IgG4関連疾患の診断基準並びに診療指針の確立を目指す研究

文献情報

文献番号
201811064A
報告書区分
総括
研究課題名
IgG4関連疾患の診断基準並びに診療指針の確立を目指す研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-058
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
岡崎 和一(関西医科大学 医学部内科学第三講座)
研究分担者(所属機関)
  • 川 茂幸(松本歯科大学 歯学部 )
  • 神澤 輝実(がん感染症センター都立駒込病院 消化器内科)
  • 千葉 勉(関西電力病院 病院長)
  • 正宗 淳(東北大学 医学部)
  • 妹尾 浩(京都大学 医学部)
  • 滝川 一(帝京大学 医療技術学部)
  • 岩崎 栄典(慶應義塾大学 医学部)
  • 児玉 裕三(神戸大学 医学部)
  • 井戸 章雄(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 仲瀬 裕志(札幌医科大学 医学部)
  • 高橋 裕樹(札幌医科大学 医学部)
  • 三森 経世(京都大学 医学部)
  • 住田 孝之(筑波大学 医学部)
  • 田中 良哉(産業医科大学 医学部)
  • 正木 康史(金沢医科大学 医学部)
  • 中村 誠司(九州大学 歯学研究院)
  • 後藤 浩(東京医科大学 医学部)
  • 赤水 尚史(和歌山県立医科大学 医学部)
  • 川野 充弘(金沢大学 医学部)
  • 梅原 久範(市立長浜病院 診療局)
  • 石坂 信和(大阪医科大学 医学部)
  • 松井 祥子(富山大学 保健管理センター)
  • 半田 知宏(京都大学 医学部)
  • 佐藤 康晴(岡山大学 医学部)
  • 全 陽(神戸大学 医学部)
  • 能登原 憲司(倉敷中央病院 病理診断科)
  • 石川 秀樹(京都府立医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
19,230,000円
研究者交替、所属機関変更
1)分担研究者であった東北大学下瀬川 徹教授の退職と所属変更(みやぎ県南中核病院企業団)に伴い、下瀬川教授の共同研究者である正宗 淳教授が後任教授に就任したために分担研究者が下瀬川教授から正宗教授に交替となった。 2)分担研究者児玉裕三先生が京都大学講師から神戸大学教授に転任したことに伴い、分担研究者児玉裕三教授の所属機関が変更になった。

研究報告書(概要版)

研究目的
関連8領域における分科会により各臓器疾患別診断基準・治療指針を改訂・完成させ、さらに関連学会やAMED医療開発研究班とも連携して包括的診断基準の改訂や診療ガイドラインの作成を行うとともに実態調査を目的としたレジストリ制度を構築する。特に本疾患の標準的治療法は未だ確立されていないことから、その確立のために、指定難病の患者認定・重症度判定のための診断基準、重症度分類案の改善をめざす。以上により、難病行政と患者QOLの向上に貢献する。
研究方法
関連8領域における分科会により各臓器疾患別診断基準・治療指針を改訂・完成させ、さらに関連学会やAMED医療開発研究班とも連携して包括的診断基準の改訂や診療ガイドラインの作成を行うとともに実態調査を目的としたレジストリ制度を構築する。特に本疾患の標準的治療法は未だ確立されていないことから、その確立のために、指定難病の患者認定・重症度判定のための診断基準、重症度分類案の改善をめざす。
結果と考察
1.8領域の分科会活動と1回の班会議を経て、2年目における各領域における研究の進捗状況は概ね予定通り達成された。包括的疾患名のIgG4関連疾患に関する包括診断基準・ガイドラインは各臓器疾患の診断基準作成と改訂に従って改訂・作成する予定であり、それぞれワーキンググループを組織して、議論した。全国調査は疫学中村班と合同で自己免疫性膵炎、IgG4関連硬化性胆管炎、ミクリッツ病の全国一次調査した。
2.自己免疫性膵炎:診断基準改定案はH30年7月の日本膵臓学会大会での公聴会を経て、日本膵臓学会機関誌「膵臓」に公表された。また、その概要を英文誌に投稿した。改訂骨子は以下の2点で、① JPS 2011では、自己免疫性膵炎(AIP)限局性例と膵癌の鑑別においてERPは必須であるが、限局性例をMRCP所見やEUS-FNAによる癌の否定所見などを組み込むことにより、ERPなしでも診断できるプロセスを策定した。②膵外病変基準は、膵外胆管の硬化性胆管炎、硬化性涙腺炎・唾液腺炎に腎病変を加えた。
3.IgG4関連硬化性胆管炎:診療ガイドラインは日本胆道学会機関誌の英文誌に公表された。本ガイドラインでは、正確な診断法、安全なステロイド治療の実践、再燃を考慮した経過観察などを消化器病領域の専門的知識・技術・経験などを踏まえて解説した。
4.IgG4関連ミクリッツ病: IgG4関連涙腺・唾液腺炎(ミクリッツ病)の診断基準改定のため、IgG4/IgG陽性細胞比率の変更に加え、唾液腺エコーの採用に向けて検討した。
5.IgG4関連腎臓病:2011年に作成したIgG4関連腎臓病の感度と特異度を検証し、必要な改訂を行うことを目的に、IgG4関連疾患の国内ハイボリュームセンターにて、症例のWeb登録を開始した。
6.IgG4呼吸器疾患:IgG4関連疾患包括診断基準2011(CDC)を用いた場合の呼吸器病変診断における問題点を探り、IgG4関連呼吸器疾患とその周辺疾患をどのように鑑別すべきかについて検討した。その結果、呼吸器疾患診断基準を用いることによって、診断率の向上が期待できることが明らかになった。また非特異的間質性肺炎の一部に、血清IgG4が高値で肺組織にIgG4陽性細胞浸潤がある症例があり、IgG4関連疾患とのの鑑別が難しいことから、両者の鑑別が課題として浮かび上がった。したがってIgG4関連呼吸器疾患の診断に際しては、診断基準2011(CDC)に該当しても、呼吸器疾患診断基準にも照合する必要があり、鑑別困難な症例は今後さらに詳細な検討を行うことになった。
7.IgG4関連循環器疾患および動脈周囲炎・後腹膜線維症:分科会と関連学会の合同ワーキンググループを設置し、IgG4関連の動脈周囲炎および後腹膜線維症について、臓器特異的診断基準を策定した
8.IgG4関連神経・内分泌疾患: IgG4関連疾患に合併する内分泌神経疾患の疫学データを集積し、IgG4関連下垂体炎、IgG4関連肥厚性硬膜炎、IgG4関連甲状腺疾患の診断基準、重症度分類、診療ガイドラインを作成中で、さらにIgG4関連疾患に付随した耐糖能異常を含む内分泌機能異常にステロイド治療が与える影響や内分泌機能温存に関わる因子について検討を行う予定である。
結論
8領域の分科会活動と1回の班会議による議論を経て、2年目におけるそれぞれの領域における研究の進捗状況は概ね予定通り達成されつつある。

公開日・更新日

公開日
2019-09-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-04-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811064Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
24,999,000円
(2)補助金確定額
24,999,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 10,020,727円
人件費・謝金 195,453円
旅費 2,858,056円
その他 6,171,431円
間接経費 5,769,000円
合計 25,014,667円

備考

備考
最終執行時における自己負担分の金額が含まれるため。

公開日・更新日

公開日
2020-03-15
更新日
-