文献情報
文献番号
201811067A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性および若年性の視覚聴覚二重障害に対する一体的診療体制に関する研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-056
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
松永 達雄(独立行政法人国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 聴覚・平衡感覚研究部)
研究分担者(所属機関)
- 角田 和繁(独立行政法人国立病院機構東京医療センター・臨床研究センター 視覚研究部)
- 藤波 芳(独立行政法人国立病院機構東京医療センター・臨床研究センター視覚研究部 視覚生理学研究室)
- 加我 君孝(独立行政法人国立病院機構東京医療センター・臨床研究センター)
- 山澤 一樹(独立行政法人国立病院機構東京医療センター・臨床遺伝センター/小児科・医員)
- 榎本 千江子(独立行政法人国立病院機構東京医療センター・臨床研究センター)
- 前田 晃秀(独立行政法人国立病院機構東京医療センター・臨床研究センター 聴覚・平衡覚研究部 聴覚障害研究室)
- 廣田 栄子(国立大学法人筑波大学・人間系)
- 守本 倫子(国立研究開発法人国立成育医療研究センター・感覚器・形態外科部 耳鼻咽喉科)
- 仁科 幸子(国立研究開発法人国立成育医療研究センター・感覚器・形態外科部 眼科 視覚科学研究室)
- 久保田 雅也(国立研究開発法人国立成育医療研究センター・神経内科)
- 仲野 敦子(千葉県こども病院・医療局 診療部)
- 有本 友季子(千葉県こども病院・医療局 診療部 耳鼻咽喉科)
- 齋藤 麻美子(千葉県こども病院・医療局 診療部 眼科)
- 高木 明(地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立総合病院)
- 後藤 美和子(地方独立行政法人福岡市立病院機構福岡市立こども病院・眼科)
- 土橋 奈々(国立大学法人九州大学病院・耳鼻咽喉・頭頸部外科)
- 高野 賢一(北海道公立大学法人札幌医科大学・耳鼻咽喉科)
- 森 秀夫(地方独立行政法人大阪市民病院機構大阪市立総合医療センター)
- 星 祐子(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所・インクルーシブ教育システム推進センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
8,220,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の対象は、先天性および若年性(40歳未満で発症)の視覚聴覚二重障害(盲ろう)の原因となる難病で、該当する疾病が35以上と多様であり、患者数は全国に約2600人と推計される。本難病では、コミュニケーション、情報の入手、移動が極めて困難となる。本難病患者に対する早期診断、早期介入で、教育と社会参加を促進する必要性は高い。本研究では、本難病を一体的に診療する体制の構築を目的とする。
研究方法
a.患者の実態調査
疾患別の患者数調査(一次調査)を郵送によるアンケート調査で行い、一次調査で患者ありと回答した施設に対して、個別の患者の医療情報についてのアンケート調査(二次調査)を郵送で行う。
b.教育、福祉、生活の実態把握
患者の福祉・教育・生活の全国調査を行い、調査結果は班会議や学会等で参加者・関係者に情報共有し、診療マニュアルにも反映する。
c.診療マニュアル策定
本医療の専門家の経験、学識、本研究で集積される情報に基づいて、本難病の診療マニュアルを策定する。
d.医療情報公開
本難病の医療情報を、患者、医療者、一般向けに提供するWebサイトを作成し、公開する。
e.データベースへの協力
臨床ゲノム情報統合データベースへ登録する。また、難病プラットフォームで視覚聴覚二重障害の難病レジストリを開始し、個人情報、臨床情報、ゲノム情報を登録する。
f.一体的診療体制のモデル確立と検証
東京医療センターで一体的診療を開始し、その後に各拠点施設で眼科・神経科の医師の参加を追加して全国への普及を促進する。
g.患者会・学会等との連携
患者会等からの診療マニュアル執筆や資料収集への協力、班会議における問題点の共有や研究への助言・協力提案、学会等からの患者登録、全国盲ろう者協会による患者の診療アクセスと他施設との連携の支援などを進める。
h.遺伝子診断の実施体制
29-30年度に本研究対象の主たる難病の遺伝子検査を衛生検査所で実施できる体制を整備する。その後、確実性の検証を進める。
i.公開講座実施
30年度、31年度に各1回ずつ開催する。
j.国際研究体制構築
海外の先進的医療施設との研究協力体制を構築し、海外の現地調査を行い、患者の診療に陪席して実際の技術を習得する。
疾患別の患者数調査(一次調査)を郵送によるアンケート調査で行い、一次調査で患者ありと回答した施設に対して、個別の患者の医療情報についてのアンケート調査(二次調査)を郵送で行う。
b.教育、福祉、生活の実態把握
患者の福祉・教育・生活の全国調査を行い、調査結果は班会議や学会等で参加者・関係者に情報共有し、診療マニュアルにも反映する。
c.診療マニュアル策定
本医療の専門家の経験、学識、本研究で集積される情報に基づいて、本難病の診療マニュアルを策定する。
d.医療情報公開
