難病領域における検体検査の精度管理体制の整備に資する研究

文献情報

文献番号
201811090A
報告書区分
総括
研究課題名
難病領域における検体検査の精度管理体制の整備に資する研究
課題番号
H30-難治等(難)-一般-018
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
難波 栄二(国立大学法人鳥取大学 研究推進機構)
研究分担者(所属機関)
  • 小原 收(かずさDNA研究所 ゲノム事業推進部)
  • 堤 正好(株式会社エスアールエル マーケティング部疾患領域課)
  • 宮地 勇人(東海大学 医学部基盤診療学系臨床検査学)
  • 中山 智祥(日本大学 医学部病態病理学系臨床検査医学分野)
  • 古庄 知己(信州大学 学術研究院医学系(医学部附属病院/遺伝子医療研究センター))
  • 要 匡(国立成育医療研究センター ゲノム医療研究部)
  • 原田 直樹(京都大学 iPS細胞研究所)
  • 足立 香織(国立大学法人鳥取大学 研究推進機構)
  • 佐藤 万仁(国立成育医療研究センター ゲノム医療研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
欧米諸国では3,000種類以上の検査が提供されているが、日本では臨床検査として対応可能な疾患はわずか100程度であり、ほとんどの検査が研究として実施されている。一方、ゲノム医療の普及のため、遺伝子関連検査(以下、検査)を含む検体検査の精度管理の新たな基準が検討され、2019年12月から施行された。今回、医療機関での基準が新たに設けられ、それをきっかけとして研究室での対応が大きな課題として浮上した。そのために、研究で実施する検査と診療の用に供する検査を切り分け、診療の用に供する検査体制を充実させることが大きな課題となった。本研究は、この課題を解決するとともに、国際化対応を図り、保険診療での検査を拡大し、難病領域の診療に貢献することを目的とする。本研究により国際レベルの検査実施体制が構築され、国民により先進的で安全な医療の提供が可能となることが期待される。
研究方法
研究代表者、分担者等でグランドデザインを検討し、工程表を作成し、研究打合わせ会議ならびに、厚労省ならびに国立保健医療科学院の担当者なども加えた班会議にて議論しながら研究を推進した。
結果と考察
ホームページを開設し、問い合わせ窓口を設け、難病班からの7件の問い合わせに対応した。シンポジウム(参加者101名)を開催し、検体検査の精度管理、遺伝学的検査の提供体制の情報提供を行った。学会での講演などでも情報を提供した。難病領域の診断機能を担っている代表的な研究機関の訪問調査を行った。この結果、次世代シークエンサー(NGS)を使用したパネルシークエンス検査が集約され臨床応用が進められていること、また研究として実施した網羅的なゲノム解析結果を診療情報とする具体的手順が共通認識化されつつあり、研究の結果を適切に利用する方向性などが確認できた。「希少・未診断疾患イニシアチブ(IRUD)」および「オミックス解析を通じて希少難治性疾患の医療に貢献する基盤研究(オミックス解析拠点)」などの国の大型プロジェクトでは、研究として明確な記載等が行われるように周知した。さらに、オンラインアンケートの準備を行った。かずさDNA研究所では、新たに20症候群の遺伝学的検査体制を構築し受け入れを開始した。さらに、網羅的パネル遺伝子診断における精度管理のための標準品について検討した。信州大学医学部附属病院では、NGSを活用した遺伝学的検査(クリニカルシークエンス)体制を整備し、保険収載されている全ての遺伝学的検査等の体制を構築し、全国に展開していく方向性が築かれた。これらの充実により、鳥取大学医学部附属病院では、保険診療の対象76疾患の検査すべてを電子カルテで依頼することが可能となった。欧米の情報として、Genomics Englandの関係者とRos J Hastings (Oxford University Hospital NHS Trust/CEQAS director)氏から英国の情報を、Andrea Wutte氏(Head of BBMRI-ERIC)からEUでの情報の一部を得た。さらに、京都大学小杉研にてEUと米国の情報を得た。外部精度管理評価について、日本臨床検査標準協議会 遺伝子関連検査標準化専門委員会や日本臨床検査自動化学会遺伝子・プロテオミクス技術委員会委員などで検討した。また、日本衛生検査所協会・遺伝子関連検査受託倫理審査委員会において「NGSを用いた遺伝子解析において求められる分析的妥当性に関して考慮すべき事項」を追加した。今後は、登録衛生検査所や大学医学部附属病院などに加え、国立成育医療研究センターや国立精神・神経医療センターなどの検討も進め、遺伝学的検査体制の充実を図る。また、分子遺伝学的検査以外の質量分析、酵素活性等の特殊検査の対応も進める。
結論
新たな検体検査の精度管理体制に基づく難病領域の検査実施体制を整備することが喫緊の課題であり、このための対応を開始した。本年度はホームページを作成し、問い合わせ窓口をつくり、シンポジウムを開催した。研究で実施する検査の整理も行った。かずさDNA研究所、信州大学医学部などの検査実施体制を充実させ、鳥取大学医学部附属病院では保険診療で実施できる76疾患すべての遺伝学的検査が委託可能となった。外部精度管理評価等の精度管理の検討も行った。今後はアンケート調査も実施し、欧米の情報を収集し欧米に劣らない遺伝学的検査体制を構築し、保険診療で実施可能な遺伝学的検査を充実させてゆく。

公開日・更新日

公開日
2019-09-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-09-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811090Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,400,000円
(2)補助金確定額
10,328,000円
差引額 [(1)-(2)]
72,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,726,300円
人件費・謝金 0円
旅費 2,366,938円
その他 2,835,593円
間接経費 2,400,000円
合計 10,328,831円

備考

備考
補助金確定額との差額831円は自己資金


公開日・更新日

公開日
2020-03-16
更新日
-