好酸球性消化管疾患、重症持続型の根本治療、多種食物同時除去療法の診療体制構築に関する研究

文献情報

文献番号
201811052A
報告書区分
総括
研究課題名
好酸球性消化管疾患、重症持続型の根本治療、多種食物同時除去療法の診療体制構築に関する研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-042
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
野村 伊知郎(国立成育医療研究センター 好酸球性消化管疾患研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 佳之(群馬県立小児医療センター アレルギー感染免疫・呼吸器科)
  • 木下 芳一(島根大学医学部 第二内科)
  • 八尾 建史(福岡大学筑紫病院 内視鏡部)
  • 大塚 宜一(順天堂大学 小児科)
  • 工藤 孝広(順天堂大学 小児科)
  • 小林 佐依子(国立成育医療研究センター 栄養管理部)
  • 新井 勝大(国立成育医療研究センター 消化器科)
  • 大矢 幸弘(国立成育医療研究センター アレルギーセンター)
  • 松本 健治(国立成育医療研究センター 免疫アレルギー・感染研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
5,770,000円
研究者交替、所属機関変更
研究代表者 野村伊知郎の所属が変更となりました  国立成育医療研究センター 好酸球性消化管疾患研究室 室長 分担研究者 大矢幸弘の所属が変更となりました 国立成育医療研究センター アレルギーセンター センター長 どうぞよろしくお願いいたします。

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、現在根本治療が存在せず、生涯にわたって著しいQOLの低下が続く持続型好酸球性胃腸炎について、多種食物同時除去療法(MFED療法)を世界に先駆けて開発し、プロトコールを作成、日本全国の患者を救うための診療体制を構築することにある。この目的を達成するために、以下の目標を掲げた。
a.まず持続型好酸球性消化管疾患(EGID)の患者数の推定を行う。
b.EGIDの自然歴、ステロイド治療結果の全国調査
c.医師向けの多種食物同時除去療法、実施マニュアル作成(症例集積研究に基づく)
d.栄養士向けの多種食物同時除去療法、実施マニュアル作成
e.EGIDの診療体制の構築
研究方法
a.全国の医療機関にアンケート送付
b.上記のアンケートの二次詳細調査を行った。
c.症例集積研究を行い、導き出された結果から、実施マニュアルを作成する。
d.栄養士向けの多種食物同時除去療法、実施をマニュアル作成する。
e.本治療を広めるため、有力病院の選定を行っている。
結果と考察
a.全国調査一次調査において、好酸球性消化管疾患全体で、5,200名の患者数と推定された。
b.全国調査二次調査において、好酸球性胃腸炎 (EGE)、食道炎 (EoE) の割合は、それぞれ69%、31%であった。EoEの発症年齢は30-40歳代に集中しており、小児期に集中している欧米と異なっていた。一方性別は、男性が80.1%を占め、欧米と同様であった。EGEは9-15歳に発症時期が集中していた。性別は男女ほぼ同数であった。
EGEは、持続型が半数を占めていた。不登校、欠勤は28.8%にのぼり、QOLの低下が浮き彫りとなった。
EGEの治療は経口ステロイド長期内服が34.2%であり、副作用の出現が懸念された。結果を総合すると、MFED療法に移行すべき持続型EGEが少なくとも1000名以上存在すると考えられた。
EGEの小児患者においてクラスター分析を行い、全消化管(クラスター1)、上部消化管(クラスター2)、下部消化管(クラスター3)に分かれ、更に、全消化管型に腹水を認めるタイプがあり、上部消化管型には、胃と十二指腸に好酸球集積を認め、低蛋白血症が顕著で、かつ長期食物負荷試験に対する反応が遅く、原因食物同定が難しいサブクラスター(サブクラスター2a)が検出された。
c.多種食物除去症例集積研究において、12名の患者で多種食物除去期は全例が症状寛解、検査値改善を認めた。長期的にも50%が食餌療法のみで寛解を維持し、25%は少量抗炎症薬と食餌療法の組み合わせで、寛解を維持できた。ただし、サブクラスター2aにあたる患者が6名を占め、いずれも原因食物同定に難渋した。これをもとにプロトコールを改良中である。
d.作成中である
e.本治療を広めるため、有力病院の選定を行っている。
結論
全国調査の結果、持続型のEGEは全国に1000名以上存在することが推定された。本治療は持続型EGEにおいて有用であり、全国に実施可能施設を設定し、これらの患者を本治療に誘導し、改善させることが重要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2019-09-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-09-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811052Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,500,000円
(2)補助金確定額
7,482,000円
差引額 [(1)-(2)]
18,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 45,485円
人件費・謝金 1,813,043円
旅費 1,078,200円
その他 2,816,476円
間接経費 1,730,000円
合計 7,483,204円

備考

備考
1204円は自己資金で補填した

公開日・更新日

公開日
2020-03-11
更新日
-