文献情報
文献番号
201811077A
報告書区分
総括
研究課題名
筋ジストロフィーの標準的医療普及のための調査研究
課題番号
H30-難治等(難)-一般-005
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
松村 剛(独立行政法人国立病院機構 刀根山病院 神経内科)
研究分担者(所属機関)
- 青木 正志(東北大学大学院 神経内科)
- 石垣 景子(東京女子医科大学 小児科)
- 石崎 雅俊(国立病院機構再春荘病院 神経内科)
- 尾方 克久(国立病院機構東埼玉病院 臨床研究部)
- 久留 聡(国立病院機構鈴鹿病院 神経内科)
- 小牧 宏文(国立精神・神経医療研究センター 小児神経科)
- 砂田 芳秀(川崎医科大学 神経内科)
- 高田 博仁(国立病院機構青森病院 神経内科)
- 高橋 正紀(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻 機能診断科学講座)
- 谷口 雅彦(聖マリア病院 外科)
- 中島 孝(国立病院機構新潟病院 神経内科)
- 中村 昭則(国立病院機構まつもと医療センター 神経内科)
- 西野 一三(国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第一部)
- 花山 耕三(川崎医科大学 リハビリテーション科)
- 橋本 大哉(国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター 統計解析室)
- 松浦 徹(自治医科大学 神経内科)
- 米本 直裕(京都大学大学院 社会保健医学系専攻 医療統計学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
15,700,000円
研究者交替、所属機関変更
米本直裕(2018年6月まで)が橋本大哉(2018年7月から)に交替。
谷口雅彦が2018年12月から参加
研究報告書(概要版)
研究目的
専門医療機関と地域の諸機関が連携し、筋ジストロフィーの標準的医療を地域の実情に応じて実践していくための調査研究・アウトリーチ活動を行う。
研究方法
①ガイドライン作成支援・連携のための診療実態調査
筋強直性ジストロフィーは、現在神日本経学会で診療ガイドラインを作成中であるが、現在の診療実態を明らかにする目的で患者と専門医を対象としたアンケート調査を実施。「デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドライン2014」の有効性評価と改訂のため、患者、専門医を対象としたアンケート調査を実施。遺伝専門医対象アンケートを準備中。
②病型診断を進めるための手引き作成
鑑別診断が困難な肢帯型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー(2型)の診断手順を作成した。
③介護者健康問題調査
在宅療養の維持において介護者の健康問題は重要な課題である。ジストロフィノパチーでは女性変異保有者も加齢と共に心筋・骨格筋障害が見られることが示されている。介護者調査で、介護者の抱える健康問題と変異保有女性の発症リスクについて明らかにする。
④ロボットスーツHALの筋疾患における長期使用効果データ収集
2016年に保険適応となったロボットスーツHALの筋疾患における長期有効性や安全性評価を行う。
⑤患者登録効率的運用とデータ活用
患者登録と臨床研究ネットワークの効率的運用を目指し、事務局の統合、登録システムの再構築を行い、未登録病型の登録も稼働させる。患者登録を推進、データ活用を促す。
⑥医療支援・アウトリーチ活動
ホームページによる医療者向け情報提供の開始、医療支援の問い合わせ窓口設置により医療支援を充実する。関連職種向けセミナー、リハビリテーションセミナー、筋ジストロフィーのCNS障害研究会、市民公開講座を行い、筋ジストロフィーに対する知識・技術普及を図る。
筋強直性ジストロフィーは、現在神日本経学会で診療ガイドラインを作成中であるが、現在の診療実態を明らかにする目的で患者と専門医を対象としたアンケート調査を実施。「デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドライン2014」の有効性評価と改訂のため、患者、専門医を対象としたアンケート調査を実施。遺伝専門医対象アンケートを準備中。
②病型診断を進めるための手引き作成
鑑別診断が困難な肢帯型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー(2型)の診断手順を作成した。
③介護者健康問題調査
在宅療養の維持において介護者の健康問題は重要な課題である。ジストロフィノパチーでは女性変異保有者も加齢と共に心筋・骨格筋障害が見られることが示されている。介護者調査で、介護者の抱える健康問題と変異保有女性の発症リスクについて明らかにする。
④ロボットスーツHALの筋疾患における長期使用効果データ収集
2016年に保険適応となったロボットスーツHALの筋疾患における長期有効性や安全性評価を行う。
⑤患者登録効率的運用とデータ活用
患者登録と臨床研究ネットワークの効率的運用を目指し、事務局の統合、登録システムの再構築を行い、未登録病型の登録も稼働させる。患者登録を推進、データ活用を促す。
⑥医療支援・アウトリーチ活動