本難病の医療情報を、患者、医療者、一般向けに提供するWebサイトを作成し、公開する。
e.データベースへの協力
臨床ゲノム情報統合データベースへ登録する。また、難病プラットフォームで視覚聴覚二重障害の難病レジストリを開始し、個人情報、臨床情報、ゲノム情報を登録する。
f.一体的診療体制のモデル確立と検証
東京医療センターで一体的診療を開始し、その後に各拠点施設で眼科・神経科の医師の参加を追加して全国への普及を促進する。
g.患者会・学会等との連携
患者会等からの診療マニュアル執筆や資料収集への協力、班会議における問題点の共有や研究への助言・協力提案、学会等からの患者登録、全国盲ろう者協会による患者の診療アクセスと他施設との連携の支援などを進める。
h.遺伝子診断の実施体制
29-30年度に本研究対象の主たる難病の遺伝子検査を衛生検査所で実施できる体制を整備する。その後、確実性の検証を進める。
i.公開講座実施
30年度、31年度に各1回ずつ開催する。
j.国際研究体制構築
海外の先進的医療施設との研究協力体制を構築し、海外の現地調査を行い、患者の診療に陪席して実際の技術を習得する。
結果と考察
a.患者の実態調査
一次調査では合計1038症例の病名と頻度を把握し、計76疾患が原因として認められた。わが国においても、本疾患群が非常に多様な病態で構成されていることが判明した。さらに個別の患者の医療情報についてのアンケート調査(二次調査)を郵送した。
b.教育、福祉、生活の実態把握
特別支援学校対象の盲ろう児(者)の実態調査により、教育施設別患者数、障害程度、合併症、コミュニケーション法、研修の必要性に関する情報を把握できた。
c.診療マニュアル策定
現時点までに診療マニュアルの第I章~第III章の原稿を作成した。これを用いて標準的治療の普及が可能となる。
d.医療情報公開
Webサイト(http://dbmedj.org/)を開設して、診療マニュアル第I、II章を公開した。
e.データベースへの協力
臨床ゲノム情報統合データベース(希少・難治性疾患領域)に本難病60症例を登録した。難病プラットフォームのCaseI-Cによる登録システムのベータ版を作成し、研究計画書を倫理審査委員会へ申請した。
f.一体的診療体制のモデル確立と検証
東京医療センター、国立成育医療研究センターで一体的診療体制を構築し、これまでに46例で実施した。眼科と耳鼻咽喉科の合同検討会をほぼ毎月行った。
g.患者会・学会等との連携
全国盲ろう者協会、全国盲ろう者団体連絡協議会、盲ろう児とその家族の会、関連学会などと、班会議、症例登録体制や診療アクセスと診療連携の支援体制の確立、診療マニュアルの共同執筆を行った。
h.遺伝子診断の実施体制
視覚聴覚二重障害の原因となる主たる難病に対する遺伝子検査の受託体制を構築し、検査を開始した。遺伝学的検査の実装により、未診断症例の減少と早期診断が可能となる。
i.公開講座実施
30年度公開講座を開催した。患者団体・教育・医療機関の相互理解・連携を深めることができた。
j.国際研究体制構築
米国ボストン小児病院およびマサチューセッツ眼科耳鼻科専門病院の現地調査を行い、本難病に対する先進的医療を導入した。
一次調査では合計1038症例の病名と頻度を把握し、計76疾患が原因として認められた。わが国においても、本疾患群が非常に多様な病態で構成されていることが判明した。さらに個別の患者の医療情報についてのアンケート調査(二次調査)を郵送した。
b.教育、福祉、生活の実態把握
特別支援学校対象の盲ろう児(者)の実態調査により、教育施設別患者数、障害程度、合併症、コミュニケーション法、研修の必要性に関する情報を把握できた。
c.診療マニュアル策定
現時点までに診療マニュアルの第I章~第III章の原稿を作成した。これを用いて標準的治療の普及が可能となる。
d.医療情報公開
Webサイト(http://dbmedj.org/)を開設して、診療マニュアル第I、II章を公開した。
e.データベースへの協力
臨床ゲノム情報統合データベース(希少・難治性疾患領域)に本難病60症例を登録した。難病プラットフォームのCaseI-Cによる登録システムのベータ版を作成し、研究計画書を倫理審査委員会へ申請した。
f.一体的診療体制のモデル確立と検証
東京医療センター、国立成育医療研究センターで一体的診療体制を構築し、これまでに46例で実施した。眼科と耳鼻咽喉科の合同検討会をほぼ毎月行った。
g.患者会・学会等との連携
全国盲ろう者協会、全国盲ろう者団体連絡協議会、盲ろう児とその家族の会、関連学会などと、班会議、症例登録体制や診療アクセスと診療連携の支援体制の確立、診療マニュアルの共同執筆を行った。
h.遺伝子診断の実施体制
視覚聴覚二重障害の原因となる主たる難病に対する遺伝子検査の受託体制を構築し、検査を開始した。遺伝学的検査の実装により、未診断症例の減少と早期診断が可能となる。
i.公開講座実施
30年度公開講座を開催した。患者団体・教育・医療機関の相互理解・連携を深めることができた。
j.国際研究体制構築
米国ボストン小児病院およびマサチューセッツ眼科耳鼻科専門病院の現地調査を行い、本難病に対する先進的医療を導入した。
結論
患者の実態調査、診療マニュアル、医療情報公開、データベース協力、一体的診療体制モデル検証、患者会・学会等との連携、遺伝子検査体制構築、国際研究体制構築を進めて、本難病の診療に役立つ成果を得た。
公開日・更新日
公開日
2019-09-02
更新日
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