原発性高脂血症に関する調査研究

文献情報

文献番号
201811075A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性高脂血症に関する調査研究
課題番号
H30-難治等(難)-一般-003
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
斯波 真理子(独立行政法人国立循環器病研究センター 病態代謝部)
研究分担者(所属機関)
  • 石橋 俊(自治医科大学・医学部 内科学講座内分泌代謝学部門)
  • 横山 信治(中部大学・生物機能科学研究所)
  • 島野 仁(筑波大学・医学医療系 内分泌代謝・糖尿病内科)
  • 横手 幸太郎(千葉大学・大学院医学研究院 細胞治療内科学講座)
  • 武城 英明(東邦大学医療センター佐倉病院・臨床検査部)
  • 山下 静也(大阪大学・大学院医学系研究科 総合地域医療学寄付講座・循環器内科学)
  • 塚本 和久(帝京大学・医学部内科学講座)
  • 林 登志雄(名古屋大学・大学院医学系研究科 看護学専攻健康発達看護学講座)
  • 池脇 克則(防衛医科大学校・抗加齢血管内科)
  • 後藤田 貴也(杏林大学・医学研究科 生化学)
  • 土橋 一重(昭和大学・医学部小児科学講座)
  • 宮本 恵宏(国立循環器病研究センター・ゲノム医療支援部)
  • 竹上 未紗(国立循環器病研究センター・予防医学 疫学情報部)
  • 関島 良樹(信州大学・医学部内科学第三)
  • 石垣 泰(岩手医科大学・糖尿病・代謝内科)
  • 岡崎 啓明(東京大学・医学部附属病院)
  • 野原 淳(金沢大学・保健管理センター)
  • 小山 信吾(山形大学・医学部第三内科)
  • 稲垣 恭子(日本医科大学・医学部糖尿病・内分泌代謝内科)
  • 尾野 亘(京都大学・内科学講座 循環器内科学分野)
  • 小関 正博(大阪大学・大学院医学系研究科 循環器内科学講座)
  • 代田 浩之(順天堂大学・大学院医学研究科)
  • 高橋 学(自治医科大学・医学部 内科学講座 内分泌代謝学部門)
  • 中村 公俊(熊本大学・大学院生命科学研究部小児科学分野)
  • 三井田 孝(順天堂大学・大学院医学研究科 臨床病態検査医学)
  • 川尻 剛照(金沢大学・大学院 医薬保健研究総合研究科 循環器病態内科学)
  • 小倉 正恒(国立循環器病研究センター・病態代謝部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
指定難病である家族性高コレステロール血症(FH)(ホモ接合体)、LCAT欠損症、シトステロール血症、タンジール病、原発性高カイロミクロン血症、脳腱黄色腫症、無βリポタンパク血症の7疾患は著明な脂質異常症や黄色腫の出現を契機に発見されることが多いが、専門家が少なく、正確な診断は困難である。そのため速やかな難病認定や治療の開始もできず、合併症の発症や生命予後の悪化につながっている。したがって難治性脂質異常症に対する診療体制の構築は重要課題である。また診療の実際や予後の現状、危険因子などについて把握するとともに、その後前向きに各種イベントの発生および死亡を追跡することにより、難病患者におけるイベント発生率・死亡率を明らかにし、予後改善への貢献、診療ガイドラインの改訂につなげるために、前期班(班長:石橋俊)から継承したPROLIPID研究(疫学研究)のレジストリシステムを7疾患すべてに拡充する。各疾患について、最新の文献や診療実態と照らし合わせて、診断基準や臨床調査個人票の改善案を策定し、次期の全面改定時期に備えて学会承認を得る。特にFHについては現行の診断基準では基準を満たさない患者が相当数存在することやスクリーニングの在り方について科学的なデータが必要である。原発性脂質異常症のうち成人指定難病と小児慢性特定疾病の該当疾患と分類法が大きく異なっているため、移行期に患者が不利益を被らないように実態調査が必要である。これらを各疾患の担当責任者を中心に学会横断的オールジャパン体制で行う。
研究方法
診療体制の構築については7つの指定難病それぞれに対する疾患担当責任者を決定し、その疾患担当責任者が中心となって日本語版のシステマティックレビュー(以下、日本語総説)を執筆し、他の班員が査読を実施した。また日本語総説などを全国の非専門医にも読んでいただくために、初めて本研究班独自のホームページを作成し、難病情報センターとリンクさせるようにした。疫学研究については、本年度はPROLIPID研究へのシトステロール血症と脳腱黄色腫症についてのレジストリ項目の決定と登録システムの構築、FHの治療法の進歩に合わせた入力項目の改変を行った。診断基準については疾患担当責任者により改善案が作成された。FHの現行診断基準の蓋然性について、国立循環器病研究センターの15歳以上の遺伝子診断されたFH患者238名を対象に、各診断基準項目に合致しない症例の割合を算出した。また東京大学の入学時健診のコホートを利用した研究で高LDL-C血症を呈した患者の中からFH診断につなげる研究が実施された。香川県では小児生活習慣病予防健診(10歳児童が対象、毎年8,000名が受診)を実施し、LDL≧140 mg/dLを示した児童のうち24名に遺伝子検査を実施した。原発性脂質異常症のうち成人指定難病と小児慢性特定疾病の該当疾患と分類法が大きく異なっているため、移行期に患者が不利益を被らないように班内でワーキンググループを立ち上げ、実態調査を行うこととした。「難治性家族性高コレステロール血症患者会」と「高コレステロール血症患者の集い」を共催し、アンケート調査により難病患者のニーズを明確にする。
結果と考察
7疾患すべての日本語システマティックレビューが疾患担当責任者らにより執筆され、公開された。疫学研究についてはFH患者及び原発性高カイロミクロン血症患者の現行レジストリ(PROLIPID)の登録を進め、本年度はシトステロール血症と脳腱黄色腫症についてレジストリ項目を決め、登録システムを構築した。診断基準については疾患担当責任者が中心となり、改善案が作成された。FHの現行診断基準の蓋然性について、国立循環器病研究センターの遺伝子診断されたFH症例を検討し、現行の診断基準では相当数のFHを診断できないことが示された。また東京大学および香川県の検討結果から、若年および小児の高LDL-C血症患者(児)ではFHが高頻度で存在することが分かり、健診スクリーニングの有用性が示唆された。2018年9月24日に国立循環器病研究センターにおいて患者会と共催した「高コレステロール血症患者の集い」では、患者と医療従事者のグループセッション等を実施し、アンケート結果では新しい治療法の知識や食事療法の資料の希望があった。移行期医療については原発性脂質異常症のうち成人指定難病と小児慢性特定疾病の該当疾患と分類法が大きく異なっていることが班内で共有され、実態調査のためのメンバーを決定した。
結論
本研究計画の遂行による診療体制の構築や疾患啓発により、難病患者診断率および受給者証取得者数の向上に寄与し、難病法の施策に直接的に反映する。

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811075Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,000,000円
(2)補助金確定額
12,998,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,737,297円
人件費・謝金 2,255,557円
旅費 2,040,483円
その他 2,964,938円
間接経費 3,000,000円
合計 12,998,275円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-04-03
更新日
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