ホームページによる医療者向け情報提供の開始、医療支援の問い合わせ窓口設置により医療支援を充実する。関連職種向けセミナー、リハビリテーションセミナー、筋ジストロフィーのCNS障害研究会、市民公開講座を行い、筋ジストロフィーに対する知識・技術普及を図る。
結果と考察
①ガイドライン作成支援・連携のための診療実態調査
筋強直性ジストロフィー診療実態調査では、専門医対象アンケートでは診療症例数や所属施設によって合併症への関心や定期検査の実施頻度、呼吸器導入への困難さの感じ方に違いがあること、不整脈や嚥下障害への関心は高いものの、ホルター心電図や嚥下機能検査の定期実施率は低いことなどが明らかとなった。患者対象アンケートでは、社会資源の利用、家族環境、定期受診の実態とその問題、治療とその実態、周術期・周産期異常についてのデータが得られた。これらの結果は班会議や学会での報告に加えガイドライン編集委員会に報告した。論文化作業中である。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドライン発刊後調査では、2018年度に患者対象、専門医対象調査を実施し、現在データ解析中である。
②病型診断を進めるための手引き作成
ワーキンググループ案を研究班内で査読修正し、日本神経学会と日本小児神経学会に承認申請中である。承認が得られ次第ホームページ等を通じて公開する。
③介護者健康管理調査
遺伝性疾患のため、調査には心理的負担についての配慮が重要となる。このためプロトコルや手順の修正を重ね、2018年11月から調査を開始した(調査期間1年を予定)。
④ロボットスーツHALの筋疾患における長期使用効果データ収集
神経変性疾患班(中島班)と協力し、ワーキンググループを構築、プロトコルやEDCの作成を行った。沖縄型については聖マリア病院と新潟病院にて調査を行った。
⑤患者登録運用
2019年4月末時点でジストロフィノパチー1843名、筋強直性ジストロフィー893名の患者登録を得て、治験・臨床研究に活用している。患者登録と臨床研究ネットワーク事務局を統合し2019年4月から統合事務局の活動を開始した。登録システムの再構築・階層化により効率的なシステムを構築し、顔面肩甲上腕型、眼咽頭型の登録準備を開始した。
⑥医療支援・アウトリーチ活動
医療相談窓口を設置、2018年4月に研究班ホームページに医療関係者向けサブドメインを開設した。公開講座は肢帯型筋ジストロフィーを主題としたセミナーを初めて開催。さらにAMED高橋班・櫻井班と共同の市民公開講座を実施した。リハビリテーションセミナーはベーシックコース1回、アドバンスコース(社会参加支援)1回、関連職種セミナー1回(岡山)、筋ジストロフィーのCNS障害研究会を開催した。こうした活動を継続的に行うことで、専門医療機関と地域諸機関との連携による地域支援システム構築を支援する。
筋強直性ジストロフィー診療実態調査では、専門医対象アンケートでは診療症例数や所属施設によって合併症への関心や定期検査の実施頻度、呼吸器導入への困難さの感じ方に違いがあること、不整脈や嚥下障害への関心は高いものの、ホルター心電図や嚥下機能検査の定期実施率は低いことなどが明らかとなった。患者対象アンケートでは、社会資源の利用、家族環境、定期受診の実態とその問題、治療とその実態、周術期・周産期異常についてのデータが得られた。これらの結果は班会議や学会での報告に加えガイドライン編集委員会に報告した。論文化作業中である。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドライン発刊後調査では、2018年度に患者対象、専門医対象調査を実施し、現在データ解析中である。
②病型診断を進めるための手引き作成
ワーキンググループ案を研究班内で査読修正し、日本神経学会と日本小児神経学会に承認申請中である。承認が得られ次第ホームページ等を通じて公開する。
③介護者健康管理調査
遺伝性疾患のため、調査には心理的負担についての配慮が重要となる。このためプロトコルや手順の修正を重ね、2018年11月から調査を開始した(調査期間1年を予定)。
④ロボットスーツHALの筋疾患における長期使用効果データ収集
神経変性疾患班(中島班)と協力し、ワーキンググループを構築、プロトコルやEDCの作成を行った。沖縄型については聖マリア病院と新潟病院にて調査を行った。
⑤患者登録運用
2019年4月末時点でジストロフィノパチー1843名、筋強直性ジストロフィー893名の患者登録を得て、治験・臨床研究に活用している。患者登録と臨床研究ネットワーク事務局を統合し2019年4月から統合事務局の活動を開始した。登録システムの再構築・階層化により効率的なシステムを構築し、顔面肩甲上腕型、眼咽頭型の登録準備を開始した。
⑥医療支援・アウトリーチ活動
医療相談窓口を設置、2018年4月に研究班ホームページに医療関係者向けサブドメインを開設した。公開講座は肢帯型筋ジストロフィーを主題としたセミナーを初めて開催。さらにAMED高橋班・櫻井班と共同の市民公開講座を実施した。リハビリテーションセミナーはベーシックコース1回、アドバンスコース(社会参加支援)1回、関連職種セミナー1回(岡山)、筋ジストロフィーのCNS障害研究会を開催した。こうした活動を継続的に行うことで、専門医療機関と地域諸機関との連携による地域支援システム構築を支援する。
結論
本研究により、地域を単位とした筋ジストロフィーの標準的医療提供体制の構築が促進されることが期待される。
公開日・更新日
公開日
2019-09-02
更新日
-