するための疾患定義の構築に着手した。
結論
本年度の研究により、個々のデータベースの現状と課題が整理された。世界最大級のデータベースと、難病・小児慢性疾患のデータベースの連携にあたって、特定の疾患(多発性硬化症と潰瘍性大腸炎)を選定し、フィージビリティスタディに着手した。
難病法は施行後5年以内の見直しが規定されている。今後は、令和元年10月を目途に研究テーマに関する総合的なビジョンを策定し、年度末までにデータベース連携の利点・課題の整理と解決策の検討を実際の個票等を用いて包括的に行うこととしている。

公開日・更新日

公開日
2019-09-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811091Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
8,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,866,153円
人件費・謝金 23,400円
旅費 215,580円
その他 3,894,867円
間接経費 0円
合計 8,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-03-15
更新日
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